著者
望月 隆
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.14, 2005

<I>Trichophyton</I> (<I>T.</I>) <I>tonsurans</I> 感染症は 1990 年初頭から北アメリカ各地、スエーデン、韓国、ドイツなどの格闘技愛好者の間に流行している。本邦においては 2001 年から培養で本菌によることが確認された集団発生例が報告されたが、おそらく 1995 年頃以前から当初レスリング部員、その後柔道部員の間で集団発生が始まっていたと考えられる。昨年の本学会においては、本症の発生状況を明らかにするためにシンポジウムが行われ、本症が高等学校、大学などの柔道、レスリング競技者を中心にすでに全国的に蔓延していること、当初強豪校を中心としていた感染の範囲が拡大していること、家族への二次感染例があること、一般への拡散はいまだ確認されていないことなどが明らかになった。したがって、今後は効果的な治療、予防策の提案が急務と考えられる。現在のところ本症の診断、治療のガイドラインとしては「柔道選手の皮膚真菌症 ブラシ検査・治療・予防のガイドライン」(比留間政太郎他 編集室なるにあ 2003 年 9 月)、ならびに「<I>Trichophyton tonsurans</I> 感染症の診断・治療・予防のガイドライン2004」(<I>T. tonsurans</I> 感染症対策委員会編 順天堂大学医学部皮膚科学教室 2004 年 6 月)が提示されている。今回は一高等学校柔道部を対象としたヘアブラシによるサンプリングを通じて、ヘアブラシ法を行うタイミング、特に乱取りを含む稽古の前後でのヘアブラシ法の所見の変化、そして稽古直前の抗真菌剤外用のヘアブラシ法への影響についてのデータを添えつつ、ガイドラインの紹介を行う。(共同研究者:田邉 洋、河崎昌子、安澤数史、若狭麻子、石崎康子)
著者
時松 一成
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.26, 2007

深在性トリコスポロン症は、<I>Trichosporon asahii</I>によって起こる重篤な日和見感染症であるが確立された診断法や治療法はない。また、<I>T. asahii</I>は夏型過敏性肺炎の原因真菌でもありシックハウス症候群の一つとしても注目されている。同一の菌種が一方では重篤な感染症を引き起こし、もう一方ではアレルギー反応を惹起するという興味深い真菌であるが、その要因には生体と真菌の接触の結果生じる真菌の形態や形質変化と、生体側の免疫応答の変化が関与していることを我々は明らかにしてきた。生体との接触でおきる最も大きな変化は、グルクロノキシロマンナン抗原量の増加であり、この結果、<I>Trichosporon</I>は生体からの免疫能を回避し、生体環境に順応して潜伏し、宿主の免疫能が低下すると播種性感染症へと進展するこが予想される。<BR>このセミナーでは、環境に常在する真菌が、ヒトとのかかわり合いの結果、どのように変化して、様々な病態、すなわち、過敏性肺炎や日和見感染症を発現するのか、そのメカニズムについて解説し、さらに、最近の全国の疫学調査の結果から明らかになってきている、本症の発症に地域性はあるのか、新しい抗真菌薬が開発された今日、以前と比べ本症の死亡率は改善されたのか、以前から問題とされているブレイクスルー感染症があるのか、血清β―グルカン値が上昇するのか、<I>Trichosporon</I>の薬剤感受性に変化が生じているのか、など、臨床上の重要な問題点にも迫る。
著者
矢口 貴志 田中 玲子 西村 和子 宇田川 俊一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.51, 2005

2004 年,de Hoog 等が ITS 領域の系統解析で <I>Fonsecaea</I> 属を <I>F. pedrosoi</I> と新規提唱の <I>F. monophora</I> に分け,伝統的な分類における <I>F. pedrosoi</I> と <I>F. compacta</I> とは一致しないと報告した.そこで,当センター保存の臨床および食品由来の <I>Fonsecaea</I> 属に含まれる菌株について ITS 領域の塩基配列を決定し,既存のデータと合わせ系統解析を実施した.その結果,2 つの主要なグループに分かれ,日本産の分離菌は <I>F. monophora</I> と同じグループに類別された.このグループは,<I>F. pedrosoi</I>,<I>F. compacta</I> の代表株とは系統的にはっきりした違いを示し,de Hoog 等の" B タイプ",Tanabe 等の ITS-RFLP 解析による"タイプ 2 "にほぼ一致した.さらにこのグループは 2 つのサブグループに分かれ,その 1 つに日本産の菌株がすべて含まれ,もう一方のグループに南米由来の株が含まれていた.この結果は,日本産の <I>F. pedrosoi</I> が de Hoog らが示した <I>F. monophora</I> であることを示唆している.しかし,ITS 領域のみの結果から断定することは控えて,さらに複数の遺伝子解析の実施結果から判断したいと考える.
著者
杉田 隆
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.37, 2008

