著者
遠山 良 関村 照吉 関澤 憲夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.299-303, 1994-04-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
20
被引用文献数
2

冷麺製造工程におけるエタノールの残存率及び残存エタノールと冷麺の保存性との関係について検討した.(1) 冷麺は製造時約100℃の加熱糊化工程を経ているにもかかわらず,製造原料に保存料として添加したエタノールの残存率はかなり高く,乾燥工程を経た段階で86.8%であった.(2) 乾燥工程でエタノールの減少率が低い原因を確認するため,冷麺を通風と無風の条件下で乾燥して比較したところ,無風乾燥では水分の減少とともにエタノール濃度も減少した.一方,通風乾燥では水分は急激に減少したが,工タノール濃度は逆に僅かに上昇した.(3) 以上のことから,冷麺製造時の通風乾燥は,エ夕ノールの残存率を高める上で有効であることが分かった.(4) エタノール残存率と保存性の関係を調べた結果,麺に1.94%のエタノールが残存する場合, 30℃, 14日間の保存でも微生物の増殖はほとんど見られなかった.エタノール含量が低下するにつれて保存性は低下するが,エタノール含量が1.26%と低くても保存温度が15℃であれば45日間経過しても微生物は全く検出されなかった.
著者
関村 照吉 笹島 正彦
出版者
岩手県工業技術センター
雑誌
岩手県工業技術センタ-研究報告 (ISSN:13410776)
巻号頁・発行日
no.8, pp.69-72, 2001-09

岩手県は、平成12年に低アミロース小麦で製めん適性が優れているとされている小麦の新品種'ネバリゴシ'(旧東北206号)を奨励品種とした。当センターでは、ネバリゴシ粉を用い既存のめんには無い特徴のあるめんができることを既に報告している。本年度は、温めて食べるうどんと冷たいまま食べるうどん、中華めん及び中華まんじゅうを製造して官能試験を実施した。また、製めん条件を検討した。その結果、温かいうどんではゆで伸びしやすく、色の評価は良くなかった。中華めんと中華まんじゅうでは評価の良否が分かれた。また、従来の製めん試験法はそのままでは適応することができないことが判った。
著者
島津 裕子 関村 照吉 大澤 純也
出版者
岩手県工業技術センター
雑誌
岩手県工業技術センター研究報告 = Research bulletin of the Iwate Industrial Research Institute (ISSN:13410776)
巻号頁・発行日
no.11, pp.27-32, 2004-07

ナンブコムギの需要拡大のためには、パンヘの利用も望まれるところである。しかし、ナンブコムギの製パン適性は、グルテンの量や質などで強力粉に及ばないことから、パン加工には一工夫が必要である。そこで、ナンブコムギの特性に応じた製パン法について検討したところ、ミキシングは、低速5分、油脂添加後さらに低速2分程度が良好であった。また、リーンなパンには数%の砂糖や卵を配合することによって、官能評価を良くすることができた。さらに、モルトエキスの使用も食感、風味等を向上させることがわかった。これらの加工法により、ナンブコムギの個性あるパンの開発に取り組んだ。その結果、ナンブコムギの素朴な風味を活かしたパンとしてマフィン、べーグル、クルミパン、メロンパンの4種類を県内加工業者へ提案することができた。
著者
武山 進一 笹島 正彦 関村 照吉 遠山 良
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.85, 2002

盛岡冷麺は澱粉含量が高く、独特の食感を有している。しかし、茹でたのち短時間でその食感が失われるために、うどん、そば、中華麺のような茹で麺での販売には向かない。そこで、茹で麺状態での製品化をめざして電子レンジで再加熱して調理する方法(レンジアップ冷麺)を検討した。茹で時間を1分にして調整した冷麺を7℃で冷蔵保存した場合、冷麺100gの加熱時間は600Wの電子レンジで80秒であった。冷麺を電子レンジで加熱すると、その食感はゴムの様な弾力性が増した。テンシプレッサーによる物性測定では、Hardness(かたさ)、Work(破断エネルギー)ともに減少した。物性変化の抑制を目的とし、大豆レシチンを添加したところ、弾力性の質の変化を少なくすることが出来た。