著者
栗林 英範 石榑 康雄 陶山 史朗 高田 英明 伊達 宗和 畑田 豊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.173-179, 2008-02-01
参考文献数
17
被引用文献数
2

Depth-fused 3D表示原理を利用した2限式立体ディスプレイの微小な奥行再現方法を用いたときに,再現可能な最小の奥行量を調べ,奥行提示分解能の限界について検討した.この表示方法は,左右眼像のエッジ部分の狭い領域の輝度分布を変化させることで,微小な奥行を再現できるようにする.その結果,エッジ領域の幅が約2min of arc以下のとき,奥行弁別精度は約5視角秒となり,人間の両眼網膜像差弁別限界とほぼ同等であった.したがって,この提示方法により,人間の奥行弁別能力を満足させる微小な奥行が再現できる.
著者
巻口 誉宗 高田 英明 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2020-02-26

遠隔地のスポーツのライブビューイングやステージイベントなどのエンターティンメント分野において,半透過スクリーンやハーフミラーを用いて被写体を空中像で表示する演出手法が活用されている.これまでこうした演出手法では,空中像を表示させたい領域に大がかりな装置を設置する必要があり,被写体の移動範囲が制限されていた.そこで我々は,空中像をステージ外や観客席に移動させる演出の実現を目的とし,可搬型のサイズ・構成で臨場感の高い空中像を表示できる両面透過型多層空中像表示技術を提案する.本手法は4台のディスプレイと4枚のハーフミラーを組み合わせたシンプルな光学系で構成される.観察者は装置の正面と背面の2方向から被写体の両面を空中像として観察でき,両面それぞれから近景と遠景の2層の背景空中像を観察できる.提案手法では表示面は4面しか持たないものの,ハーフミラーによる透過と反射によって背景の2層を正面・背面の観察方向で共有することで,両面それぞれから3層,合計6層の空中像を視聴できる.さらに,近景と遠景は正面・背面の観察方向にかかわらずに光学的な奥行きの順序関係が保たれることから,複数人が同時に装置両面から,多層化された臨場感の高い空中像を視聴できる.本稿では提案手法の光学構成の詳細から,実用性評価のために行ったプロトタイプ実装とイベントでの活用事例まで広く報告する.