著者
和田 博夫 伊藤 潔 大見 士朗 岩岡 圭美 池田 直人 北田 和幸
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.B-1, pp.81-96, 1999-04-01

1998年8月7日飛騨山脈上高地付近において群発地震が発生した。衛星通信システムの導入によって周辺観測網のデータが得られるようになった最初のイベントであり, 8カ月間に10, 000個以上の震源を求めることができた。活動は, 上高地付近の東西に帯状の地域, 穂高岳から槍ヶ岳にかけての南北の帯状の地域及び野口五郎岳付近の南北に帯状の地域に発生し, これらの活動域を移動, 再帰する現象が見られた。決められたH・2以上の地震約300個のメカニズム解は北西-南東方向に主圧力軸をもつ横ずれ型が卓越し, 群発地震の南北, 東西の並びと調和的である。また隣接する焼岳の火山活動との関連が注目されたが, 火山活動を示す現象は観測されなかった。なお, 今回の活動に関するデータを, 地元岐阜県上宝村へ随時提供して災害対策の基礎資料とした。
著者
大見 士朗 和田 博夫 濱田 勇輝
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.85-94, 2012-09-28 (Released:2012-10-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

Seismic activity near the Yake-dake (Mt. Yake) volcano in the Hida mountain range that took place immediate after the 2011 off the Pacific Coast of Tohoku earthquake was investigated. It initiated about ten minutes after the mainshock of the Tohoku earthquake and lasted for about one month. At the beginning, two active swarms were observed. One is at the northern flank of the Yake-dake volcano and the other is located between Yake-dake and Mt. Norikura volcanoes. The latter activity decreased by March 20, and the former activity lasted until early April. It includes two M≥4.5 earthquakes and we could locate more than 9,600 events in the study area during March and April. We mainly focused on the activity near the Yake-dake volcano in this paper. Near the Yake-dake volcano, seismic activity began with M4.7 (JMA) earthquake at 14:57 JST on March 11. This M4.7 event is located 3 km north to the volcano and seismicity increased between the summit of the Yake-dake volcano and the hypocenter. On March 21, an M4.8 (JMA) event took place at 13:15 JST also at 3 km north to the volcano. After this second M≥4.5 earthquake, seismic activity migrated to the north about 1 km. Focal mechanism solutions of these swarm earthquakes show NW-SE compression stress field, which coincides with regional stress field indicated by previous studies. No temporal changes of focal mechanisms are shown during March and April, which probably indicates no magmatic activity such as dyke intrusion related to the Yake-dake volcano took place in this time period.
著者
大見 士朗
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-15, 2015-05-15 (Released:2015-07-07)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Seismic activity near Mt. Hotaka in the Hida Mountains, central Japan was analyzed by using the Matched Filter Method (MFM). In this analysis, MFM was implemented as an automatic hypocenter relocation system. We selected about 30 template earthquakes in the target region that enables us to detect more than 3,000 events and locate about 800 earthquakes in the time period from April 2013 to October 2013. Comparison with manually inspected results indicates that location errors by MFM system is within a couple of kilometers. The seismic activity in the target region started in April 2013 and most intense activity occurred in October 2013. The largest event took place on October 8, 2013 at 19:28 (JST) whose magnitude was 3.9 (JMA). Epicentral area extends about 4km in EW direction with 1km in NS direction at the eastern frank of Mt. Hotaka. Although manually inspected catalogue data is essential to evaluate seismic activity, we suppose MFM is one of the powerful tools to automatically obtain preliminary results for the swarm activity that concentrated in a small area such like this study or volcanic regions.
著者
飯尾 能久 松本 聡 松島 健 植平 賢司 片尾 浩 大見 士朗 澁谷 拓郎 竹内 文朗 西上 欽也 廣瀬 一聖 加納 靖之 儘田 豊 宮澤 理稔 辰己 賢一 和田 博夫 河野 裕希 是永 将宏 上野 友岳 行竹 洋平 Bogdan ENESCU
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.463-475, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

The 2004 Mid Niigata Prefecture Earthquake (MJMA 6.8) occurred on 23 October 2004. The mainshock was followed by four aftershocks with MJMA≥6.0. This earthquake is located in the Niigata-Kobe Tectonic Zone in which large strain rates (>0.1ppm/y contraction) have been observed by GPS data. We deployed three temporary online seismic stations in the aftershock area. Combining data from the temporary stations and from permanent stations around the aftershock area, we determined aftershock locations, and estimated the structures and the stress change in and around the aftershock region. Based on these results, we suggested a generating process of the 2004 Mid Niigata Prefecture Earthquake supposing that a very weak region exists in the weak zone in the lower crust just beneath the seismogenic fault.
著者
和田 博夫 伊藤 潔 大見 士朗 平野 憲雄
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.671-680, 2002
被引用文献数
1

