著者
垂水 浩幸 森下 健 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.88, pp.31-36, 1999-10-21
被引用文献数
9

SpaceTagは特定の場所、時間でしかアクセスできないように仕組まれた仮想オブジェクトである。SpaceTagはサーバで管理され、通信手段によって配付される。ユーザは位置センサーと通信手段を備えた携帯端末を持ち、市中を歩き、その場所でしか見えないSpaceTagを見つける。SpaceTagはアクセス制限が強い不便なメディアであるが、ゲーム、観光案内、広告などに利用できる。さらに、ユーザは端末上で作成したSpaceTagをその場に置くこともできる。これは他のユーザに見えるので周囲の不特定多数の人とのコミュニケーションが取れる。本論文では、SpaceTagの広範なアプリケーションについて紹介した後、それらが社会的にどのような影響を及ぼすかについて議論する。SpaceTag is an object that can be accessed only from limited locations and time period. SpaceTags are served and distributed from a central server which should be managed by a service provider. Users of the SpaceTag system can access SpaceTags with portable terminals equipped with location sensors and wireless communication device such as mobile phones. Users walk around in a city and find SpaceTags that can be found only at the location. SpaceTag is thus an inconvenient media, but suitable for gaming, advertising, city guide information, etc. A user can also put a SpaceTag at the location where (s) he is, which can be found by other people nearby. This feature also enables local public communication applications. In this paper, we will argue why this inconvenient but simple virtual platform can support various applications, and also discuss social impacts of these applications.
著者
軽野 宏樹 木實新一 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.49, pp.1-8, 2003-05-16
被引用文献数
7

ALAN-K (Advanced LeArning Network in Kyoto)プロジェクトは京都大学が京都市教育委員会・京都市内の公立学校と協力し、コンピュータを用いた新しい学習環境の構築を目指して昨年9月に発足した。その活動の一つとして、昨年度はオブジェクト指向のプログラミング環境Squeakの機能の一つであるSqueakToysを用いたワークショップを2つの小学校で実施した。その活動で我々の目指すものはアラン・ケイ氏らの理念[1] [2]に影響を受け、実際に最初の2回のワークショップはアメリカから研究員を講師として招いて行い、その後には独自の課題を設定した連続ワークショップを実施した。本稿では、我々のプロジェクトの活動紹介とその考察を行う。The ALAN-K(Advanced LeArning Network in Kyoto) was started in September, 2002 by Kyoto University with the Kyoto City Board of Education and some public schools in Kyoto to achieve new learning environments supported by computer. In the last school year, we had several workshops in two elementary schools. These workshops were based on SqueakToys, which is a part of the Squeak system, an object oriented programming environment. Our visions in this project is largely influenced by the visions of Alan Kay[1],[2] and his colleagues and two of them had visited Kyoto as instructors in the first 2 workshops. After that experience, we designed and practiced a series of original workshops. This paper describes the start-up phase of the ALAN-K project.
著者
山田 直治 李龍 高倉 弘喜 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.509-514, 2002-07-18

WEB上には多種多様な情報が大量に存在するため、利用者の要求に適した情報を収集することが困難になっている。ここでは携帯端末からWEB上に存在する地域情報を収集するために、WEB情報の地域性と記述形式に着目する。既存のキーワード検索では地名の位置情報を考慮していないため、任意の地域的範囲に関する情報を収集することが困難である。また要約情報なのか詳細情報なのかといったWEBページの記述形式を考慮していないため、利用者の要求する情報の詳しさに対応することができない。記憶領域が限られ通信が不安定な携帯端末では利用者の要求する情報のみを提供する必要があるため、これらは大きな問題である。ここでは地名の位置情報を利用してWEBページが着目する地域を特定する。またHTMLタグや品詞の出現度数の特徴からWEBページを目次型、要約型、詳述型の3つのタイプに分類する。最後に利用者の特定の地域に対する興味の深さに基づき、2つの尺度を用いた携帯端末へのキャッシュアルゴリズムについて述べる。Due to the rapid increase of the amount of web pages on the Internet, it is difficult to collect information that satisfies users' queries. This paper focuses on the geographic characteristics and description types of web resources. Keyword based search does not take account of the positional information of geographic names so that it cannot collect web resources on specific region. Furthermore, because a web page is treated without considering whether it contains detailed information or summarized one, the page may not satisfy users' requirements. In this paper, a method to determine the geographic scope and level of details of web pages is developed. Geographic scope is identified with the positional information of geographic names. Level of Details classified web pages into three types, "table-of-contents type", "summary type", and "detailed description type", with HTML tags and frequency of parts of speech. The cache algorithm with these two measures for mobile computing based on users' interests is also described.
著者
木實 新一 上林 弥彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.96, no.440, pp.33-40, 1996-12-21

