著者
北村真紀 金森由博 三谷純 福井幸男 鶴野玲治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.24, pp.1-6, 2013-11-21

リミテッドアニメーションとは,同じ絵を 2 コマあるいは 3 コマ連続して用いることによって,毎秒 24 コマのアニメーションを構成する表現手法である.本研究ではモーションキャプチャのデータを入力とし,このデータからフレームを間引くことで動きのタイミングを制御し,「中無し」 と 「コマ撮り」 の効果を模倣する.具体的には,動きが特に速いフレームを削除することで中無しのように速さを強調し,動きの小さいフレームを更新しないことでコマ撮りのように微小な動きを低減する.適用結果の動画により,リミテッドアニメ風のモーションタイミング調整が実現できたことを示す.Limited animation is a hand-drawn animation style that holds each drawing for two or three successive frames to make up 24 frames per second. In this paper, we propose a simple method for automatically converting motion capture data to imitate the unique expressions of limited animation. Especially, we focus on the following two features related to motion timing; one is that limited animation does not show subtle motion because it omits almost-static inbetween frames. The other is that it exaggerates motion speeds by omitting inbetweens. The accompanying movie with animating cartoon characters demonstrates that our method can imitate the expressions of limited animation.
著者
中本 智子 鶴野 玲治
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC) (ISSN:21888868)
巻号頁・発行日
vol.2017-DCC-17, no.19, pp.1-7, 2017-11-01

本論文では,人とバーチャルキャラクタが対面した場面を想定して,バーチャルキャラクタの眼球運動モデルの生成を行う.人間が他者の顔を見つめる時の視線は,相手の目や鼻などの特徴点を経常的に推移することが知られている.本研究ではそのことに着目し,自然に他者の顔を見つめるような統計的な眼球運動モデルを,実測値に基づいて構築した.また眼球運動と同時にユーザを適切に見つめる動作に伴う頭部の動きの生成も行った.本手法を用いた眼球運動モデルとユーザの顔の部位の位置の情報を組み合わせて,眼球運動を生成する事により,ユーザを適切に見つめるような眼球運動の生成が可能となった.
著者
村上 恭子 鶴野 玲治
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.89-96, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13

本論文では、ノンフォトリアリスティックレンダリング技法の一つの展開として、CGによりパステル画風の画像を生成する技法を提案する。 まず三次元オブジェクトをもとに、ベクタ化するための特徴点を抽出し、パステルのストロークモデルを生成する。次に、支持体である紙面の凹凸や、数種類のストローク技法によるパステルへの圧力変化、紙面上の同じ場所に複数の顔料付着した場合の混色などを考慮し、各ストロークごとに顔料の付着モデルを生成する。その後、これらのモデルに対しレンダリングを行う。 このようにして得た画像はある程度パステル画らしい特徴と雰囲気を持ったものであると同時に、視点の移動や画角の変化、光源や対象の移動や変形なども自由である。また、顔料の付着率やストロークの幅といったパラメータを変化させたり、レンダリングの際にぼかし効果(ブレンド)を加えることによって、様々な描画効果を得ることができる。
著者
森本 有紀 鶴野 玲治 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.348-356, 2014-07-30 (Released:2015-11-06)
参考文献数
21

本稿では,布の織り構造や糸・染料の要素に基づいて物理的に染色をシミュレーションする手法を提案する.本手法では横糸と縦糸の上下2層のセルを用いた布モデル内において,Fickの第2法則に基づき,染料の拡散を表現する.拡散係数は染色物理の理論に基づいて布繊維の多孔度や拡散経路の屈曲率などの染料や布のパラメータから算出し,布の織構造の違いや拡散の異方性などによる染色の特徴を表現する.染料の繊維への吸着には吸着等温式を考慮するモデルを提案する.また,簡単な染色技法を考慮するために,染料の拡散を防ぐ防染技法のシミュレーションを行う.結果画像からは本手法により染色独特の多くの特徴を表現できることがわかる.
著者
秋田 健太 森本 有紀 鶴野 玲治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.397-403, 2021-01-15

近年,深層学習を用いた自動着色に関する研究がさかんである.カラーイラストは線画を着色することで作成されるが,着色に非常に時間がかかるため,自動着色技術によって効率化することが期待される.既存の研究の多くは,ユーザが線画の領域ごとに色ヒントを入力する必要があるため,入力が多くなる.また,カラー参照画像による既存の自動着色手法では,目のような小領域は指定どおりに着色できないことが多い.しかし,目はキャラクタイラストにおいて,非常に着目される部分であり,重要である.そこで本論文では,カラー参照画像によるキャラクタイラストの線画の顔を対象とした自動着色において,正しく目の色を反映するための深層学習モデルを提案する.本手法では,カラー参照画像の目の一部をそのまま円形の色ヒントとして,線画の目の位置に自動で与える.これにより,ユーザ入力なしで入力線画の目に参照画像の目の色を先行手法よりも正しく反映することができる.