- 著者
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久保田 多余子
香川 聡
児玉 直美
- 出版者
- 独立行政法人森林総合研究所
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2013-04-01
東日本大震災の津波を受け、震災直後健全に見えた森林においても、2011年夏以降、塩害による衰弱や枯死が見られた。本研究は津波被害を受けつつ生存したクロマツ林において、年輪セルロースの炭素安定同位体比(δ13C)の季節変化を調べ、塩害によってマツが枯死に至る過程を明らかにした。震災前の年輪セルロースのδ13Cは早材で小さく晩材で高くなる季節変化を示していた。震災後は早材形成初期からδ13Cの差(被害木-無被害木)が有意に高く、早材初期で最高値を取り、晩材で減少した。これは津波直後の春に水ストレスを受けてδ13Cが上がり、その後海水が排水され、水ストレスが下がってδ13Cが下がったと考えられた。