著者
陳 明裕
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.130-133, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
6

近年,胃に直接カテーテルを留置する栄養投与法(胃瘻)を施行される機会が増している.胃瘻の留置が長期化すると,経口摂食をしないので口腔はほとんど機能することはなくなるため,歯列は廃用性の変化を起こすことがある.今回,胃瘻および気管切開にて5年経過した患者の著明な叢生発症および増悪に伴い,咬頭鋭縁部と接触する頰粘膜に頻発する口内炎の対策を求められる機会を得た.マウスピース型矯正装置により歯の鋭縁と粘膜の過度な接触を軽減することで口内炎の頻発を防ぐことができた.本症例を経験して,胃瘻留置時には,咬合の維持および粘膜保護を目的とした咬合保護床の作製,装着が有効であることが示唆された.
著者
陳 明裕 浅見 勲零 吉位 尚 藤田 邦夫 寺延 治 石井 準之助 寺尾 牧 浜田 充彦 平田 たつみ 島田 桂吉
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.5-11, 1993
被引用文献数
1

矯正治療におげる歯牙移動時にはしばしば疼痛を伴うことがある。 近年, 低出カレーザーによる除痛効果は一般臨床において広く認められている。 <BR>そこで本研究では矯正治療における歯間離開時に発生する痛みに対するレーザー除痛効果の有効性を二重盲検法を用いて検討した。 歯と歯の間隙が正常範囲内 (50μm-110μm)で, 予め左右対象であることを確認した28例の被検者の両側第三大臼歯近心, または近遠心にエラスティックセパレーターを挿入直後に左右どちらかの第1大臼歯のみに低出力Ga-Al-As 半導体レーザー (波長830nm, 出力20mW) を2分間, 歯根相当部頬側歯肉より接触照射した。 その際, 二重盲検とするため, 左右どちら側を照射するかは, 乱数表に従い, 検者被検者双方に判らないように決定した。 疼痛評価には, Visual analog scale (VAS) を用い, 次来院時に被検者自身により記入された用紙を回収した。 その結果, 28例中重7例において, レーザー照射側の疼痛軽減が認められた。 また, VAS平均値も2%の危険率で有意の差が認められた。以上の結果から低出力Ga-Al-As半導体レーザーは矯正治療における歯牙移動時に発生する痛みに対しても有効であることが判った。
著者
陳 明裕
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13490303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.118-120, 2008-06-25

バネ式拡大装置(CEA)は,0.9mmステンレススチールラウンドワイヤーと内径0.9mmのステンレススチールチューブ,および0.3mm×0.9mmのNi-Tiオープンコイルよりなる単純な構造の装置である.また,単純な構造のため,製作も容易で,清掃性に優れ,装着感も比較的良好である.なお,本装置は,側方拡大のみならず,主線の延長によって同時に前歯部の傾斜移動も可能であり,歯列狭窄を伴う叢生症例の治療などに有効である.また,リンガルシースやSTロックと組み合わせることで,調節時の取り外しも可能となる.本稿ではその製作方法および応用例を紹介する.
著者
陳 明裕 寺尾 牧 浅見 勲 吉位 尚 藤田 邦夫 寺延 治 石井 準之助 島田 桂吉 浜田 充彦
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-7, 1994

矯正治療時の疼痛は殆どの場合-過性ではあるが, 有効な対処方は少ないのが現状である。我々は, 矯正治療時の疼痛緩和を目的に, Na: YAG レーザー, Ga-Al-As 半導体レーザーを応用し, その有効性を報告してきた。しかし, レーザーは波長によってその作用が異なるためHe-Neレーザーについて同様の実験を行い, その有効性について先の半導体レーザーでの結果と比較検討した。被験者は, 神戸大学病院矯正部外来患者および同医局員で, 平均年齢20.7歳であった。予め歯牙接触関係等に左右側で, 差が無いことを確認した同顎左右第1大臼歯を被験歯とした。被験歯近遠心もしくは近心に同じ厚みのエラスティックセパレーターを挿入し, 挿入直後にレーザーを片側にのみ近心根, 遠心根の各中央相当部頬側歯肉に各々1分間ずつ計2分間接触照射し、反対側を非照射対照側とした。なお, 照射に際しては被験者に, 照射側が判別されないよう努めた。レーザー装置は, 波長632.8nm, 出力6m W のSOFT-LASER 632<SUP>R</SUP>を連続波で2分間用いた。調査はアンケート用紙にて行い, 疼痛の開始時期, 消失時期, 最大疼痛の時期およびその程度を患者自身に記入させ, 次の来院時に回収した。疼痛評価はVisual analog scale (VAS) を用いて行い, 各症例の非照射側を対照として比較した。その結果22例中14例で照射側VAS値の滅少を認め, VAS平均値も照射側2.33, 対照側3.91と有意の差を認めた。疼痛時期については両群間に差を認めなかった。半導体レーザーとのVAS値の比較も有意の差を認めず, 何れのレーザーにおいても同程度の除痛効果が得られたものと考えられる。
著者
陳 明裕
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.35-45, 1992-06

低出力レーザーの効果について主に三つの研究を行った。初めに,低出力レーザーの除痛効果が,矯正治療時の痛みに対しでも有効であるのかどうかを検討した。その結果,この場合においても,レーザー照射は極めて有効であることが認められた。つぎに,マウス培養知覚神経節の神経線維伸長に対する低出力レーザー照射の影響について検討した。神経線維の伸長はレーザー照射によって,顕著に抑制された。レーザー照射は,単離した神経細胞の神経線維伸長も抑制し,特に小型,中型の神経細胞に対する影響は著明であった。また,免疫組織染色による観察から,サプスタンスPおよびCGRP含有神経線維が強くレーザー照射の影響を受けていることも示された。これらの結果は,低出力レーザーの除痛効果を解明する上で非常に興味深い。次に,生体のラットの歯に低出力レーザー照射を行い,歯髄内のサプスタンスPおよびCGRP含有神経線維に対する影響を免疫組織化学的に調べた。その結果,検出し得る変化はなかった。
著者
陳 明裕 藤田 邦夫 石井 準之助 島田 桂吉 平田 たつみ 藤澤 肇
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.269-272, 1991

We applied low power laser irradiation on cultured dorsal root ganglion (DRG) which was excised from mouse, Continuous wave Ga-Al-As diode laser of 830nm wave length and 20mW power output was irradiated for 5-15 minutes. Neurite elongation from DRG was inhibited significantly by laser irradiation. It also inhibited neurite elongation of single neuron isolated from DRG. Especially that of small diameter neuron was significantly inhibited.<BR>By immunostaining, neurites including substance P and/or CGRP were shown to he affected severely. These results suggest that inhibitory effect of laser irradiation on neurite elongation may relate to the mechanism of pain attenuation.