著者
関谷 融 SEKIYA Toru
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 = Journal of the Faculty of Global and Media Studies (ISSN:2432616X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.87-98, 2017

図をナレッジ・マネージメントのツールおよびシステムとして利用しようと意図するさまざまな努力は、図をツールまたはシステムとして作動させてきたという経験的事実から出発しているものの、なぜツールとして作動するのか(作動させ得たのか)については十分に語られてこなかったきらいがある。 本稿では、まず、現象学的還元をめぐるフッサールの思考遍歴をたどりながら、諸科学の数学的図処理の発動の内に潜む空間ありとする信念、ひいては数学的思考の可能性や意義への信頼形成の根拠をみた上で、カッシーラーの「形態」認知及び象徴操作の思想的意味を探った。
著者
植木 岳雪 大野 希一 関谷 融 UEKI Takeyuki OHNO Marekazu SEKIYA Toru
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:2432616X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.87-93, 2016-12-28

長崎県立大学シーボルト校の全学教育科目の自然地理学の授業では、2012年度から2016年度の5年間、地形図、地質図、空中写真を使った室内作業、スケッチの描き方の実習、島原半島世界ジオパークにおける野外実習、野外実習のまとめのポスター発表といったアクティブ・ラーニングを中心に行った。自然地理学の履修者は、これらの地域の素材を生かしたアクティブ・ラーニングを肯定的に評価した。
著者
SEKIYA Toru 関谷 融
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:2432616X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.95-107, 2016-12-28

長崎県立大学では、大学COC事業に伴い、平成27年度入学生から、前期15回の講義と、8・9月期における4泊5日の実地実習形式の授業の組み合わせによる「長崎のしまにまなぶ」をスタートさせた。地域振興及び地域の抱える課題に関する理解とその解決を志向した取り組みであることを謳い、国際情報学部及び国際社会学部ではこれを1年次前期の全学教育必修科目として設定している。 本研究は、集団活動困難者(本学のCOC実地実習プログラムは宿泊を伴う離島エリアでの実施のため)に対する代替プログラムの案例及び適用要件を検討するために、COC採択された大学でフィールドワーク(インターンシップをCOCとしているものを含む)を必修としている事例において、上記懸案がどのように処置されているかを調査し、「代替活動」の運用・再設計に向けた知見を得ることを目的とした。
著者
小笠原 道雄 国安 愛子 関谷 融
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

本研究は、フレーベルの晩年の主著でもあり、極めて独創性の強い家庭育児書でもある『母の歌と愛撫の歌』(1844年)の曲、つまり、ローベルト・コール(Robert Kohl,1813〜81)作曲によるオリジナル(原曲)版「遊戯の歌」50曲の成立を考察し、それとの関係でa)フランス版(1861)b)イギリス版(1895)c)アメリカ版(1906)d)日本版(1934,1981)の比較考察をおこない、本書の特色を明らかにすることにある。その際、作曲者の略歴をみる必要がある。作曲者ローベルト・コールは当時カイルハウ学園の教師としてフレーベルの協力 者であった。彼はアルテンブルクの聖歌隊指揮者の息子として生まれ、1834年神学を学ぶためライプチヒ大学に入学、そのかたわら熱心に音楽を研究した。その後1838年牧師となる試験に合格の後、1839年から45年までカイルハウ学園で宗教教授および音楽の教師として活動し、学園の生徒たちの人望をえた。この略歴からもうかがえるように、コールは専門の作曲家ではなく、『母の歌と愛撫の歌』を「きわめて道楽趣味的(dilettantische)に作曲した」ようである。(参照F・Seidel編『母の歌と愛撫の歌』1883年、5版、S.208)。絵画家のウンゲルと共に学園の教師達が共に協力して本書を作成した点は、高く評価されるが、「曲」そのものについての評価については問題なしとはしない。フレーベルの希望でもあったが、メロディーは子ども達が「歌うための歌」としての性格を堅持している。従って、本書が各国版として普及する際、自由に編曲され(むしろその国独自に、子供の活動をうながすものとして)、コールの原曲とは全く無関係に改編されることになった。換言すれば、コールが専門の作曲家でなかったが故に、本書は各国版において、とりわけ1860〜80年代にかけて、各国の「子どものうた」(Kinderlied)の影響を受け、編曲されることになった。