著者
井坂 円香 當別當 洋平 大谷 龍治 日浅 芳一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.2324-2330, 2018-11-10 (Released:2019-11-10)
参考文献数
7

27歳,男性.心肺停止蘇生後に入院した.経過中に38℃台の発熱があり,その際の心電図でV1-2誘導に典型的なcoved型ST上昇を認め,Brugada症候群と診断した.Brugada症候群はJ波症候群に含まれるが,J波は日内変動や日差変動,体温に伴う変動等を認め,Brugada型心電図は,時に発熱で顕著になる.入院時に有意な心電図変化を認めていなくても,心肺停止蘇生例では心電図記録を繰り返し行うことが重要である.
著者
大西 康貴 日浅 芳一 村上 尚嗣 中川 貴文 當別當 洋平 陳 博敏 宮崎 晋一郎 馬原 啓太郎 小倉 理代 宮島 等 弓場 健一郎 高橋 健文 岸 宏一 細川 忍 大谷 龍治
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.43-46, 2009-03-25

症例1は46歳女性.2007年10月に2回,食事中に失神発作があった.近医でのホルター心電図にて,最大で6.5秒間の心停止を伴う発作性房室ブロックが確認された.当院入院中にも夕食時に一致して4.5秒の発作性房室ブロックによる心停止がみられた.心エコーなどその他の画像検査でも異常は認められなかった.以上から,失神発作の原因は嚥下性失神によるものと考え,永久ペースメーカー植え込み術を行った.術後,失神の再発は認めていない.症例2は,74歳男性.10年前より年に2,3回,固い物を飲み込んだときにボーっとすることがあった.2008年4月,食事中に意識消失発作があり,近医でのホルター心電図にて,食事中に最大6.3秒間の心停止を伴う高度房室ブロックが認められた.現在,永久ペースメーカー植え込み術を勧めているところである.
著者
大谷 龍治 當別當 洋平 米田 浩平 泉 智子 安岡 辰雄 宮島 等 小倉 理代 弓場 健一郎 高橋 健文 細川 忍 岸 宏一 日浅 芳一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.657-663, 2016 (Released:2017-06-15)
参考文献数
20

症例は60歳, 男性. 2015年4月, 夜間嘔吐後に心肺停止状態となり, 救急要請された. 救急隊到着時は心室細動 (ventricular fibrillation ; VF) で, 自動体外式除細動器 (automated external defibrillator ; AED) にて除細動後, 自己心拍が再開し当院に搬送された. 来院時, 心電図にJ波はみられず, 下・側壁誘導にST低下を認めたものの心臓超音波検査で壁運動異常はみられなかった. 意識レベルの低下が遷延しており, 呼吸状態も不安定なため, 鎮静・気管内挿管下に低体温療法を開始した. 治療開始30分後からVFを生じ, 体温が35°C以下に低下後は電気的ストームとなった. 抗不整脈薬による抑制効果はなく電気的除細動を繰り返した. 12誘導心電図を再検したところ, 初診時には認めなかったJ波が広範な誘導に出現しており, 低体温によって顕性化したものと判断した. 低体温療法を中止し, イソプロテレノールの持続静注を開始したところ, 速やかにJ波は消失し, VFの抑制が得られた. 体温が正常化後は, イソプロテレノールを中止してもJ波は出現せず, 以後VFを生じることはなかった. 心肺蘇生後症例の低体温療法時には, J波が顕性化してVFを生じる症例があることに注意すべきと思われた.
著者
近藤 直樹 日浅 芳一 岸 宏一 藤永 裕之 大石 佳史 大谷 龍治 和田 達也 相原 令
出版者
医学書院
雑誌
呼吸と循環 (ISSN:04523458)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1117-1120, 1993-11-15

フェノチアジン系向精神薬により誘発された致死的心室性不整脈の1例を報告する.症例は55歳,男性.二度の大動脈弁置換術の既往がある.1991年暮れ頃より,弁不全のため再度置換術の予定となった.同年頃よりうつ状態のためフェノチアジン系向精神薬やスルピリドを内服していた.1992年3月,失神発作があり,モニター心電図上,心室頻拍,Tor-sade de Pointes(Tdp)などの致死的不整脈を認めた.薬剤の中止にて不整脈は消失した.その後これらの向精神薬を再開後,再び同様の不整脈が発生したため,薬剤の中止と永久ペースメーカーの植え込みを行った.術前の不安感のため少量のフェノチアジン系向精神薬を再開した.術後10日目失神発作があり心室頻拍,Tdpの頻発を認めた.これら不整脈発作時には電解質は正常であった.術12日後,多臓器不全で死亡した.致死的不整脈の発生に,心血管系に作用が弱いフェノチアジン系向精神薬の関与が疑われたため報告した.