コンピュータ上の仮想世界を示す言葉「サイバースペース」はSF小説で用いられたのがはじめであるが, 現在この言葉は我々にとって身近な存在となっている. ふだん電子メールやWWW, ネットニューズ, チャットを利用しているとき, 我々はサイバースペースにいる. 現在のサイバースペースはさまざまな問題を抱えており, それらが顕在化しつつある. しかしながら, 仮想世界と現実世界の結び付きは多種多様であるため, それらの問題を一般的に解決することは困難である. このことが顕著に表れるのが, サイバースペースにおけるレイプの問題である. 最近のネットワーク社会の問題についても触れ, 解決法についても議論する.
著者
手塚太郎 李龍 高倉 弘喜 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.503-508, 2002-07-18
被引用文献数
1

World Wide Web(以下、WWW)は日常的な情報収集の手段として広く用いられているが、地域関連情報の検索はその重要な一角を占める。本研究ではWWW上のテキストデータに対する内容解析によって人間の地理空間認知の構造を明らかにし、地域情報検索の効率化に役立てる。自然言語において地名は格助詞を伴って現れることが多い。そこで格助詞の意味分析を行ない、共起しやすい格助詞の種類によって地名を特性付けした。地名には狭義と広義のふたつの意味を持つものが多く、解釈において困難を生じさせているが、その判定に格助詞との共起パターンを用いられることを示した。World Wide Web is now widely used as a tool for daily information search. One important usage of WWW is to search local information. Our paper discusses human cognition on geographic space. In Japanese text data, most place names appear with case intensifying particles. We performed analysis on case intensifying particles and characterized place names based on which particles it is likely to co-occur with. There are many place names that have more than one meaning: the original meaning and the extended meaning, which surrounds the original. We showed that the characterization based on case intensifying particles could be used to determine such duplication of the meaning.
著者
軽野 宏樹 木實新一 上林 弥彦
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.49(2003-CE-069), pp.1-8, 2003-05-16

ALAN-K (Advanced LeArning Network in Kyoto)プロジェクトは京都大学が京都市教育委員会・京都市内の公立学校と協力し、コンピュータを用いた新しい学習環境の構築を目指して昨年9月に発足した。その活動の一つとして、昨年度はオブジェクト指向のプログラミング環境Squeakの機能の一つであるSqueakToysを用いたワークショップを2つの小学校で実施した。その活動で我々の目指すものはアラン・ケイ氏らの理念[1] [2]に影響を受け、実際に最初の2回のワークショップはアメリカから研究員を講師として招いて行い、その後には独自の課題を設定した連続ワークショップを実施した。本稿では、我々のプロジェクトの活動紹介とその考察を行う。
著者
香川 修見 片山 薫 神谷 泰宏 今井 裕之 上林 弥彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.5-6, 1997-03-12

遠隔教育システム VIEW Classroom は, ネットワークで接続したコンピュータを介し地域的かつ時間的に分散した教師と学生による教育・学習を効果的かつ円滑に支援する仮想教室システムである. 著者らは, 教師が文字・図形・動画で構成されたハイパーメディア教材を学生の画面ヘ提示して講義し, 学生がその上ヘアンダーライン・メモ・リンクを迫加して自分向きのテキスト(ノート)を作成しながら受講するシステムを開発中である. 専門教育では会話や討論が重要な役割を果している. ネットワークに接続したコンピュータがあれば参加できる遠隔教育では, 現実の教室より遥かに多数の学生が参加する可能性がある. 現在運用されている遠隔教育はビデオ技術を中心としたものが多く, 多数の学生から教師の方向への情報伝達手段が十分でないため同期型の会話が容易ではない. VIEW Classroom は多数の学生が参加する遠隔教育での会話をデータべース技術に基づいて支援するシステムであり次の特徴を持っている. (1)教育・学習環境を同期と非同期の会話が複合する「1対多」の会話モデルとしてとらえる. (2)互いに遠隔地にいる参加者のリアルタイムな会話による教育・学習を支援する. (3)多数の学生との同期会話環境を支援するため, 収集した学生の反応を抽象化し教師及び参加者にリアルタイムで提示する. 本稿では遠隔教育支援システムにおける同期・非同期モデルに基づく会話支援機構を説明する.
著者
森下 健 中尾 恵 垂水 浩幸 上林 弥彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.2689-2697, 2000-10-15

