著者
高柳 和江
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.51-57, 2007 (Released:2007-07-19)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

医学文献では笑いについての科学的研究が少ないが,人間のコミュニケーションには大切である.補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くするが,ブラックユーモアなどは,時に鬱の患者さんに,反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である. 多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療での笑いとはこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供し笑いをひきだすことで精神的・身体的効果を得ることにある. I. 総説で笑いの中枢と回路,笑いと表情,笑いによるからだの動き,笑いの発達段階などを俯瞰した後,II. 具体的な補完代替医療として,病気の軽快を目的とした試みや方法を述べ,III. 現場での取り組みとして,著者が行っている笑い療法士について紹介する.
著者
手代木 純 高柳 和江 井口 義也 狩谷 達之 半田 真理子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.875-878, 2009 (Released:2010-06-24)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

In order to verify the increased comfort level, which can be achieved by increasing the shade provided by greenery in urban areas, we conducted the following experiment in the summer of 2007. We created a shaded green area in Tokyo with trees planted in containers, and measured the physiological and psychological effects on people and the cooling effect on the environment. When we measured the relative temperature before and after the installation (the green shaded area and the paving blocks) and compared the results inside the green shaded area against an un-shaded area, we found that a reduction of 2~3degree C had been achieved. Furthermore, we carried out a physiological test of the effects on twenty subjects and by testing their saliva we found that there had been a notable decrease in the level of cortisol. In a mood-profiling test (Profile of Mood States) we found that the subjects' irritability and aggression scores were also significantly lower, when measured before and after, under the shaded green area. These results indicate that even with a small area of shaded greenery, a certain level of environmental cooling can be achieved and they also demonstrate that there is an improvement in the physiological and mental state of people living in urban environments, proving, therefore, with quantitative data that there is a possibility for green shaded areas to make city life more pleasant.
著者
広保 正 石井 弘 高柳 和江 玉田 孝人
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-5, 1984-03-30

千葉県農業大学校果樹園,(株)マザー牧場農園で1982年8月に収穫したラビットアイ・ブルーベリーの3品種(ホームベル,ウッダード,ティフブルー)の糖,有機酸,遊離アミノ酸の組成および成熟に伴う変化を調べた.ラビットアイ・ブルーベリーの主な糖はフルクトースとグルコースで,熟果のフルクトース/グルコースの比は1.31〜1.51であった.熟度が進むに従いフルクトースとグルコースはともに増加し,フルクトース/グルコースの比は熟度による変化はほとんどみられなかった.有機酸はほとんどがクエン酸で,少量のリンゴ酸とキナ酸を含み,熟度が進むといずれも減少した.遊離アミノ酸はアルギニン,アスパラギン,グルタミン酸,ホスホセリン,γ-アミノ酪酸の含有量が高く,ホームベル,ウッダードがティフブルーより高い傾向がみられた.また熟度によって,遊離アミノ酸の含有量はほとんど差がなかった.
著者
高柳 和江
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.145-152, 2008 (Released:2008-07-09)
参考文献数
35
被引用文献数
2 2

都市部繁華街に緑陰を置いた場合に,生理的心理的身体的にどう変化するかが本研究の目的である. 方法:健康な 20–26 歳の大学生 20 人を,秋葉原駅広場に,夏日の朝に樹木および 68 m2 の芝生を敷き詰めた緑陰環境と,コントロールとして同じ西口広場のテントに 10 人ずつを 1 時間すわらせた.介入前後に心理的身体的測定をおこなった. 結果:緑陰群で介入後,POMS で怒り・敵意が減少した (p<.01).コントロール群で有意の差はみられなかった.ワルテッグ描画テストで緑陰群はプラスの変化または,安定していたが,コントロール群では有意にマイナス方向への変化があった.唾液コルチゾールはコントロール群は下がったが,緑陰群は有意に下がった (p<0.05). 結論:都市構造の中での緑地は健康に好影響を及ぼすことが結論づけられた. この成果は国土交通省が委託し,(財)都市緑化技術開発機構が受託をして,著者が協力して行った調査研究で得られものである.