著者
大西 康貴 日浅 芳一 村上 尚嗣 中川 貴文 當別當 洋平 陳 博敏 宮崎 晋一郎 馬原 啓太郎 小倉 理代 宮島 等 弓場 健一郎 高橋 健文 岸 宏一 細川 忍 大谷 龍治
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.43-46, 2009-03-25

症例1は46歳女性.2007年10月に2回,食事中に失神発作があった.近医でのホルター心電図にて,最大で6.5秒間の心停止を伴う発作性房室ブロックが確認された.当院入院中にも夕食時に一致して4.5秒の発作性房室ブロックによる心停止がみられた.心エコーなどその他の画像検査でも異常は認められなかった.以上から,失神発作の原因は嚥下性失神によるものと考え,永久ペースメーカー植え込み術を行った.術後,失神の再発は認めていない.症例2は,74歳男性.10年前より年に2,3回,固い物を飲み込んだときにボーっとすることがあった.2008年4月,食事中に意識消失発作があり,近医でのホルター心電図にて,食事中に最大6.3秒間の心停止を伴う高度房室ブロックが認められた.現在,永久ペースメーカー植え込み術を勧めているところである.
著者
大谷 龍治 當別當 洋平 米田 浩平 泉 智子 安岡 辰雄 宮島 等 小倉 理代 弓場 健一郎 高橋 健文 細川 忍 岸 宏一 日浅 芳一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.657-663, 2016 (Released:2017-06-15)
参考文献数
20

症例は60歳, 男性. 2015年4月, 夜間嘔吐後に心肺停止状態となり, 救急要請された. 救急隊到着時は心室細動 (ventricular fibrillation ; VF) で, 自動体外式除細動器 (automated external defibrillator ; AED) にて除細動後, 自己心拍が再開し当院に搬送された. 来院時, 心電図にJ波はみられず, 下・側壁誘導にST低下を認めたものの心臓超音波検査で壁運動異常はみられなかった. 意識レベルの低下が遷延しており, 呼吸状態も不安定なため, 鎮静・気管内挿管下に低体温療法を開始した. 治療開始30分後からVFを生じ, 体温が35°C以下に低下後は電気的ストームとなった. 抗不整脈薬による抑制効果はなく電気的除細動を繰り返した. 12誘導心電図を再検したところ, 初診時には認めなかったJ波が広範な誘導に出現しており, 低体温によって顕性化したものと判断した. 低体温療法を中止し, イソプロテレノールの持続静注を開始したところ, 速やかにJ波は消失し, VFの抑制が得られた. 体温が正常化後は, イソプロテレノールを中止してもJ波は出現せず, 以後VFを生じることはなかった. 心肺蘇生後症例の低体温療法時には, J波が顕性化してVFを生じる症例があることに注意すべきと思われた.