著者
櫻井 淳 木下 浩作 守谷 俊 雅楽川 聡 林 成之
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.131-134, 2001-07-20 (Released:2010-12-08)
参考文献数
21

心肺蘇生後に脳低温療法を行った症例の聴性脳幹反応, 脳波と予後を検討した。蘇生後平均3時間の聴性脳幹反応でV波が同定できない群は7例中6例が死亡し, 同定可能群 (生存/死亡=10/3) に比し有意に死亡率が高かった。聴性脳幹反応のV波の同定は蘇生後脳低温療法を行うにあたり生命予後の予測に有用と考えられた。一方, 心肺蘇生後24時間以内の脳波が平坦でもその後に脳波活動が記録され予後良好例が存在した。24時間以内に脳波でBurst suppressionを示した症例は全例が予後不良であった。心肺蘇生後に脳波での脳機能評価による予後予測は有効であるが, 蘇生後24時間以内の平坦脳波においては解釈に注意を要する。
著者
木下 浩作 雅楽川 聡
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

敗血症から多臓器不全への進展には神経内分泌免疫系の破綻と全身性血管内皮傷害の関与が示唆される。体温が上昇した環境での高血糖が血管内皮細胞に与える影響についての検討はない。本研究結果から高温・高糖環境が血管内皮細胞における炎症性物質(炎症性サイトカイン:IL-6)産生を増加させることが明になった。この反応はエンドトキシン存在下で促進される。従って、高体温患者にみられる高血糖は、血管内皮細胞からのIL-6産生などの炎症反応を増大させ、二次性組織傷害を悪化させ、多臓器不全進展の危険因子となり得ると考えられた。高体温の敗i血症患者では、早期からの血糖管理と体温管理が重要な管理項目と考えられた。