著者
山田 学 中村 菊保 西道(坂中) 寿子 朝岡 愛 山川 稔 鮫島 俊哉 本部 真樹 廣田 好和
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.137-142, 2004-02-25
被引用文献数
3 16

これまでにカブトムシ(Allomyrina dichotoma)の生産する免疫関連蛋白質を分離精製し,その精製した蛋白質の部分配列が抗微生物作用を持つことを明らかにし,さらにこの抗微生物蛋白質から得られた改変ペプチドは薬剤針性病原菌に対しても抗菌作用を持つことを示唆した.そこで,新たに精製された2種類の昆虫の抗微生物蛋白質由来の改変ペプチド(RLYLRIGRR-NH_2 : ペプチドA ; RLRLRIGRR-NH_2 : ペプチドB)の薬剤耐性大腸菌への効果を,マウスを用いて病理学的に検討した.ペプチドA接種群では,死亡率,解剖所見,組織所見ともに,ペプチド未接種群との有意な差は認められなかった.一方,ペプチドB接種群では,ペプチド未接種群と比べて,死亡率は低下し,解剖所見,組織所見においても病変は著しく軽度に認められた.ペプチドA,B共にマウスに対して組織毒性を示さなかった.ペプチドBは薬剤耐性細菌に対して有効であることが実験動物を用いた試験においても示唆された.