著者
三浦 勉 飯尾 能久 SIBSON Richard H. 岡田 知己 松本 聡 PETTINGA Jarg BANISTER Stephen 平原 聡 中山 貴史 中元 真美 山田 真澄 大見 士朗 米田 格 濱田 勇輝 高田 陽一郎 深畑 幸俊 小菅 正裕 TOWNEND John REYNERS Martin GHISETTI Francesca C.
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.94-101, 2014-06

We observe the seismic activity in the northern part of the South Island in New Zealand since Nov. 2009. New Zealand is located at the border between the Pacific plate and the Australian plate and the Alpine Fault runs along the boundary from southwest to northeast in the South Island. A lot of earthquakes occurred there, e.g., 1929 Murchison (M7.7), and 1968 Inanghua (M7.2). We observed aftershocks of the 2011 Christchurch earthquake for 2 years since Mar. 2011. Now, We expand the observation network with about 40 seismometers in northern part of the South Island.
著者
村上 亮 古屋 正人 高田 陽一郎 青木 陽介 小澤 拓 島田 政信
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

はじめに 合成開口レーダ(SAR)は,全天候性,広域性,非接触性,計算機親和性など,地殻変動観測に適した多くの長所を有している.一般に,植生が広く分布するわが国においては,Lバンド帯が地殻変動の検出に適している.Lバンドで運用する,我が国の衛星であるJERS,ALOS,およびALOS2に搭載されたLバンドSARによる観測は,火山観測に多くの成果を上げており,すでに火山性地殻変動モニタリングの標準的手法となっている.一方,航空機搭載SARは,ある程度自由に照射方向を設定でき,即時対応にも適応性が高いことから,衛星型にない多くの長所を有しているものの,リピートパス干渉法(DInSAR)に関しては,飛行軌跡の制御や位置追跡の精度がボトルネックとなっており,広く用いられる段階には至っていない.我々は,Lバンド航空機SAR干渉技術の高度化を目ざす研究を実施中であるが,その一環として,九州に点在する活火山(桜島火山,霧島火山,雲仙火山)を対象とした観測を宇宙航空技術研究開発機構(JAXA)が運用する航空機SARシステム(Pi-SAR-L2)を用いて実施した.特に,桜島火山と霧島火山に対しては,リピートパス干渉を目的とした観測をJAXAが2013年以降実施中であり,2017年に新たに観測したデータは,これらの既存データとの干渉処理が可能である.本報告では,衛星観測や水準測量の結果から,最近の数年間における膨張性の変動の存在が明らかになっている,霧島火山硫黄山をターゲットとした,航空機SAR干渉解析結果を紹介する.2.Pi-SAR-L2データの干渉処理についてPi-SAR-L2には,高精度なINS-GPSハイブリッド型の航路追跡装置が搭載されている.これにより,高い軌道再現性が実現されているが,予測不可能な気流の変化等の影響によって,完全な同一航路の実現は困難である.その結果,航空機干渉SARの飛翔航路偏差起源の位相差の分布は,衛星のそれに比べてより複雑な形状を呈し,地殻変動情報の有効な抽出には,航跡の複雑性に起因する位相分布の適切な除去が必要である.これまでの予備的な解析から,ペアを構成する主画像(Master)および従画像(Slave)の位置合わせの達成度が干渉性をほぼ支配することが分かっているので,そのプロセスの確実性を高めることに,解析の主眼をおいた.位置合わせは,主従の元画像どうしのピクセルのズレの検出と,同一地点のピクセルどうしが同じ位置に来るように従画像の位置ズレを補正するリサンプルのプロセスで構成される.解析に使用する干渉SAR解析パッケージであるRINCでは,基本的に二次関数によるズレ予測に基づき,成功領域を徐々に拡大するアルゴリズムに基づいており,今回は,その特徴を生かしつつ確実なズレ検出を全画面領域において成立させるため,手動による確認プロセスを挟みながら,繰り返し処理を行い,徐々に成功領域を広げる処理を定式化した.この方法により,解析した6ペア全ての全画面において,ズレの高精度検出に成功した.