著者
岡田 賢司 村上 恭子
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.55-62, 2015-12-31 (Released:2016-02-04)
参考文献数
7

予防接種後に発生した有害事象報告は基本的には自由記載で収集されており,その診断の確度の評価ができない場合もある.海外ではこのような実情を鑑み,標準化された基準で収集・評価検討していくことが行われている.国際標準として広く導入され始めているブライトン標準化症例定義を日本においても適用するための方策を考えた.
著者
村上 恭子 鶴野 玲治
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.89-96, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13

本論文では、ノンフォトリアリスティックレンダリング技法の一つの展開として、CGによりパステル画風の画像を生成する技法を提案する。 まず三次元オブジェクトをもとに、ベクタ化するための特徴点を抽出し、パステルのストロークモデルを生成する。次に、支持体である紙面の凹凸や、数種類のストローク技法によるパステルへの圧力変化、紙面上の同じ場所に複数の顔料付着した場合の混色などを考慮し、各ストロークごとに顔料の付着モデルを生成する。その後、これらのモデルに対しレンダリングを行う。 このようにして得た画像はある程度パステル画らしい特徴と雰囲気を持ったものであると同時に、視点の移動や画角の変化、光源や対象の移動や変形なども自由である。また、顔料の付着率やストロークの幅といったパラメータを変化させたり、レンダリングの際にぼかし効果(ブレンド)を加えることによって、様々な描画効果を得ることができる。
著者
村上 恭子 白石 淳
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.63-66, 1998-02-25

1. 大豆煮汁を培地にして粘質物を産生する菌を土壌から36株を分離した。2. 大豆煮汁の蛋白質をプロテアーゼMで加水分解した液体培地を用いて保存菌株と分離株のP-γ-GAの生産を調べた。3. 粘質物の生産量の多かった1株, Bacillus subtilis NRRL B-2612株によるP-γ-GAの生産における培養温度は37℃, 初発pHは6.4であった。4. 大豆煮汁で作られた粘質物が, NMRの測定よりγ結合で有る事, グルタミン酸含量が多い事とグルタミン酸のDL比が6 : 4とD型が多い事, 分子量が210万と大きい事より, P-γ-GAであると確認された。
著者
村上 恭子
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.135-149, 1992

Thomas PynchonのThe Crying of Lot 49に描かれた謎の組織Tristeroは,60年代アメリカに現れたカウンター・カルチャー運動にみられる精神を具現しているかのようだ。すなわち,産業資本主義とテクノロジーを中心とする社会にみられる様々な状況-人間疎外,体制の生み出す一義的な価値体系,そうした体系に適合しないゆえに社会から排除されたもの達,等々-にTris teroは異議を唱え,自由で多様な生き方を示している。しかし,Tristeroに見られる反文明,反産業,反論理,といった反体制の理念は,ヒッピー,ビート族,フラワー・チルドレン等の50年代,60年代における特殊な文化運動に収斂しきれない大きな歴史的パースペクティブを特っている。それは神話の世界から存在する昼と夜の世界,換言すれば,<体制,文化,秩序>対<反体制,自然,反秩序>,あるいは文化における<正の要素>対<負の要素>の対立と共存の歴史である。本論では,Tristeroを通して,文化の双面性,両義性の問題を検討する。
著者
村上 恭子
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-63, 1995

情報とテクノロジーが主要な役割を占めている後期資本主義社会において,特に大きな影響力があるテレビというマスメデイアの様々な側面を,Thomas PynchonのVineland (1991)を中心に検討を行った。テレビによる疑似世界の蔓延は,シミュラークルの先行するハイパーリアルな世界を偏在させ,実像と虚像の区別を不可能にしてしまっている。またテレビが送る断片的映像は,互いに不調和な要素が渾然となった多元的世界を生み出し,見る人々の心を一種の分裂状態にさせた。さらにテレビ映像は,現実を透明に直接に再現しているようでありながら,出来事,カメラ・アングル,形式的構成などを通してイデオロギーを洗脳する媒体としても必ず機能する。こうしてテレビは,国家や大企業などの特定の権力機構や文化と結び付いた覇権的イデオロギーを人々に押しつけ,画一的な価値観や全体主義的傾向を生み出すのである。だがその一方では,テレビは真実を伝え,政治や経済的不正を暴いて,その社会的使命を果たしてもいる。 Pynchonのこうしたテレビの描き方を通し,読者は合理主義的西欧文化の功罪を知ることができるのである。
著者
村上 恭子 伊豫 美由紀 白石 有佳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.76, pp.43-48, 2000-08-05
被引用文献数
4

楽譜専用の点字エディタ"B'Score(びーすこあ)"の開発を行ってきた。ユーザは点字を、キーボードで6点入力、またはツールバー上のボタンで楽譜の記号を選んで入力し、編集することができる。またこのソフトは点字楽譜の規則に則して入力エラーを検出し、エラー箇所とその理由を指摘することができる。点字の知識がないユーザに点字楽譜について解説するチュートリアルもついている。今後は、ユーザに適切なエラーメッセージを抽出する機能、辞書や点字→五線譜変換規則の拡充を行っていく必要がある。We have developed a Braille editor for music score called "B'Score". Two Braille input methods are supported. One is 6-points input on keyboard, another is music symbols on tool-bar buttons. This software detects the input errors and notifies the users of the error column and the reason why it is incorrect. By reading the tutorial in this software, the users who have no knowledge of Braille music score can learn about it. In future, we will find the methods to pick up the most suitable error messages for the situations so that the users can correct the errors quickly.
著者
村上 恭子
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.207-219, 2005-03

ドン・デリロとトーマス・ピンチョンは、1997年に数ヶ月前後して長編小説を発表した。前者のUnderworldは20世紀後半のアメリカ史を背景とし、後者のMason&Dixonは18世紀半ばのアメリカ独立期の史実を描き、共に歴史を材料としている。しかも両者は産業資本主義社会の隠れた裏面に焦点をあて、その問題点を描いている。Underworldの場合、一見互いに無関係と思われる諸々の出来事がパラノイア的に関連付けて描かれており、その関連性が特異な効果を作品に与えている。作品には20世紀後半を特色付ける多くの要素--冷戦、核実験、軍産複合体、人種差別とそれに起因する暴動、反体制運動、種々の凶悪犯罪、メディア、廃棄物とそのリサイクル、社会の底辺に生きる人々等--が描かれているが、それらは共通のイメージや場所、小道具、数字等により相互が複雑に交錯し、関連付けられているのである。また諸々の事柄を関連付けて解釈するパラノイア的人物さえ登場している。これらの関連項は全てワールド・ワイド・ウェブで最終的に収斂しており、ネット社会に突入した現在の状況を象徴している。本論では、デリロのパラノイア的描き方を分析し、その効果を考察した。