著者
清田 義和 佐久間 汐子 岸 洋志 須藤 明子 小林 清吾 宮崎 秀夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.307-312, 1997-07-30 (Released:2017-10-20)
参考文献数
19
被引用文献数
12

本研究の目的は,フッ化物ゲルを歯ブラシを用いて塗布する方法による乳歯う蝕予防プログラムの効果を評価することである。う蝕がない1歳6ヵ月児892名を対象とし,希望により3歳まで6ヵ月間隔で受けたフッ化物ゲル歯面塗布の回数によってグループ分けし,3歳6ヵ月の時点でう蝕の発生数を比較した。その結果,定期的に4回の塗布を受けた群のう蝕発生数が最も少なく,全く受けなかった群に比較して平均う蝕発生(dmfs)数で47.5%の有意な差が認められた。本法で有意なう蝕予防効果を得るために,少なくとも年2回の定期的,継続的なフッ化物歯面塗布の実施が必要であることが示唆された。
著者
坪田 敏男 瀧紫 珠子 須藤 明子 村瀬 哲磨 野田 亜矢子 柵木 利昭 源 宣之
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.69-74, 2002-03

人間の営みによって作り出された化学物質が,長期間分解されることなく環境に蓄積し,内分泌攪乱化学作用によって人や野生動物の生殖に異常をもたらすことが解明されつつある。内分泌攪乱化学物質には,DDTなどの農薬,PCB類などの工業化学物質,ダイオキシンなどの非意図的生成物,合成女性ホルモンとして使われたDESなどの医薬品などが含まれる。これまでに,アメリカ合衆国のアポプカ湖でのワニの個体数減少,ミンクやカワウソの繁殖率の低下,猛禽類の卵殻の薄化や孵化率の低下,イルカやアザラシの大量死,イボニシでのインポセックス,コイの雌雄同体化,ホッキョクグマの生殖能力の低下や間性といったさまざまな生殖異常が内分泌攪乱作用によって引き起こされている。日本においては平成10年度より内分泌攪乱化学物質およびダイオキシン類による野生生物への影響実態調査が開始され,さまざまな野生動物,とくに海獣類や猛禽類における内分泌攪乱化学物質の蓄積が認められた。今後さらに影響実態を究明し,内分泌攪乱化学物質問題を解決していく必要がある。