- 著者
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安藤 亘
門脇 徹治
渡辺 篤史
崔 奈美
加部 義夫
恵良田 知樹
石井 紀彦
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 日本化学会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.1994, no.3, pp.214-223, 1994
- 被引用文献数
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14族典型元素からなるセスキスルフィド(RM)<SUB>2n</SUB>Y<SUB>3n</SUB>(M=Si,Ge,Sn,Y=S)は,アダマンタン構造(IIa)(n=2)又は,まれにダブルデッカー構造(IIb)(n=2)をとることが知られている.これらセスキスルフィドから向かい合っている一対の硫黄を一つずつ減らすとノルアダマンタン(VIIIa),ビスノルアダマンタン(IXa),ノルダブルデッカー(VIIIb),ビスノルダブルデッカー(IXb)と呼ばれる新規なペンタ及びテトラスルフィドが生成する.トリクロロモノゲルマン([1a]と[lb]),トリクロルモノシラソ([8a]と[8b])トリクロロモノスタナン([10a]と[10b])の硫化水素/ピリジン,硫化リチウム,硫化ナトリウム,五硫化アンモニウム,ビストリメチルシリルスルフィドなどによる硫化反応では,トリクロロモノゲルマン([1a]と[1b])のみがゲルマニウム-ゲルマニウム結合を有するペンタスルフィド([5a]と[7b])を副生した.主生成物は,アダマンタン構造のセスキスルフィド([2a],[2b],[9a],[9b],[11a]と[11b])が,トリクロロモノゲルマン,トリクロロモノシラン,トリクロロモノスタナンにおいても生成してきた.一方,テトラクロロジシラン[12]とテトラクロロジゲルマン[15]の硫化リチウムとセレン化リチウムによる硫化ないしセレノ化では,ペンタスルフィドとペンタセレニド([13a],[13b]と[5a])が収率良く生成した.X線結晶構造解析は,ケイ素-ケイ素結合の切断されたノルアダマンタン構造を明らかにした.テトラクロロジゲルマンは,硫化水素/ピリジン,硫化リチウム,五硫化アンモニウム,テトラチオタングステン酸ピペリジニウムなどの種々の硫化剤と反応し,ゲルマニウム-ゲルマニウム結合の切断されていないテトラスルフィド[16]も副生した.その構造は,ビスノルアダマンタン構造であるとX線結晶構造解析により確定した.トリクロロモノゲルマン([1a]と[1b])からのペンタスルフィド([5a]と[7b])の生成は,硫化剤が還元剤として働くことにより,又,テトラクロロジゲルマン[15]からのペンタスルフィド[5a]とテトラスルフィド[16]の生成は硫化剤の求核性の強さに依存しているものと考えられる.