著者
高倉 伸幸
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.603-608, 2014 (Released:2014-10-24)
参考文献数
14

要約:従来より,既存の血管に存在する血管内皮細胞は,どれも単一な細胞集団であり,既存の血管から新しい血管が形成される際にも,既存血管から単調に細胞増殖と細胞移動が生じて,新規血管分枝が形成されると考えられてきた.しかし,実際にはそうではなく,血管新生の過程では血管分岐の方向を決定するガイド役の内皮細胞や,増殖活性が高く血管分枝の長さを決める内皮細胞,そして血管を成熟させる内皮細胞の少なくとも異なる3種の内皮細胞が存在することが判明してきた.さらに,既存の血管には未分化性を維持して,かつ内皮細胞の産生能の極めて高い幹細胞様の細胞も存在することが解明されてきている.
著者
高倉 伸幸
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.28-33, 2012-01-30 (Released:2012-04-27)
参考文献数
20

がん細胞はがん幹細胞により構築されることが明らかにされてきた。幹細胞が自己複製や未分化性を維持する領域は“幹細胞ニッチ”と呼ばれ、いわゆる幹細胞にとっての生態学的な適所を提供する。ニッチは細胞毒性のある薬剤や物質から幹細胞を防御する盾としての機能を有することから、がん幹細胞のニッチの破綻によるがん幹細胞治療法が考慮されつつある。近年、このようながん幹細胞の生態学的適所を提供する微小環境のひとつとして、血管領域が示唆されてきており、また血管領域での幹細胞性因子の探索が行われつつある。
著者
澤根 美加 大田 正弘 山西 治代 本山 晃 高倉 伸幸 加治屋 健太朗
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-196, 2012
被引用文献数
1

皮膚には血管・リンパ管からなる微小循環系がはりめぐらされており,皮膚は全身の臓器と同様に,血管から栄養や酸素を供給され,リンパ管から過剰な水分や老廃物を排出されることで恒常性を維持している。皮膚の恒常性維持に微小循環系は重要と考えられるが,皮膚老化への関わりとその分子メカニズムについては未知な部分が多かった。本研究では,加齢による皮膚老化が循環系機能の低下によって引き起こされ,さらにその循環系機能を血管安定化にかかわる受容体Tie2 (endotheliumspecific receptor tyrosine kinase 2) が制御することを明らかにした。まず,ヒト皮膚組織を用いて循環系変化を解析したところ,加齢で血管およびリンパ管の構造が不安定化し,機能が低下していた。さらに,そのメカニズムはTie2の活性化の低下に起因していた。Tie2は血管と同様,リンパ管機能や成熟化にも寄与しており,Tie2の活性化が血管・リンパ管の安定化に重要であった。そこで,Tie2を活性化する薬剤を網羅的に探索した結果,ケイヒエキスを同定した。
著者
澤根 美加 大田 正弘 山西 治代 本山 晃 高倉 伸幸 加治屋 健太朗
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-196, 2012-09-20 (Released:2014-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

皮膚には血管・リンパ管からなる微小循環系がはりめぐらされており,皮膚は全身の臓器と同様に,血管から栄養や酸素を供給され,リンパ管から過剰な水分や老廃物を排出されることで恒常性を維持している。皮膚の恒常性維持に微小循環系は重要と考えられるが,皮膚老化への関わりとその分子メカニズムについては未知な部分が多かった。本研究では,加齢による皮膚老化が循環系機能の低下によって引き起こされ,さらにその循環系機能を血管安定化にかかわる受容体Tie2 (endotheliumspecific receptor tyrosine kinase 2) が制御することを明らかにした。まず,ヒト皮膚組織を用いて循環系変化を解析したところ,加齢で血管およびリンパ管の構造が不安定化し,機能が低下していた。さらに,そのメカニズムはTie2の活性化の低下に起因していた。Tie2は血管と同様,リンパ管機能や成熟化にも寄与しており,Tie2の活性化が血管・リンパ管の安定化に重要であった。そこで,Tie2を活性化する薬剤を網羅的に探索した結果,ケイヒエキスを同定した。
著者
高倉 伸幸
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.28-33, 2012

がん細胞はがん幹細胞により構築されることが明らかにされてきた。幹細胞が自己複製や未分化性を維持する領域は"幹細胞ニッチ"と呼ばれ、いわゆる幹細胞にとっての生態学的な適所を提供する。ニッチは細胞毒性のある薬剤や物質から幹細胞を防御する盾としての機能を有することから、がん幹細胞のニッチの破綻によるがん幹細胞治療法が考慮されつつある。近年、このようながん幹細胞の生態学的適所を提供する微小環境のひとつとして、血管領域が示唆されてきており、また血管領域での幹細胞性因子の探索が行われつつある。