著者
高木 斗希夫 藤井 範久 小池 関也 阿江 通良
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.216-224, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21
被引用文献数
10 1

本研究では,野球における速度の異なるボールに対する打撃動作に影響を及ぼす力学的要因を明らかにすることを目的とした.速度の異なるボール(75-80km/h,100-105km/h,125-130km/h)を被験者に打撃させ,3 次元自動動作分析システムを用いて動作を計測するとともに,2 台のフォースプラットフォームを用いて両足下の地面反力を計測した.下肢及び体幹部に作用する関節力および関節トルク,さらに股関節トルクを下胴の長軸周りの軸へ投影した成分(下胴回転成分)などを算出した.その結果,ボール速度の大きい条件では,投手方向への身体の移動に関与する力積が小さく,この要因として踏出足接地から身体重心速度が最大値に到達する時点までの動作時間の短さが大きく影響を及ぼしていた.また,ボール速度の大きい条件では,軸足側では股関節外転トルクの下胴回転成分,踏出足側では股関節屈曲トルクの下胴回転成分が大きく作用していた.
著者
高木 斗希夫 藤井 範久 小池 関也 阿江 通良
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.158-166, 2008 (Released:2010-12-13)
参考文献数
22
被引用文献数
16 5

本研究では,球速の異なるボールに対する野球の打撃動作の特徴を明らかにすることで,打撃の正確性に影響を及ぼす動作要因について検討することを目的とした.球速の異なるボール( 75km/h,100km/h,125km/h)を被験者に打撃させ, 3次元自動動作分析システムを用いて動作を計測した.打撃の正確性を評価する指標としてインパクト角を用いて,身体の並進および回転動作と打撃の正確性との関連について検討を加えた.その結果,ボール速度が大きい条件( 125km/h)においては,身体重心の並進移動距離を小さくするとともに,上胴部およびバットの回転動作範囲を小さくすることが打撃の正確性を高める動作であると考えられた.さらに,体幹の捻り角度および捻り戻しの角速度の最大値にはボール速度条件による有意な差は認められなかったため,これらの動作はボール速度に関わらずスイングに必要な動作であると考えられた.
著者
高木 斗希夫 湯浅 景元 Tokio TAKAGI Kagemoto YUASA
雑誌
中京大学体育学論叢 = Research journal of physical education Chukyo University (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.47-51, 2002-11-08

野球のバッティングにおける腰の回転と下肢の長軸回りの回転の様子を明らかにするため、鉛直上方より右打者において打撃動作中の腰角度および長軸回りの右脚角度を求めた。また、独自の器具を打者の右腰および右膝に装着させ、打撃動作に伴う腰の動きと右脚の動きの関連性について調べた。その結果、以下の結果が得られた。1) バットのヘッドスピードの速い打者はスイング前半から腰の回転が右脚の内旋よりも先行して行われていた。また、L (右側腸骨外側延長点から右膝外側延長線まで延ばした垂線の距離) の値は打撃動作に伴い減少し、打撃動作の比較的早い段階で0に達していた。2) バットのヘッドスピードの遅い打者はスイング前半から腰の回転に比べ右脚の内旋が先行して行われていた。また、Lの値は-192msecから増加傾向を示し、インパクト直前で0に達していた。