著者
青山 和夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.6, pp.366-374, 2023-06-01

LiDARは,地上の踏査では明らかにし難い密林に覆われた広範な地域の三次元構造を面的に捉えるリモートセンシングとして,マヤ文明のセトルメント・パターンに関する革新的なデータを提供しつつある.本論文では,筆者らによるグアテマラのセイバル遺跡とメキシコのアグアダ・フェニックス遺跡の調査の成果について論じる.筆者らの調査によって,大規模な公共祭祀建造物は農耕定住共同体や王権が確立された後ではなく,それ以前から建設されたことが明らかになった.初期の公共祭祀建造物の共同建設作業や公共広場で繰り返し慣習的に行われた公共祭祀という反復的な実践は社会的記憶を生成し,中心的な役割を果たす権力者の権力が時代とともに強化された.
著者
青山和夫[ほか]執筆
出版者
TBS
巻号頁・発行日
2003
著者
青山 和夫
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.849, pp.15-17, 2019-12
著者
猪俣 健 青山 和夫
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族学研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.370-392, 1996-12

本稿の目的は,古典期マヤ社会に中心地論を適用し,市場経済の未発達な先産業社会においても,経費の極小化という経済合理性が,集落等の空間配置に大きな影響を与え得ることを示すことである。そのため,ホンジュラス,ラ・エントラーダ地域における調査から得られた古典期マヤ・センターに関するデータの分析を通し,中心地論の理論的モデルに近い経済空間構造が存在したことを論ずる。食料のような嵩張る生活必需品を政治組織の財政基盤としながら,効率的な輸送手段を持たなかった古典期マヤ社会では,移動と輸送におけるコストを極小化することが非常に重要であり,規則的な中心地分布は,その点で最も合理的であったと考えられる。また,人口密度やセンターの規模の違いにもかかわらず,各地のマヤ・センターの間隔がほぼ一貫していることは,各センターの領域が人力による食料等の移動距離により強く規定されていた可能性を示唆する。
著者
青山 和夫
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

古典期後期(後600~830年)のアグアテカ都市中心部では、自らが支配層に属し書記を兼ねる工芸家が、王をはじめとする世帯外の他の支配層のために美術品と実用品の両方を半専業で生産した.アグアテカの古典期マヤ社会では、「真の専業工人」は存在しなかった.支配層を構成したアグアテカの男性と女性の工芸家は、異なった状況や必要性に柔軟に対応して複数の社会的役割を果たしたのである.