著者
青井 裕介 福士 圭介 森下 知晃 亀井 淳志
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2012年度日本地球化学会第59回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.137, 2012 (Released:2012-09-01)

2011年3月、福島第一原子力発電所が津波による冷却装置の故障で水素爆発を起こし、放射性物質を拡散させ、広範囲にわたる地域で深刻な土壌汚染をもたらしている。放射能汚染を引き起こしている重要な放射性物質は放射性セシウムであることが報告されている。被害地域一帯の地質は阿武隈花崗岩を主としており、現在汚染が問題となっている土壌は阿武隈花崗岩を起源とした鉱物集合体であることが予想されるが、セシウムを取り込んでいる鉱物種やその取り込み形態はいまだ明らかとなっていない。本研究は実験的な手法により、セシウムの取り込み媒体および取り込み形態を明らかにすることを目的とする。ここでは、新鮮な阿武隈花崗岩を対象として行った予察的検討結果を報告する。
著者
青井 裕介
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

花崗岩中の鉱物によるCsの収着が定性的に評価された。試料は石英、斜長石、カリ長石、角閃石、黒雲母および黒雲母を交代する緑泥石から主に構成される。研磨薄片作成し、CsCl溶液(10μM, I=0.01)の中に投入し、48時間拡販させ、反応前後の各鉱物のCs収着量を観察した。これらの鉱物相の中でEPMAによる収着実験試料の定量化学分析からはいずれの鉱物からもCsは検出されなかった。一方、LA-ICP-MSを用いた分析では、黒雲母、角閃石、斜長石からCsの収着を検出することができた。Cs分布は鉱物により明瞭に異なっていた。黒雲母は表面部位にCsが濃集しており、表面以深では反応前と同様であった。一方pH4の時の方が、pH6のときに比べ、より内部までCsが分布していた。角閃石のCsの収着は深さによらず一定であることが示され、どちらの条件でも反応前と比較すると2桁から3桁強度が増加していた。斜長石のpHによらずCs収着量は表面が一番高く、深くなるにつれて収着量は減少していた。