著者
青木 達也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_331-I_344, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
16

本研究は足尾銅山の通洞地区にある選鉱所について,明治から大正前期の時代までの変遷と関連遺構を明らかにしようとするものである.既往の二次史料に加えて,このたび実施した史料調査によって得られた一次史料の内容を考証した結果,これまで明らかとなっていなかった通洞選鉱所の創業年代や移転年代およびそれらの位置のほか,有越索道,新梨子竪坑,新梨子斜坑,足尾鉄道との関係も明らかにすることができた.さらにこの知見に基づき遺構の残存状況を調査した結果,施設が存在していた箇所を推定するとともに残存状況を把握することができた.本研究で纏められた成果が今後の詳細調査へと引き継がれれば,これまで困難とされていた通洞選鉱所の産業遺産としての価値づけが可能になる.
著者
青木 達也
出版者
宇都宮大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、日本の近代化・産業化に寄与した歴史的遺産が地域再生の資源として活用されている。そして、歴史的調査・研究が地域の個性と魅力を引き出す支えとなっている。日光市足尾町について見れば、「近代足尾銅山と鉱害問題の歴史やその関連遺産」が、環境保護の大切さを伝える植樹活動や世界遺産登録を目指した取組みなどに活用されている。足尾地域の遺産を種別に分類すると、探鉱・採鉱、選鉱、製錬、精錬、輸送・通信、生活・文化・教育、維持管理、エネルギー・用水、浄水・廃棄物、経営などに分けられるが、本研究対象はその種別でいうところの「輸送」を担った遺産となる。