著者
乙竹 秀明 東 いぶき 久保川 哲 近藤 亮一郎 有田 龍太郎 沼田 健裕 大澤 稔 菊地 章子 髙山 真 石井 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.419-429, 2019 (Released:2020-03-06)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

漢方薬を用いたランダム化比較試験(RCT)を,日本東洋医学会は漢方治療エビデンスレポート(EKAT)としてまとめている。本研究では,漢方薬の RCT の現状と変遷を検討することを目的として,EKAT の分類法(研究デザイン,介入方法,研究目的,掲載雑誌の信頼度,出版年)を考案し,416本の RCT の分類と比較を行った。研究デザインで分類すると二重盲検 RCT(DB-RCT)は全体の8.9%と少なかったが,その86.5%がプラセボを用いた試験であった。標準治療のない疾病に対し漢方薬の効果を評価した研究の6割以上が DB-RCT であり,漢方薬への期待がうかがえた。近年になるにつれて,封筒法 RCT や準 RCT の割合が減少する一方,インパクトファクターの付く雑誌への掲載割合が増えており,質の高い漢方研究が行われ評価されてきていると示唆された。本研究は医学部医学科第2学年問題発見・解決型実習で行われた。
著者
髙山 真記子 大貫 麻美
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.363-369, 2014-11-17 (Released:2014-12-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

高等学校「生物Ⅰ」で単元「動物の生殖と発生」の学習終了時に, 「生命の連続性」概念系に関する理解を深めることを目的としたコンセプトマップ法の導入を行った。この実践は, 2010年から2012年にかけて3回行った。実践Ⅰでは, 異なる学習区分で扱った内容の関連に気づき1つのマップを作ることができなかった学習者(レベル1)が18.1%存在した。そのため, 実践Ⅱ及び実践Ⅲでは, 教師から予め, すべての概念ラベルがとぎれることなくつながるようコンセプトマップを作成するよう指示をした。その結果, 実践Ⅱでは96.3%が, 実践Ⅲでは100%の学習者が異なる学習区分で扱った内容間に「受精」という関連事項を見出し, 一つのマップを作ることができていた(レベル2)。循環する「生命の連続性」概念系を示す学習者(レベル3)も, 実践Ⅰでは1%であったが, 実践Ⅱでは約80%に増加し, 実践Ⅲも同様の結果であった。感想文の分析からは, 生命の連続性に関する情意面をも含む学びの成果や, コンセプトマップ法の有意味性に関する記述があることが分かった。
著者
髙山 真希 菊地 弘敏 広畑 俊成
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.341-347, 2009-12-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
12

Polyarteritis nodosa is a necrotizing angitis that predominantly affects small and medium-sized arteries. We present a case of polyarteritis nodosa with intra-abdominal and intra-muscular hemorrhage due to rupture of multiple aneurysms. A 47-year-old man was admitted to our hospital because of sudden onset lower abdominal pain. Angiography revealed the presence of multiple aneurysms of superior mesenteric artery, bilateral renal arteries, and splenic artery. Transcatheter arterial embolization was performed along with the administration of prednisolone. However, emergency surgery was performed because of small intestinal perforation. Histopathological examination on the resected small intestine showed the disruption of the internal lamina elastica with fibrinoid necrosis in the small arteries, confirming the diagnosis of polyarteritis nodosa. Although he gradually recovered after the operation, he suddenly presented pain in right axillary and femoral regions while the dose of prednisolone was decreased. CT scan revealed intramuscular hematoma. Accordingly, multiple aneurysms were found in the bilateral axillary arteries, right femoral artery and right popliteal artery on angiography. After the combination therapy with increased dose of prednisolone and methotrexate, he recovered from the manifestations. Physicians should be aware of intra-muscular hemorrhage as possible complication of PN, since it sometimes results in serious complications, such as compartment syndrome.
著者
小野 理恵 髙山 真 有田 龍太郎
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.429-435, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
38

要約:昨今の新興ウイルスによる呼吸器感染症では,病原体の変異,多臓器不全をきたす病態管理の困難さや医療資源の枯渇化が問題となっている。漢方治療では病原体にかかわらず,感染症の病態を感染経過や宿主の状態から6つの病期ステージに分類し,独自の病態把握によって漢方薬を適用してきた。過去の繰り返されるパンデミックにおいて,漢方薬は炎症と急激な病態悪化に対応できるよう工夫された。漢方薬は多成分系薬剤でありその作用機序は複雑であるが,基礎研究において非特異的抗ウイルス作用,サイトカイン調整作用,臓器保護作用を有することが示唆されている。集中治療においても宿主の恒常性を調整する概念と漢方薬の特徴を活かしたアプローチが治療選択の一つとなる可能性がある。