著者
須賀 隆章 スガ タカアキ SUGA Takaaki
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.259, pp.101-110, 2013-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第259集『空間と表象』上村清雄 編"Space and Representation" Report on the Research Projects No.259
著者
須賀 隆章 小川 真実
出版者
千葉大学大学院人文公共学府
雑誌
千葉大学人文公共学研究論集 = Journal of studies on humanities and public affairs of Chiba University (ISSN:24332291)
巻号頁・発行日
no.36, pp.198-209, 2018-03

[要旨] 文化財の保全は財政難にあえぐ自治体にとって、悩ましい問題である。地方創生の時代を迎えて、文化財の積極的な活用を通じた「観光資源」の掘り起こしが提言されている。文化財を用いた「観光立国化」に向けて、文化庁は平成27年度より「日本遺産」の認定を進め、日本遺産魅力推進事業を推進している。同事業では点在している個々の文化財を、そこに共通する歴史や文化を語る「ストーリー」を通じてパッケージ化し、積極的な文化財の活用を図ることで、新たな観光客や訪問者の回遊性ある行動を促し、地域の活性化に結びつけることをめざすものである。本稿は、負の側面が強い地域の歴史的資源の活用法を見直すことによって、地方創生時代の新たな「まちづくり」のモデルを提唱する佐倉市の文化財行政の意義を明らかにするものである。
著者
須賀 隆章
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は第一に、源平合戦図屏風の特色を整理し、戦国合戦図屏風を含めた江戸初期の合戦図屏風の表現の特徴を明らかにしようとした。そして第二に、屏風とは異なる媒体を含めた分析を行い、合戦を視覚化することの意味、歴史的実態との関係を見直す作業を進めた。第一の点に関して、源平合戦図屏風でも多くの作品の残る「一の谷・屋島合戦図屏風」の江戸初期の作品に中世の合戦絵巻からの引用と考えられる「首取り」の図像が共通して見られることを確認した。更にこの図像は、同時代の合戦を描く絵巻や戦国合戦図屏風にも見られることを指摘した。「首取り」の図像が繰り返し描かれた背景には、「自己」と結び付くかたちで武士を描かせる享受者の存在が関係している。源平合戦図では戦場における教訓として、戦国合戦図では自らまたは祖先の活躍を示し家の正統性を語るものとして、「首取り」の図像が享受されたことが想定される。第二の点に関して、「東照宮縁起絵巻」(日光東照宮蔵)に描かれた家康像、合戦像を分析した。まず家康は天海や家光の意向を反映して、仏道に発心し武人として成功を収める人物として造形されていることを明らかにした。そして、絵巻にのみ見られる合戦場面は「武」の威光を求める家光の当時の状況と関係していることを指摘し、中世絵巻の構図や図像を利用した上で、家康の合戦での勝利を強調していることを明らかにした。家康の勝利の演出は戦国合戦図屏風にも共通し、彼の勝利を演出する表現は媒体を超えて選択されたとも想定される。以上の分析に共通するのは、過去の作品のイメージをどのように利用したのかという問題である。この問題は他の絵画作品にも共通し、先行研究の蓄積も多い。しかし、本研究が対象とする合戦図屏風や合戦絵巻といった作品では、そのような研究が進んでいるとは言い難く、この問題の検討は武装した武士の姿を描く絵画を位置づける上で必要不可欠な作業である。
著者
池田 忍 柴 佳世乃 久保 勇 伊東 祐子 亀井 若菜 水野 僚子 土屋 貴裕 成原 有貴 メラニー トレーデ 須賀 隆章 中村 ひの
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、日本の中世の物語絵画、とりわけ多様な知識や情報を共有し伝達する媒体であった絵巻の描写を手がかりに、身分と階層を跨る絵巻制作者と享受者の重層的な世界観を明らかにしようとするものである。本研究では、中世の人々の日常生活、労働、信仰、行事、儀礼、合戦の他、異国や異域、神仏化現の舞台となる「場」(型)を抽出・収集し、そこに描かれた建築や環境、多様な「もの」に、身分差や階層差、ジェンダーの差異がどのように描き分けられ、関連付けられているかを具体的に検証し、物語絵画、とりわけ絵巻という媒体の歴史的特性を明らかにした。