著者
大竹 修 其田 三夫 松川 清 福本 真一郎 高橋 清志 黒沢 隆
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.618-620, 1989-06-15 (Released:2008-02-13)
参考文献数
8
被引用文献数
4 4

岡山県に発生した秋期結膜炎の79例について臨床学的,寄生虫学的,および病理組織学的に検索した.その結果,本症はSetaria digitataの幼若虫が結膜内に迷入して,局所性のアレルギー反応を起こすことに起因していることが判明した.治療には局所の乱刺と副腎皮質ホルモンの塗擦または同剤の結膜内注射および腫大した病変部の外科的切除が有効であった.
著者
原 武司 其田 三夫 高橋 清志 黒沢 隆 鈴木 隆秀
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.11-16, 1982-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13

臨床的に異常のないホルスタイン種の雌成牛を用い, 投与量を段階的に変更して塩化カリウム (KCI) の経口投与と静脈内注射およびL-アスパラギン酸カリウムの静脈内注射を行い, 牛に対するカリウム (K) 剤の安全な投与量について検討した.1) 8例の成牛に0.4-1.Og/kgのKClを水に溶かして経口投与したところ, 1.0g/kgのKCI投与の1例のみに発作的な全身筋肉の痙攣, 頻回の激しい下痢便の排泄および著明な流灘が認められた.心電図学的には, 0.9と1.0g/kg投与の2例でP波の消失とT波の増高が, また異常な臨床所見を示した1.09/kg投与の他の1例では, さらにQRS群とT波の持続時間の延長および心室粗動が認められた.2) 10例の成牛にKとして0.3-1.2mEq/kgのKCI液を輸液剤に混合し, 20分で静脈内に注射したところ, 1.2mEq/kgのK注射の1例のみに一過性の前肢の痙攣が認められた.心電図学的には, Kとして1.1-1.2mEq/kgのKc1注射の2例でP波の消失, T波とQRS群の増高およびQRS群とT波の持続時間の延長が認められた.3) 10例の成牛に, Kとして0.3-1.2mEq/kgのL-アスパラギン酸カリウム液を輸液剤に混合し, 20分で静脈内に注射したところ, 臨床症状を示すものは全くなかった.しかし心電図学的には, 1.2mEq/kgのK注射の1例でP波の消失, T波とQRS群の増高およびT波とQRS群の持続時間の延長が認められた.
著者
佐々木 信宏 高橋 清志 川本 哲 黒沢 隆 井田 三夫 川合 覚
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.495-501, 1990-06-15

単為生殖系フタトゲチマダニの幼ダニをT. sergentiの自然感染牛に耳袋法で付着, 飽血させた. 飽血ダニは24℃で飼育後, 37℃, 相対湿度約100%で温度感作を加え, 若ダニ唾液腺内のT. sergentiの発育をメチルグリーン・ピロニン染色で観察した. 温度感作を加えたダニの唾液腺腺胞内に成熟原虫塊が認められ, このダニの乳剤を接種した牛では18日目から原虫血症がみられ, IFAによって特異抗体も検出された. 以上のようにT. sergentiは37℃の温度感作を与えたフタトゲチマダニの唾液腺内で感染力を持つまでに成熟することが確認された.