一方,従画像(Slave)のリサンプリングは,現状では,二次関数による多項式近似を依然として採用しており,より複雑な変化をする飛行(Azimuth)方向において,数ピクセルにおよぶ残差が残留しており,これが,帯状の干渉不良領域を発生させている原因であることも分かった.二次関数では近似できない高周波成分に対しても対応する,より高精度なリサンプリングを実施すれば,干渉度がさらに改善される期待がある.いずれにせよ,位置合わせ手法を改善した結果,斑状の干渉不良領域は残存するものの2014,2016,2017の三時期に実施された三方向から観測から構成した,全6ペアの全てについて,全領域の干渉が達成された.3. 霧島火山の干渉解析結果リサンプリング手法に改良の余地があり,全画像での均一な干渉は実現できなかったが,現時点でも,かなりの領域で良好な干渉が達成されており,衛星SARや水準測量など他観測から地殻変動の存在が確認されている硫黄山において,航空機SARでも火山活動に対応すると考えられるフリンジが確認できた. 全て膨張性の変動が示唆される結果となっており,視線方向の距離変化の大きさは数cm程度であった.航空機干渉SARでは,上空の風速の変化などの影響で,飛行軌跡が小刻みに変動するため,航空機搭載のGPSによる航跡情報では補正しきれない,軌道縞や地形縞が残存する.今回の解析では,空間的長波長のフリンジは,全て軌跡起源と解釈して,一律に取り除く処理をしたため,空間的に長波長の地殻変動も取り除かれる恐れがある.しかし,硫黄山の地殻変動は力源が浅く,局所に偏在する変動と考えられるため,今回の手法でも確実に捉えることができたと考えられる.なお,長波長成分除去後のノイズレベルの見積もりは,概ね+-2cm程度であるなお,航空機SARの特性を生かし,多方向からの観測が行われており,地殻変動の三次元化を実施し,講演時にはその結果についても報告する.謝辞:干渉SAR解析には小澤拓博士が開発したRINC(Ver.0.36)および国土地理院の標高データを使用した.ここに記して感謝する.
著者
稲松 知美 高田 陽一郎 鷺谷 威 西村 卓也
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2011年3月11日、Mw9.0の東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震と呼ぶ)が発生した。歪集中帯や活断層のM9クラスの地震に対する応答を、密に配置されたGPSの観測データを用いて調べた例はほとんどなく、東北沖地震が初めての機会である。本発表では、新潟神戸歪集中帯(Sagiya et al., 2000)の一部である跡津川断層周辺について、東北沖地震前・地震時・地震後の地殻変動をGPSデータから計算し、互いに比較した結果を報告する。解析には国土地理院のGEONETに加えて、大学が設置した観測点も用いた。地震前については時系列解析により年周・半年周変動を除去し、定常速度場を求めた。地震後については2014年11月25日から2016年7月2日を切り出し、地震前と同じ手法で定常速度場を求めた。地震時については2011年3月5日~10日および2011年3月12日~17日それぞれ5日間の座標平均を計算し、それらの差から変位を求めた。これらの変位・速度からShen et al (1996)の手法を用いて歪速度場(地震時変動については歪場)を求めた。東北沖地震前後の歪速度場と地震時の歪場は空間パターンが全く異なるものとなった。地震時の歪は弾性歪であり、その空間変化は弾性歪の不均質に起因する。従って、これと異なる地震前・地震後の歪は非弾性歪であると結論づけられる。一方、対象地域全体としては東北沖地震前と地震後で歪速度のパターンは良く似ている。このことは、非弾性歪(粘性流動など)が絶対差応力によって駆動されることにより説明できる。すなわち、長い時間スケールのプレート間相互作用により蓄積された絶対応力は東北沖地震に伴う応力変化よりもはるかに大きいために、地震前と地震後で歪速度が大きく変化しなかったと考えられる。この成果は、新潟地域について同様の解析を行った先行研究(Meneses-Gutierrez and Sagiya, 2016)と調和的である。東北沖地震前後の歪速度場の特長としては、跡津川断層両端の火山地帯と跡津川断層上で歪速度が大きくなっていることが挙げられる。前者では高温による粘性流動、後者では断層深部の断層すべりの進行が期待される。つまり、跡津川断層の周囲では場所によって異なるメカニズムの非弾性歪が進行していると考えられる。また、詳しくみると東北沖地震前後で、飛騨山脈南部や御嶽山の東側などで局地的に歪速度のセンスが逆転していることが分かった。これらの地域では地下の温度が高いことが知られており、また群発地震も頻発しているため、歪速度の時間変化は火山性の地殻変動に起因している可能性もある。今回得られた結果には東北沖地震の余効変動の効果が含まれているため、地震前後の非弾性歪速度を定量的に比較できていない。東北沖地震の断層モデルを用いてこの効果を取り除く予定である。