- 著者
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高橋 恒介
- 出版者
- 静岡産業大学
- 雑誌
- 静岡産業大学情報学部研究紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.187-219, 2008
地球温暖化で気象災害が増加しているとの報道が多い。その際に温暖化が温室効果ガスによるという解説が受け売り的である。5、6年前の温暖化の説明が繰り返されるだけである。5年前の環境測定データと今年で、どこが変化したかの解説が欠けている。気象データによる温暖化の実態の確認がもっと多くの人によって行われる必要を感じる。そこで、パソコンの使い方を教えるだけでなく、利用効果を伝える立場で、一般人でも気候変化の実態を確認できるようにパソコン(PC)による気象データの分析手法を提示する。最近は気象データが次々とネットで公開される。大量であるから、平均値を使ってグラフ分析が行なわれる。世界の平均気温上昇が100年間で0.7℃以上も上昇しているというような表現を耳にするが、静岡ではどの程度の温暖化が起こっているか具体的に示された記事は少ない。地域ごとでの気象データ分析結果があれば、公開してほしいし、分析が行なわれるなら、平均気温と共に、最高気温や最低気温が、何年前から上昇したか?季節で言えば冬か夏か、月で言えば何月の気温上昇が大きいか、朝方と昼間のどちらの上昇が大きいか、示してほしいと思う。そして、最後に、地域間の気温上昇状況の違いも知りたい。そこで、静岡の気象データを例に、グラフによる分析結果を示してみる。他都市気温変化との比較もできるようにグラフ分析を行って、日本での温暖化の状況を考察した。分析結果の概略を述べるなら、日平均気温、日最高気温や日最低気温の年平均値が1980年から2000年までにかなり急速に上昇したといえる。今後も気温上昇が続けばどのような異常気象が出現するか予想がつかない。地球環境が破滅しそうだと予言する著書が多い。本当だとすれば、気象激変のドラマが始まる。ドラマの始まる前に通常の気象特性を理解し、その後の温暖化と気象異常の因果関係を把握することが重要であると思われる。異常の発見を早めるには21世紀始めまでの通常の気象を多くの人が理解している必要がある。その一手法として、ネットから集めた気象データをファイル記憶装置の中に蓄えるだけでなく、音楽情報に変換して記録することを考えた。揺らぎの大きい気象データの中から本質的な変化をキャッチするにはコンピュータ解析だけに頼るより人間の直感が役立つように思うからである。実際に静岡など主要都市の気象データを音情報に変換して記録した。本学部のウェブページで気象データ音楽として聞けるように公開する予定である。