最新の疫学解析から、近年の深在性真菌症の特徴が明らかにされた。すなわち、1) カンジダ症とアスペルギルス症患者数の逆転、2) カンジダ症の原因菌が<i>C. albicans</i>からnon-<i>albicnas</i> spp.に、また3) 重篤型の比率が上昇していることがあげられる。この様な真菌症の変遷や起因菌の多様化には使用される抗真菌薬とも大きな関わりがある。アゾール薬にみるように、広域スペクトル化や活性の増強と薬剤そのものも進化している。一方で、接合菌症やトリコスポロン症は、ある種の薬剤の使用によるブレークスルー感染症として認識されるようになった。新興真菌症は一般に治療困難であるが、その診断には菌学的同定法の進歩が大きく貢献していることは言うまでもない。新規抗真菌薬の登場や環境の変化により新たな感染症が登場したり、あるいは頻度が変化したりと深在性真菌症そのものも変遷していく。本セミナーでは、各種疫学情報をレビューしながら深在性真菌症の過去、現在、未来を議論してみたい。
著者
荒谷 康昭
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.22, 2005

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は主に好中球のみに存在し、単球にわずかに検出されるほかには MPO を保持している組織は同定されていない。感染等によって活性化した好中球は、NADPH オキシダーゼにより酸素からスーパーオキシド(O<SUB>2</SUB><SUP>-</SUP>)を、次いで O<SUB>2</SUB><SUP>-</SUP> から過酸化水素(H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>)を産生する。さらに、MPO により H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB> と塩素イオンから次亜塩素酸(HOCl)が産生される。ヒトの単離好中球を用いた試験管内実験では、MPO 欠損好中球は殺菌能の低下が認められる。しかし、我が国では 40,000 人に 1 人、欧米では 2,000 から 4,000 人に 1 人の頻度で存在しているといわれる MPO 欠損患者の大半は健康な生活を営んでおり、時にカンジダ菌に易感染性を示す傾向が認められるに過ぎない。すなわち、個体の真菌感染防御における MPO の役割はいまだ明確ではない。そこで、MPO のノックアウトマウス [MPO (-/-) マウス] を作製して、このマウスの真菌易感染性を解析した。<BR> MPO (-/-) マウスは、クリーンな飼育環境下では何ら異常を示さない。ところが、<I>Candida albicans</I> を鼻腔内投与すると、野生型マウスはまったく死亡しなかったのに対し、MPO (-/-) マウスは感染後 5 日目までに重度の肺炎を起こして大半が死亡した。さらに、<I>Aspergillus fumigatus</I>、<I>Candida tropicalis</I>、および <I>Trichosporon asahii</I> を感染させた 2 日後の肺における殺菌能も、野生型マウスに比べて有意に低下していた。また、<I>Cryptococcus neoformans</I> に対する MPO (-/-) マウスの感染防御能の低下は、感染後 1 週間を経過してから顕著に現れた。すなわち、MPO はこれらの真菌に対する生体防御に重要な役割を担っていることが示された。次に、MPO (-/-)マウスの <I>C. albicans</I> に対する易感染性を NADPH-オキシダーゼのノックアウトマウス (CGD マウス) と比較した。CGD マウスの感染重篤度は、投与した菌量依存的に増大した。一方、MPO (-/-) マウスは、低量の菌を投与すると野生型マウスと同程度の軽度な感染しか示さなかったにもかかわらず、高量を投与すると CGD マウスに匹敵する重篤な感染症状を示した。すなわち、MPO は多量の菌が感染した際の生体防御機構として、NADPH オキシダーゼと同等の重要性を有していることが明らかとなった。<BR>共同研究者:倉 文明<SUP>1</SUP>,渡辺治雄<SUP>1</SUP>,高野幸枝<SUP>2</SUP>,鈴木和男<SUP>2</SUP>,小山秀機<SUP>3</SUP><BR> (<SUP>1</SUP>国立感染研・細菌,<SUP>2</SUP>国立感染研・生物活性,<SUP>3</SUP>横浜市大・木原研)
著者
鈴木 孝仁 岩口 伸一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.61, 2006

