著者
高橋 隆雄
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 : 熊本大学倫理学研究室紀要 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-17, 2010-03

1981年にイタリアの小説部門で最高のストレーガ賞を受賞した「薔薇の名前」は、イタリアの哲学者であるウンベルト・エーコの著作である。映画にもなったので観た人も多いだろう。中世末の北イタリアの修道院を舞台にして、皇帝とローマ教皇の世俗レベルでの争い、それを神学上の教義に移して繰り広げられる清貧論争、異端審問、複雑怪奇な構造と謎に満ちた文書館、そして連続殺人とその謎解きは、神学上のまた現実の迷宮へと読者を誘ってやまない。本稿では、「薔薇の名前」に登場する清貧論争を権利概念の誕生史の中で捉えなおしてみたい。In one scene of the bestselling novel Il Nome della Rosa written by famous Italian philosopher Umbert Eco, the characters in the novel engaged heatedly in Apostolic Poverty Controversy. The issue of the argument was whether Jesus and the Apostles had propriety over their belongings. When we read the novel within the background of the history of human rights theory, e.g., within the context of Natural Rights Theories: Their Origin and Development, written by R.Tuck, we can find that at the dawn of human rights theory such a controversy in the late Middle Ages played a crucial role.
著者
石原 明子 奥本 京子 松井 ケティ 浅川 和也 アーノルド ミンデル エイミー ミンデル カール スタファー ダリル メーサー 高橋 隆雄 広水 乃生 桐山 岳大 梁 ビキ 石田 聖 田辺 寿一郎 李 ジェヨン
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

第一に、紛争解決の理論・手法同士の関係性について「紛争を構成する要素」「要素に対応した解決理論」「解決を実践するための手法」という観点から整理し、多様な紛争事例に対応できる「戦略的紛争解決」という枠組みを創出した。第二に、欧米で発展した紛争解決の手法をアジアや日本で活用する場合の適用可能性に関して日中韓等の方に質問紙調査を行い、知見を得た。第三に、原発災害被災者の家族や地域内での人間関係の葛藤のケアと変容支援のためアクション・リサーチを行った。「福島の若手らの水俣訪問ツアー」等を実施し、環境災害からの人生と地域再生に向けた日本型の修復的正義プロジェクトの一つのモデルが形成された。
著者
高橋 隆雄
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.98-105, 2009-09-22 (Released:2017-04-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1

臨床倫理支援を対象とする倫理委員会の主要な役割は、医療現場で判断しきれないことを法やガイドラインにもとづいて適切に判断することである。その内容は、法やガイドラインの適用に関することや、倫理的原理の間に生じる葛藤の解消などである。ここでは、知識と経験豊富な複数のメンバーによる議論は妥当な結論を導くという、現代版の「理性への信頼」が前提とされている。倫理委員会ではマニュアルを作ることが倫理学上も必要であるが、それに頼りすぎると判断が硬直化する。委員会は、状況に応じた適切な判断をするという一種の「徳」を要求されており、自らの判断能力を常に向上させなければならない。また、倫理とは本来つねに動的なのであり、倫理委員会は法やガイドラインに依拠しながら、それら自体の適否を問うようにもなるだろう。法に従う有徳な人々が社会を通じて法を改正するように、倫理委員会はネットワークを充実させることで、法やガイドラインの改正に働きかけることができる。
著者
高橋 隆雄
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-39, 1981-11-30
著者
高橋 隆雄
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.111-126, 2013-03
著者
高橋 隆雄
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 = Studies of advanced ethics (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.30-48, 2020-03

This paper is based on my personal experiences of fighting against cancer, because referring to such experiences is necessary to consider the relationships between the tendency of normalization and the concept of the buddha-nature. I had two operations for cancer, i.e. the stomach and the pancreas which had grown independently. As a result, I lost the stomach, duodenum, gallbladder, spleen, and a half of the pancreas. About two years ago, the pancreas cancer spread to the liver, then began the treatment using anticancer drugs. Through those serious experiences, I noticed, in my mind, the reception of the world view of the Buddhism, i.e. at the core of the world there exists the good power or mechanism which had been called as Dainichi Nyorai, Amitabha, and Kannon, etc. I also noticed in my mind the existence of the tendency of normalization which contributed to the calm of the mind, and such a tendency is common to animals as well as human beings. The tendency of normalization can be a candidate of the buddha-nature, because, according to Buddhism, the buddha-nature helps us to overcome the difficulties and is common to all sentient beings including human beings. To interpret in this way will make the concept of the buddha-nature within the reach of the general public. However, the tendency of normalization is only one aspect of the multilayer concept of the buddha-nature. At the base of that concept, according to Zen Buddhist Dogen, there exists the impermanence or mutual dependency, i.e. Mujo. At the last chapter, the participation into and the good deed based on the Buddhist world view of the good power and Mujo will be considered.
著者
高橋 隆雄
出版者
熊本大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

平成8年度・9年度でのアンケート調査をさらに完全にするために、10年度は、熊本市とその近郊の中学校7校(1.547名)を対象にアンケート調査を実施した。また、高校生自身が持つ自己理解の虚偽性を裏づけるために別の調査も実施した。これらによって今までの解析結果がかなりの程度確証された。アンケート調査としては、さらに生命倫理に的をしぼった内容でも行なってみた。ここでも興味深い解析結果が得られた。平成10年度のアンケート調査実施対象は、2660名。3年間の研究期間では統計6.844名となり、膨大なデータと解析結果を得ることができた。これらのアンケートの特徴は、設問数が33〜41問とないこと、内容が意議の広い領域に亘ること、数量化しやすい方式も採用していること等であり、相関係数がとりやすく解析が容易なように工夫しておいた。このため種々の統計処理が可能となり、多くの成果を上げることができた。それらの成果の一部は大学の紀要に論文として掲載したり、学会において研究発表という形で公表したが、成果が相当の量にのぼるため、約100頁(A4版)の報告書を準備中であり、3月中旬に印刷される予定である。ともかく、この3年間の研究によって、倫理学の新しい方法としてアンケート調査をとらえる試みの第一段階は十分成功したと言える。