著者
香田 智則 西岡 昭博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.488-489, 2019-10-20 (Released:2020-10-01)
参考文献数
5

小麦粉はクッキー,ケーキ,ドーナツなどのスイーツを作るためには欠かせない食材となっている。しかしながら,小麦アレルギーや小麦粉の生地に含まれるグルテンが引き起こす健康上の症状への対応から,小麦を使わないグルテンフリーの食品が注目を集めている。ここでは,我々が提案してきた小麦粉の代替えとして米粉を用いる新たな手法について述べる。小麦粉に比べて粘り気の少ない米粉の生地を使う際には,アルファ化した米粉を用いることが有効である。アルファ化した米粉を考える上で,デンプン分子をほどくことが基本になっていることを概説する。
著者
西尾 太一 西岡 昭博 香田 智則 宮田 剣
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

経皮薬剤の分野においては、適量を持続的に一定期間投与できる製品が求められている。この要請に対し、本研究課題ではポリエチレン(PE)フィルム内に薬剤を供給するセルロース粉体を分散させた薬剤経皮貼付フィルムを創成するための研究を実施した。PEフィルム表面に供給される薬剤の濃度を表面拡散量と定義し、その影響をフィルム表面における結露実験と表面反射光の赤外吸収スペクトルで評価した。本研究課題を実施した結果、吸収母材となるセルロースの結晶化度を調整することで薬剤供給の速度が制御できることが分かった。また、PEの結晶化度を制御することで表面拡散量の定常化(0次放出)が実現できることが確認できた。
著者
西岡 昭博 香田 智則
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の結果、(1)従来にない斬新な米デンプンの変性法、(2)(1)の手法で得た改質デンプンと汎用プラスチック材料とのコンポジット技術の開発に成功した。具体的には、(1)において加熱とせん断を同時に印可することにより無加水で瞬時に米デンプンを非晶化できる技術を開発した。また、この技術を基盤に加熱・せん断型粉砕装置の開発に成功した。(2)では、(1)の研究結果から得られた非晶性デンプンと(a)エチレンメタクリル酸共重合体をNaイオンで中和したアイオノマー、(b)ポリブチレンサクシネート(以下、PBS)、(c)ポリ乳酸(以下PLA)の3種類の材料とのコンポジットを行い、分散性、熱安定性、機械特性、溶融物性を評価した。比較として米粉には、市販の米粉(結晶性デンプン)、市販の非晶性デンプンも使用した。本研究で得られた新規変性デンプンコンポジット材料の特徴は以下の通りである。(1) 結晶性デンプン、市販の非晶性デンプンと比較して、著しく分散性が優れる。(2) 重量分率10%までの添加では添加前のバージン材料と比較し、物性(機械的)が劣らない。このことは結晶性デンプンや市販の非晶性デンプンには見られない効果であった。(3) 重量分率50%までの添加が可能であり、本研究で用いた新規変性デンプンを添加した系は最も物性低下が少ない。(4) 新規変性デンプンは、優れた結晶核剤として作用することが分かった。本研究の結果、従来の手法と全く異なる手法でデンプン変性が可能であり、得られた変性デンプンが生分解性樹脂等の優れた添加剤となり得ることが明らかになった。