著者
高野 公男
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.277, pp.107-116, 1979
被引用文献数
1 1

以上このシミュレーションによって充分とは言えないまでも, 市街地の地震時の状況像を得ることが出来た。このスタディによる地区防災計画上の総括的認識は以下のものである。地区にはそれぞれ「安全のストック」があり, この安全のストックをどう育て活かすかが計画上の要点である。安全のストックは, 物的側面だけでなく, 人的側面, 社会的側面も重視さるべき要件であり, 地区防災計画はこれらに着目してすすめれねばならない。この地区は, 他地区に較べて比較的条件に恵まれている。が, このような地区特性をより具体的に認識し, 災害像や災害対応像を明らかにした上で, この特性を活用した。より積極的, 即地的, 総合的な地区防災計画の立案が望まれる。安全のストッフや計画の方法については, 更に研究する余地があるが, これらはこのシミュレーションで発見, 検討された内容を進展させる中で, 明確化していくことが出来る。
著者
高野 公男 タカノ キミオ Takano Kimio
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
東北芸術工科大学紀要 = Annual Review of Tohoku University of Art & Design
巻号頁・発行日
no.2, pp.36-51, 1995-11-15

The Purpose of this paper is to study the environment of Yamagata City by analyzing school songs of 53 primary and secondary schools in Yamagata City. Feature of the natural landscape such as mountains, rivers, the sky, fields, trees and flowers are often recorded in the songs. Mountains are mentioned most often. Mountain Zao and Mountain Gassan are both favorites of the people of Yamagata. Rivers have not appeared in the songs since 1965, because it seems water pollution has made rivers unappealing to the people. 姓の別表記: 髙野
著者
小坂 俊吉 塩野 計司 宮野 道雄 中林 一樹 高野 公男
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.275-282, 1995-11

近年の地震災害の調査から、高齢者は健常者と比べて被災しやすく、今回の阪神・淡路大震災でもこの傾向が明らかとなった。一方、わが国の高齢化速度は早く、現在、高齢化社会から高齢社会へと移行しつつある状況にある。したがって高齢者の地震時安全性の確保や地震後の応急生活における良好な環境保持は、今後の防災対策のなかで早急に取り組むべき課題の一つとなってきている。本論は、二つの現地調査報告から高齢化社会における地震防災課題の抽出したものである。第一は、阪神・淡路大震災における高齢者の被災実態報告である。これは、地震によって新たに発生する要介護者の把握と収容の問題、および被災地の老人ホームにおける介護老人の生活確保の問題について検討を試みたものである。第二は、東京に隣接する人口40万都市でおこなった、独居老人と高齢者利用施設における地震防災対策についてのアンケート調査報告である。高齢社会における地震防災の課題を以下のように抽出した。 1) 高齢者が死傷しやすいのは、身体機能の低下によるものだけでなく、居住する住宅の地震に対ずる脆弱性による影響がある。したがって高齢者向け住宅の早急の耐震的改善・公的な高齢者住宅の提供が求められる。 2) 今回の地震では、避難所における生活の質の低下が問題となった。とくにその被害を大きな影響を受けたのは高齢者・障害者といった災害弱者であった。また、防災対策調査からも高齢者の孤独な姿が浮き彫りにされた。災害時の近隣住民の支援は日常生活における相互の交流が不可欠である。 3) 高齢者の救援を的確かつ迅速に行うためには、被災情報の早期収集の重要性が指摘される。さらに高齢者の受け入れを可能にする支援ネットワーク作りが重要な課題となる。