著者
下徳 敏雄 市川 浩美 阿南 豊正 高柳 博次 池ケ谷 賢次郎
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.55, pp.43-50, 1982-06-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
18
被引用文献数
16 9

(1)当場職員および金谷町の一般消費者合計66名を対象として,日常お茶を入れる時の条件を調査し,うすい入れ方と濃い入れ方を設定した。(2)上記条件と標準浸出法について,玉露,煎茶(上),煎茶(中),煎茶(下),番茶,かまいり茶,ほうじ茶の7種類の茶を用い,可溶分,全窒素,アミノ酸,タンニン,カフェイン,遊離還元糖,ビタミンC,P,K,Ca,Mgの溶出量を調べた。13)その結果,溶出割合では,濃い入れ方と標準浸出法が比較的似ており,うすい入れ方とは,かなり差があった。成分別の溶出割合の比較では,アミノ酸やビタミンCが比較的大きかったのに対し,タンニンやCaは小さかった。一定湯量中の主な成分量について3条件の結果を比較してみると,玉露を除いて各成分ともうすい入れ方,標準浸出法,濃い入れ方の順になっていた。おわりに,本実鯵を遂行するにあたり,多大なる御指導を頂いた茶業試験場製茶部長坂本裕博士に深く感謝の意を表わしますとともに,茶業試験場職員の方々はじめ調査に御協力頂ぎました皆様に厚く御礼申し上げます。
著者
阿南 豊正 高柳 博次 池ケ谷 賢次郎 中川 致之
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.56, pp.65-68, 1982-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

緑茶貯蔵中の脂質含量:の変化を明らかにするため,貯蔵条件の異なる4種類の試料,すなわち荒茶を-70℃で18ヵ月貯蔵したもの(試料A,対照区),25℃で3ヵ月貯蔵後-70℃で15ヵ月貯蔵したもの(試料B),25℃で6ヵ月貯蔵後一70℃で12ヵ月貯蔵したもの(試料C),25℃で18ヵ月貯蔵したもの(試料D)の脂質を定量し,次のような結果を得た。1. 各試料について官能検査を行った結果,試料Aは新茶とあまり差がなかった。一方,試料Cおよび試料Dは変質程度が大きく飲用不適と判定された。2. 試料Bは試料A(対照区)に比べて全脂質含量で約10%減少し,試料Cは約20,0fib少した。一方,試料Dは試料Cよりほんのわずか減少する程度であった。3. 各脂質画分別にみた場合,25℃での貯蔵期間の増加につれて減少傾向が比較的はっきりしているものは糖脂質であり,中性脂質とリン脂質は減少傾向が小さかマた。又,個々の脂質別では,減少傾向が比較的大きかったものはMGDG,DGDG,SQDG,PCであった。終わりに,本実験を行うにあたり,御指導を頂いた当試験場古谷弘三前場長,坂本裕製茶部長ならびに官能検査をお願いした製茶第3研究室の方々に深く感謝致します。
著者
阿南 豊正 天野 いね 中川 致之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.74-78, 1981-02-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
2 5

緑茶(荒茶)を130℃で30分および160℃で30分加熱し,化学成分の変化を調べた結果,アミノ酸類,ビタミンC,遊離還元糖の減少が著しいのに対し,全窒素やカフェインはほとんど減少しないことが明らかとなった。次に,緑茶加熱中の成分変化に対する各成分の相互作用の影響を調べるため,テアニン,グルコース,(-)-エピカテキン,カフェインを各々組み合わせてセルロース粉末と混合し,130℃で30分および160℃で30分加熱し,各成分含量および熱水浸出液の吸光度を調べた結果,テアニンとグルコースの相互作用の影響が最も大きく,ついで(-)-エピカテキンとテアニンの相互作用の影響が若干認められた。
著者
将積 祝子 高柳 博次 阿南 豊正 池ケ谷 賢次郎
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1984, no.60, pp.59-65, 1984-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
11
被引用文献数
5

中国茶の白茶(Bai-cha),黄茶(Huang-cha),青茶(Quing-cha:Ooiong-cha-type)および黒茶(Hei-cha)の化学成分,色およびし好調査を行った。その結果を要約するとつぎのとおりである。1)一般化学成分含量は黄茶(Huang-cha)が煎茶の中級品に近く,白茶(Bai-cha)および青茶(Qing-cha)は煎茶の下級品に相当した。黒茶はバラエティに富み,蒸した後,堆積発酵するので,カテキン類酸化重合物が多く,各種成分が少なくなり,遊離アンモニアが多かった。2)白茶の色は暗オリーブ色,黄茶は淡黄色~オリーブ黄色,青茶はオリーブ黄色~黄褐色,黒茶は灰オリーブ~暗褐色であった。3)し好調査の結果は短大生に青茶が好まれ,消費者婦人団体は青茶は飲み易いとしてもそれほど好まなかった。料理専問家は白茶と青茶をとぎどきなら飲んでもよいと答えた。黒茶は料理専問家がまずいと答えた。終りに本稿を草するに当たり御懇切なる御稿閲を賜った製茶部長,竹尾忠一博士,アミノ酸・アマイド類の分析を担当して下さった天野いね氏に深甚なる謝意を表する。