SpaceTagは位置と時間の属性を持ち,特定の場所と特定の時間でのみアクセス可能な仮想オブジェクトである.位置センサと通信装置を備えたモバイル携帯端末を持って街を歩くユーザは,周囲にあるSpaceTagのみを見つけることができ,また自分のいる場所にのみSpaceTagを作成することができる.このようにSpaceTagシステムは情報が位置依存で提供されることからモバイル情報システムであり,また現実世界に情報を付け加えるので拡張現実感システムでもある.SpaceTagシステムは情報へのアクセスを現実世界の位置と時間によって制限するので,WWWなどと比較して不便なシステムといえるが,情報にはアクセスが困難だからこそ価値がある場合があると我々は考える.SpaceTagは公共の情報サービスとしての提供が想定され,観光案内,広告,地域掲示板,実世界ゲーム,局所通信などの応用が考えられる.SpaceTagはシンプルな概念であり,現在の技術でも比較的安価に実現が可能である.本論文ではこのSpaceTagプロトタイプシステムの設計と実装について説明する.
著者
伊藤 ちひろ 岩井原 瑞穂 上林 弥彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.378, pp.13-18, 2002-10-11

インターネットの発展により、電子商取引の機会が増大している。電子商取引の特徴は、互いに会ったことのないような当事者間での金品の授受が行われることである。このような取引では、認証などの手段によってあらかじめ取引相手の身元が保証される訳ではない。従って、相手を完全に信頼した取引を行うことは困難となるため、相手のリスクを考慮した機構が必要である。本稿では、このようなリスク管理のために分割送付を行う商品と代金の交換機構において,取引が中断された場合の回復プロトコロルについて述べる.また、また、取引の中止によって起こり得る損害の回復方法として、保険の導入について述べる。
著者
森下 健 中尾 恵 垂水 浩幸 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.2689-2697, 2000-10-15
被引用文献数
13

SpaceTagは位置と時間の属性を持ち,特定の場所と特定の時間でのみアクセス可能な仮想オブジェクトである.位置センサと通信装置を備えたモバイル携帯端末を持って街を歩くユーザは,周囲にあるSpaceTagのみを見つけることができ,また自分のいる場所にのみSpaceTagを作成することができる.このようにSpaceTagシステムは情報が位置依存で提供されることからモバイル情報システムであり,また現実世界に情報を付け加えるので拡張現実感システムでもある.SpaceTagシステムは情報へのアクセスを現実世界の位置と時間によって制限するので,WWWなどと比較して不便なシステムといえるが,情報にはアクセスが困難だからこそ価値がある場合があると我々は考える.SpaceTagは公共の情報サービスとしての提供が想定され,観光案内,広告,地域掲示板,実世界ゲーム,局所通信などの応用が考えられる.SpaceTagはシンプルな概念であり,現在の技術でも比較的安価に実現が可能である.本論文ではこのSpaceTagプロトタイプシステムの設計と実装について説明する.A SpaceTag is a data object with attributes of location and time, which can be accessed only from limited locations and time period. Users of the SpaceTag system walk around in a city with a portable terminal equipped with location sensors and wireless communication device. They can find SaceTags only around their location. They can also create and put SpaceTags at only their location.It is a mobile information system because information is location-aware, as well as it is an augmented reality system because it attaches information onto the real world. The SpaceTag system restricts the users to access information by their location and time of the real world. Therefore it is a inconvenient system comparing with WWW.However, we insist that information sometimes has its value because it is hard to access.The SpaceTag system can be provided as a public information service that is a common platform for tourist information, advertising, local bulletin board systems, games in the real world, instant communities, etc. SpaceTag is a simple concept, andit can be realized by the present technologies without much cost.This paper describes the design and implementation of the SpaceTag prototype system.