上宝観測所では観測網の充実によって,多点のデータの収録解析が可能になったので,2001年10月以降,M0.5以下の極微小地震の震源を多数決定してきた。このことによって,跡津川断層や飛騨山脈での地震活動の様子がこれまでより短期間で明らかにできるようになってきた。M0.5以下の地震によって,飛騨山脈ではこれまでわからなかった多数の群発地震が見いだされるようになった。しかし,それ以外の地域では,空間分布は,深さ分布も含めてこれまで長期間に得られたものとほぼ同じであることがわかった。一方,時間変化については,検知率の問題はあるが,御岳付近の地震の減少と同時に焼岳以北の地震の増加が見られるなど,飛騨山脈で指摘されてきた地震発生の移動が検出された。また,M1.5程度の地震の発震機構を求めることが可能になり,跡津川断層付近の詳細な応力の地域的変化が得られた。
著者
大見 士朗
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

1.地震活動の概要飛騨山脈南部の岐阜・長野県境に位置する焼岳火山の近傍において、2018年11月22日午前から同12月5日頃にかけて群発地震活動が発生した。一連の地震活動は11月22日午前から始まり、翌日11月23日から活発化した後に約10日間にわたり継続し、12月2日頃までにはほぼ終息した(以下、シリーズAとよぶ)。その後12月4日夕方から一時的に焼岳の東側にあたる上高地側で小規模な地震活動がみられた(同、シリーズB)。シリーズAの群発地震活動の震央は焼岳山頂の西約1.5kmから2kmの、深さ(海抜下)3kmから4kmに分布している。これは、2011年3月から4月に発生した群発地震の震源域の南西延長にあたる場所である。12月4日以降に上高地側で発生したシリーズBの地震は焼岳西側のそれに比べて若干震源が深い。その後、2019年1月末に、当初の焼岳西麓よりもさらに西側(同、シリーズC)で、また、2019年2月上旬には焼岳南部の飛騨山脈の稜線下(同、シリーズD)でそれぞれ小規模な地震活動がみられている。 飛騨山脈南部の群発地震活動は、同地域で京都大学が地震観測を開始した1970年代後半以降は、主な群発地震の震源域は互いに重ならず、いわば「棲み分け」をしている傾向が認められ、2018年11月末の焼岳西麓に集中するシリーズAの地震活動もその例外ではない。 また、シリーズAには明瞭な震源移動は認められなかったが、上述のように、シリーズB、C、Dのようにそれぞれ異なる領域で小規模な活動がみられるなど、焼岳の周辺域で地震活動の活発化が認められる。2.発震機構についてシリーズAの主たる地震の発震機構は、北西-南東圧縮の応力場を示す逆断層タイプのものが多い印象があるが、シリーズBの上高地側での地震にはこの地域では珍しい正断層型の地震が含まれる。また、シリーズCの地震は、観測点分布のためか、発震機構の決定が困難なイベントが散見され、精査が必要である。また、シリーズDのイベントは北西-南東の圧縮場を示すものが支配的にみえる。2.現地有感地震について同地域では、気象庁により奥飛騨温泉郷栃尾における震度情報が発表されるが、防災研究所附属地震予知研究センター上宝観測所では、さらに飛騨山脈の脊梁部に近い地域での揺れの状況を把握するために2011年秋から奥飛騨温泉郷中尾地区のDP.YAKE観測点にも強震計を設置して有感地震の観測を継続している。今回の地震活動における、DP.YAKEにおいて現地有感と考えられる地震は11月23日18時から12月16日0時までの期間に合計約340回を数えた。また、11月25日にはDP.YAKEにおいて震度4相当のゆれを観測した地震が3回発生した。なお、12月4日夕方からの上高地側での地震活動の際には15個程度の現地有感地震が観測され、そのうち12月4日22時50分の地震では震度4相当のゆれを観測した。 飛騨山脈南部の脊梁部付近で発生する地震が奥飛騨温泉郷中尾において現地有感になる例は、これまでも2011年3月や2014年5月の群発地震の際にも認められており、今回も同様の現象が観測されていると考えられる。中尾地区では気象庁の公式発表震度よりも有意に大きな揺れが観測されていることがあるので注意が必要である。3.焼岳の火山活動との関連焼岳山頂、焼岳中尾峠などに設置してある、温度計、地殻変動、地磁気等の観測データには季節変動以上の異常値は見られず、たとえ変動があったとしても検出限界以下であった。
著者
三浦 勉 飯尾 能久 SIBSON Richard H. 岡田 知己 松本 聡 PETTINGA Jarg BANISTER Stephen 平原 聡 中山 貴史 中元 真美 山田 真澄 大見 士朗 米田 格 濱田 勇輝 高田 陽一郎 深畑 幸俊 小菅 正裕 TOWNEND John REYNERS Martin GHISETTI Francesca C.
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.94-101, 2014-06

We observe the seismic activity in the northern part of the South Island in New Zealand since Nov. 2009. New Zealand is located at the border between the Pacific plate and the Australian plate and the Alpine Fault runs along the boundary from southwest to northeast in the South Island. A lot of earthquakes occurred there, e.g., 1929 Murchison (M7.7), and 1968 Inanghua (M7.2). We observed aftershocks of the 2011 Christchurch earthquake for 2 years since Mar. 2011. Now, We expand the observation network with about 40 seismometers in northern part of the South Island.