著者
田中 康友 田中 貴子 新貝 和也 北川 知佳 陶山 和晃 城石 涼太 力富 直人 津田 徹 宇都宮 嘉明 神津 玲
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.195-200, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
参考文献数
20

【背景と目的】慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:以下COPD)患者の入院原因を調査するとともに,併存疾患による入院と健康関連生活の質との関連を検討すること.【対象と方法】安定期のCOPD患者を対象に過去1年間の入院の有無・回数・原因とCOPD assessment test(以下CAT),を評価した.【結果】解析対象者は103例で,入院回数は全原因を含めて63回であった.そのうち併存疾患による入院は28回(44%)で,内訳は心血管疾患が10回(16%)と最も多く,運動器疾患など他の疾患は5%程度であった.また,重回帰分析の結果,併存疾患による入院とCATとの関連は認められなかった(P=0.607).【結語】COPDの増悪に加えて,心血管疾患を含めた併存疾患にも配慮した全身管理やセルフマネジメント指導の必要性が示唆された.
著者
森下 辰也 陶山 和晃 板木 雅俊 宮城 昭仁 阿南 裕樹 大曲 正樹 禹 炫在 田中 貴子 俵 祐一 神津 玲
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.317-322, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
19

【目的】後期高齢者の肺炎再発症による入院の割合,およびそれに関連する身体機能をはじめとする要因を明確にすることである.【方法】肺炎にて入院治療とともに,リハビリテーションを行った75歳以上の高齢者を対象に,対象者背景,肺炎重症度,認知機能,栄養状態,摂食嚥下関連機能,身体機能,呼吸機能を評価した.また,過去1年間の肺炎による入院既往の有無から再入院群と初回入院群に分類し,評価項目を比較検討するとともに,再入院に関連する要因を分析した.【結果】解析対象者は118例であり,再入院率は24.6%であった.再入院群,初回入院群間で性別,呼吸器疾患の併存,栄養状態(GNRI)に有意差を認め,呼吸器疾患の併存とGNRIが再入院の有意な要因として抽出された.【結語】後期高齢者における肺炎による1年間の再入院率は24.6%であり,呼吸器疾患の併存と低栄養状態が再入院に関連する要因であることが示された.
著者
陶山 和晃 田中 貴子 石松 祐二 澤井 照光 神津 玲
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.55-62, 2019-09-27 (Released:2019-10-25)
参考文献数
19

【目 的】 非喫煙の妻が夫からの環境タバコ煙(ETS)にどの程度曝露するとCOPD発症リスクが上昇するのか検討すること。【方 法】 対象は2015年5月~2016年12月の間に長崎県内で実施されたCOPD検診の参加者1,633名のうち、夫が喫煙経験者と答えた40歳以上の非喫煙女性とした。調査項目はCOPD問診票(IPAG)、ETS曝露歴指数(夫の1日の喫煙本数×喫煙中の同居年数)、呼吸機能(FEV1/FVC)とし、IPAGが17点以上かつFEV1/FVCが70%未満の者をCOPD疑いとした。【結 果】 解析対象者は308名、COPD疑いは20名(6.5%)であった。ETS曝露歴指数において、COPD疑いとなるカットオフ値は735となり、有意な判別能を検出した(感度:0.80、特異度:0.78、曲線下面積:0.85、p<0.001)。このカットオフ値は他の交絡因子を調整した後もCOPD疑いに影響を与える有意な因子であった(オッズ比:13.12、95%信頼区間:4.11–41.86)。【考 察】 妻のETS曝露歴指数が735を超えるとCOPD疑いの可能性が高く、本指数が妻のCOPD発症リスクの有用な指標となることが示唆された。