- 著者
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黒川 洸
尾島 俊雄
高橋 信之
増田 幸宏
小澤 一郎
- 出版者
- 早稲田大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2005
首都直下地震対策が緊急の課題である現在、世界に多大な影響力を持つ東京の企業の業務中枢機能を維持することが重要である。ミュンヘン再保険会社が発表した都市のリスク指数では、東京の危険度は710と他の都市の高くても100前後という値に比べて非常に高く、国際的に東京の危険性が危惧され、今後東京での国際的企業の経済活動が阻害される恐れがある。現在国際的に行政のみならず民間企業も地震リスクに対策を行うことが必要とされている。特に中央防災会議首都直下地震専門対策委員会においても、企業が災害時に重要業務を継続するためのBCP(事業継続計画)の策定を行うことが必要と報告されている。しかし日本の企業の地震リスク対策は不十分であり、ここ30年以内に起こる可能性の高い首都直下地震による多大な被害も懸念される。そこで企業が具体的にこれらの地震リスクを低減し事業継続を行なうための防災投資の提案を行う必要がある。都市の防災基盤整備としての安全街区構築のためのスキーム検討として、新たな保険制度の提案を目指して下記項目について検討を進めた。BCPのISO化や、企業統治の一環として企業の一層の危機管理が求められる中で、都市のライフラインや建築の設備系統を強固に整備して、特別に信頼性を高めた地域を、日本独自の「安全街区」として提案する。こうした「安全街区」が実現した場合の、安全街区内の高い仕様の建物について、地震利益保険や再保険市場での査定、あるいは不動産投資市場における評価への影響について調査を行った。また海外への研究発表に重点をおいて研究活動を進めた。また、環境と防災両面に資する「都市環境インフラ」の構築に向けての包括的な概念検討を継続して進めており、関連の実測調査や現地調査、文献調査を組み合わせ、今後の研究展開に資する基盤的な要素について幅広く検討を行い成果を得た。研究は、1.人工系都市基盤・都市インフラに関連する研究、2.都市内自然資本に関連する研究、3.各都市の基礎調査、4.安全・安心確保のための関連事例等の基礎調査に分類される。関連する社会的な要求を背景に、意義ある研究を行うことができた。研究助成に御礼申し上げる次第である。