Van der Walt(1967)が記載したsexually active strainに相当する<I>Candida</I> <I>albicans</I> NUM51株では、接合型遺伝子<I>MTLa</I>および<I>MTL</I>&alpha;が異型接合状態で存在し、二倍体と四倍体の細胞が培養中に混在する。クローン化された優性なミコフェノリック酸耐性遺伝子と<I>MTL&alpha;2</I>とから<I>MTL&alpha;2:MPA<SUP>R</SUP></I>ブラスターを作成し、<I>MTL</I>a遺伝子破壊株B1を得た。B1株では、培養中の細胞は二倍体から構成されるようになり、核相の変換を伴うsexually activeの形質が失われた。また、ソルボース培地上で<I>MTL</I>&alpha;が座乗する5番染色体の一方を喪失させたTN1株でも同様にsexually activeの形質が失われたことから、核相を変換するsexually activeの形質には接合型遺伝子の異型接合性が必要であることが判明した。また、接合型遺伝子座における異型接合性が失われたこれらの変異株では、カザミノ酸―グルコース培地での菌糸形成能が失われることも判明した。これらの事実から、<I>C. albicans</I> 接合型遺伝子には形態形成における多面的な制御に関わっている可能性が示唆された。非会員共同研究者:竹内まり子, 中西典子(奈良女子大・理・生物科学)
著者
高橋 英雄 高橋 広志 高橋 容子 鎗田 響子 猪股 智夫 佐野 文子 西村 和子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.152, 2005

2005 年 9 月 1 日より輸入動物の検疫体制が整う予定であるが,すでに輸入された動物が保菌している病原体は世代を超えて感染が広がっている.今回,国内の動物園で繁殖し飼育されている 5 ヶ月齢のカナダヤマアラシに <I>Arthroderma benhamiae</I> による脱毛が発症した.同居している母個体はカナダ,父個体はアメリカ合衆国から輸入されたもので,無症状であったが,同菌種を保菌していた.分離菌株は当該獣より 4 株,母獣より 5 株,父獣より 2 株分離され,いずれも形態,rRNA 遺伝子の ITS 領域の配列,<I>A. benhamiae</I> Americano-European race との交配成立から同種と同定した.11 株のうち 42℃ で生育可能であった株は母由来 1 株,ITS 領域の配列は母由来 2 種,他は 1 種で GenBank 登録配列とは一致せず,RAPD バンドパターンも複数種確認した.この家族内感染は国内未確認の遺伝子型をした <I>A. benhamiae</I> 複数株によるものであった.なお,同動物園ではふれあい動物園を併設していることから,飼育しているげっ歯目および食虫目動物 33 頭について皮毛を培養したが,本菌種は分離されなかった.<I>A. benhamiae</I> によるヒト感染は命に関わる疾患ではないが,この家族内保菌・感染はすでに輸入された個体が我が国に無い病原体を保持し,それを次世代に伝播している一例である.他の真菌,原虫,細菌,ウイルスによる感染症も同様な状況が推測されるため,人と動物の共通感染症の予防にはすでに輸入された動物にも細心の注意が必要である.
著者
藤広 満智子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.46, 2006

