著者
金子 文成 大西 秀明 大畑 光司 高橋 容子 松田 雅弘 森岡 周
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.95-98, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
10

経頭蓋磁気刺激(以下,TMS)に関して,Baker らの報告以来,これまでに多くの研究が報告されてきた。 非観血的な方法であることから理学療法に関連する学術大会や学術誌においてこの方法を用いた研究が報告される例は多く,患者を対象とする臨床研究も散見されるようになってきた。このような状況を鑑み,当該刺激方法に関する安全性を検討する委員会を有する国内学会や,国際的な指針からの情報を簡潔にまとめ,理学療法領域の研究に従事する方々に情報共有することが肝要との判断から,声明を発出するに至った。TMS を用いた研究にかかわる場合には,必要な知識の習得と十分なトレーニングが重要であり,今後,大学院カリキュラムのレベル,あるいは卒後教育のレベルで,トレーニングの標準化を検討するべきであろう。現時点では個々人の技術と知識の習熟状況,および実施環境などから慎重に行われつつ,さらに知見が蓄積されていくことを望む。
著者
高橋 英雄 高橋 広志 高橋 容子 鎗田 響子 猪股 智夫 佐野 文子 西村 和子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.152, 2005

2005 年 9 月 1 日より輸入動物の検疫体制が整う予定であるが,すでに輸入された動物が保菌している病原体は世代を超えて感染が広がっている.今回,国内の動物園で繁殖し飼育されている 5 ヶ月齢のカナダヤマアラシに <I>Arthroderma benhamiae</I> による脱毛が発症した.同居している母個体はカナダ,父個体はアメリカ合衆国から輸入されたもので,無症状であったが,同菌種を保菌していた.分離菌株は当該獣より 4 株,母獣より 5 株,父獣より 2 株分離され,いずれも形態,rRNA 遺伝子の ITS 領域の配列,<I>A. benhamiae</I> Americano-European race との交配成立から同種と同定した.11 株のうち 42℃ で生育可能であった株は母由来 1 株,ITS 領域の配列は母由来 2 種,他は 1 種で GenBank 登録配列とは一致せず,RAPD バンドパターンも複数種確認した.この家族内感染は国内未確認の遺伝子型をした <I>A. benhamiae</I> 複数株によるものであった.なお,同動物園ではふれあい動物園を併設していることから,飼育しているげっ歯目および食虫目動物 33 頭について皮毛を培養したが,本菌種は分離されなかった.<I>A. benhamiae</I> によるヒト感染は命に関わる疾患ではないが,この家族内保菌・感染はすでに輸入された個体が我が国に無い病原体を保持し,それを次世代に伝播している一例である.他の真菌,原虫,細菌,ウイルスによる感染症も同様な状況が推測されるため,人と動物の共通感染症の予防にはすでに輸入された動物にも細心の注意が必要である.