著者
香川 修見 片山 薫 神谷 泰宏 今井 裕之 上林 弥彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.5-6, 1997-03-12

遠隔教育システム VIEW Classroom は, ネットワークで接続したコンピュータを介し地域的かつ時間的に分散した教師と学生による教育・学習を効果的かつ円滑に支援する仮想教室システムである. 著者らは, 教師が文字・図形・動画で構成されたハイパーメディア教材を学生の画面ヘ提示して講義し, 学生がその上ヘアンダーライン・メモ・リンクを迫加して自分向きのテキスト(ノート)を作成しながら受講するシステムを開発中である. 専門教育では会話や討論が重要な役割を果している. ネットワークに接続したコンピュータがあれば参加できる遠隔教育では, 現実の教室より遥かに多数の学生が参加する可能性がある. 現在運用されている遠隔教育はビデオ技術を中心としたものが多く, 多数の学生から教師の方向への情報伝達手段が十分でないため同期型の会話が容易ではない. VIEW Classroom は多数の学生が参加する遠隔教育での会話をデータべース技術に基づいて支援するシステムであり次の特徴を持っている. (1)教育・学習環境を同期と非同期の会話が複合する「1対多」の会話モデルとしてとらえる. (2)互いに遠隔地にいる参加者のリアルタイムな会話による教育・学習を支援する. (3)多数の学生との同期会話環境を支援するため, 収集した学生の反応を抽象化し教師及び参加者にリアルタイムで提示する. 本稿では遠隔教育支援システムにおける同期・非同期モデルに基づく会話支援機構を説明する.
著者
香川修見
雑誌
情報教育シンポジウム2001論文集
巻号頁・発行日
vol.2001, no.9, pp.265-265, 2001-08-21

学校で与えられるほとんどの課題には正解が用意されている.学生は正解や正解に到達する方法を教えられ課題に取り組む.しかし,社会で遭遇するほとんどの問題には正解が用意されていない.問題の所在を見付け,調査や議論をして対策を立て,実行して解決に至る. 学生が問題を見付け解決策を考えるスタイルの教育が必要なことは多くの教師が気付いている.海外では特にインターネット普及を契機に,このスタイルヘの取組みが盛んである.しかし,我国では筆者の知る限り,卒業研究などのゼミナール以外で本格的に授業で実施している例は少ない.筆者は大阪学院大学で,情報系と非情報系の学科の学生を対象にコンピュータ演習(選択)を担当している.この科目では,学生は興味のあるテーマを自ら設定し,自分のペースで取り組む.教師からの知識伝達は可能な限り少なくする.即ち「教えない授業」である.学生は自らWebやPowerPointなどのコンピュータツールの使い方を学び,それらを使って調査・発表・報告書提出をし,教師は助言と評価を与えている.途中経過であるが次の成果を得ている.(1)一方的な伝達型の講義に比べ知識や技術の量と定着度が大きく,達成感も大きい.(2)脱落する学生も多く学習の格差が大きい.(3)学生・教師ともに負担が大きい.半年(3時間/週)では足りない.(4)コンピュ-タツールのオンラインマニュアルやサポート要員が重要な役割を果たす.本稿では非情報系学科での「教えない授業」の手法と途中経過について述べる.
著者
片山 薫 香川 修見 神谷 泰宏 對馬 英樹 吉廣 卓哉 上林彌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.2837-2845, 1998-10-15
被引用文献数
17

遠隔講義システムにおいて,記録された講義の検索をサポートすることは重要である.それによって学生が講義の必要な部分だけを復習したり,教師が過去の講義をより簡単に再利用したりすることができる.講義はマルチメディア教材を作成する過程であると見ることができるが,一般にマルチメディアデータの検索は困難である.画像認識技術や音声認識技術を利用して信頼性の高い索引を生成することはまだ容易ではない.我々はこれらの直接的なアプローチとは異なり,マルチメディアデータが作成される過程(講義)で同期をとって結び付けられる,より検索しやすいデータ〔スライドに含まれるテキスト,ペンやポインタ,キーボードなどの入力装置からのイベント情報(動作履歴と呼ぶ)など〕を利用する.これまでの講義システムでは,講義のビデオを結び付けられたスライド(教材)やノートの単位でしか検索することができなかった.我々のシステムでは,テキストデータに対する文字列検索や動作履歴の検索,ビデオの早送りや巻き戻しなど,これら多様なデータのそれぞれに検索機能を提供しそれを組み合わせることによってより柔軟な検索機能を実現する.また,講義中の雑談部分を検索したり,教材をスライドより詳細なブロック(教材の意味的な単位)の単位で検索できるようにするためのユーザインタフェースも提供する.Support of searching recorded lectures is important in distance education systems because students review parts of lectures they need and teachers reuse their past lectures easily.We view lecturing as a process of making multimedia teaching materials.It is difficult to search multimedia data in general.Although automatic scene analysis and speech recognition are very popular among researchers,it is still not easy to form reliable index.Our approach is different from these ways of searching multimedia data directly.We use information which are connected to continuous media such as video and audio with synchronous constraints during lectures,that is,texts contained in slides,sequences of events of pens and pointers(called Action History) and so on.In conventional systems search of lectures is supported only in a unit of slides or annotations.Our system provides a flexible search mechanism by combining search functions for various recorded information,for example,string for texts,a search function for action histories,fast forward and rewind of video and so on.User interfaces are also provided to enable users to search lectures for idle talk or search them in a unit of blocks which are semantic units of slided.