演者は流行が確認された2002年より、東海地方の皮膚科医に協力を呼びかけ、疑わしい患者の病巣の鱗屑や毛を貼り付けたセロテープを郵送してもらい、患者の早期発見に努めてきた。その結果58例の検体が集まり、うち41例から <I>T.tonsurans</I> が分離された。そのうちわけは、男性36例、女性5例、高校生30例、中学生以下6例、大学生以上5例であった。競技別ではレスリング21例、柔道19例、柔道部員の母親1例と、レスリングが多いのが東海地方の特徴と思われた。またそのプロトコールにより、1)部内に患者がなく対外試合で感染したケースでは1週間後に発症する。2)再発の多いケースは高校3年間に4回発症を繰り返した。3)頭部白癬は丸刈りにして初めて気づく。4)体部から採取したセロテープに毛内に寄生した胞子を認めた。5)1ヶ月テルビナフィンを内服した後でも培養は陽性になる。6)柔道場の畳に長時間正座した後の下腿の病巣から分離されたのは <I>T.rubrum</I> であった。7)セロテープに貼り付けた毛は1年7か月後に培養できる。という情報を得ることができた。
著者
五ノ井 透 ハナフィ アメド メーヤー ウィランド 三上 襄
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.78, 2008

マイクロサテライトは、ゲノム上に存在する数塩基単位の繰り返し配列であり、集団遺伝学やDNA鑑定において遺伝子マーカーとして用いられている。世界の各国で採取された100株あまりの<I>Cryptococcus neoformans</I> var. <I>grubii</I> (serotype A) のマイクロサテライト多型を解析し、地域による菌の分布の多様性について明らかにした。すでに公表されているH99株ゲノム配列を基に、15の典型的なマイクロサテライト部位をランダムに選択して塩基配列を解読した結果、3つの部位で2~3塩基の繰り返し配列が7~13回と異なる回数繰り返される、マイクロサテライト多型が観察された。残りの12ヶ所には多型は観察されなかった。見つけたゲノム上の3ヶ所の多型を用いて世界各国で採取された菌株をタイプ分けしたところ、日本-中国-台湾に共通する型、タイ国に特有の型、ヨーロッパ-エジプトに共通する型などを識別することができた。また、ベネズエラ-コスタリカ-ブラジルなどの中南米の各国には、多くの型が混在していることが明らかとなった。 今回多型が存在することが明らかとなった3つの部位を含め、<I>Cryptococcus neoformans</I> のマイクロサテライト多型の解析は、菌の伝播経路、感染経路の解析や地域多様性の解析、さらには、菌種の解析にも有用であると結論した。
著者
比留間 政太郎
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.36, 2005

足白癬が難治である理由として、治療開始 1 から 2 週間後に、かゆみなどの軽減に伴い治療を中断し、再発を繰り返すためといえる。足白癬の治療効果促進のためには、患者コンプライアンスを向上させ、治療期間を短縮しても十分な効果を示す薬剤の開発が求められる。ルリコナゾールは、新規イミダゾール系抗真菌剤で、広域な抗真菌スペクトルと強力な抗真菌活性をもち、皮膚角層中で優れた薬物貯留性を示す。本薬の臨床試験は、外用抗真菌剤臨床評価法(日本医真菌学会)に基ずき、従来の薬剤塗布期間(4 週間)を半分に短縮して試験を実施した。第 III 相臨床試験では、ルリコナゾールクリーム 1% は 2 週間の薬剤塗布で対照薬(1% ビホナゾールクリーム)の 4 週間塗布に対して、真菌学的効果(76.1%)及び皮膚症状改善度(91.5%)の非劣性が検証され、塗布開始 2 週後の真菌培養成績では、対照薬に対して有意に高い消失率を示した。また、一般臨床試験、比較試験の短期間塗布試験でも、本クリームは、白癬及び皮膚カンジダ症・癜風に対して有効であり、液剤もクリームとの同等の臨床効果が得られた。副作用発現率は 2.5% であり、主なものは軽微な皮膚炎であった。ルリコナゾールクリーム 1%・液 1% は治療期間を短縮させ、患者コンプライアンスの向上が期待できる新しい外用抗真菌薬である。
著者
高橋 英雄 植田 啓一 宮原 弘和 渡辺 紗綾 内田 詮三 鎗田 響子 村田 佳輝 板野 栄子 高山 明子 西田 和紀 猪股 智夫 矢口 貴志 佐野 文子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.34, 2007

水族館飼育下イルカのnon-<I>albicans Candida</I> spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株は<I>C. albicans</I>、<I>C. tropicalis</I>、<I>C. glabrata</I>で、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からは<I>Candida</I> spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間では<I>C. albicans</I>が共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。