著者
大口 敬 山口 智子 鹿田 成則 小根山 裕之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1175-I_1183, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
8

交通信号制御における切替り時の損失時間は,交差点円滑性指標の遅れに影響を与え,また交通安全上も重要である.切替り時における損失時間の開始と終了(有効青時間の終了と開始)のタイミングは,これまでほとんど研究されていない.損失時間を厳密に評価することが,より安全で効率的な交通信号制御に繋がる.本研究では,青丸表示から右折矢印表示への切替り時に着目し,飽和交通流,最終車と先頭車の通過タイミング,および青丸表示時に右折車が停止線を越えて交差点内に滞留するスペース長などの幾何構造を調べ,損失時間と有効青時間を分析する.幾何構造の異なる5交差点の分析から,右折専用現示前には損失時間ではなく有効青時間が重なるゲインが存在することを実証し,このゲインの大きさを交差点形状から推定する方法を提示する.
著者
永野 峻祐 小根山 裕之 大口 敬 鹿田 成則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.841-849, 2010

本研究では,路面電車の利用者増加策としての車両更新効果を明らかにすることを目的として,東急世田谷線の車両更新に着目し,東急世田谷線の評価や満足度の変化,それに伴う利用機会の変化について,アンケート調査・分析を行った.分析の結果,利用促進効果や認知&好感度UP効果は車両の物理的改善やデザインの変化に強く影響を受けることが示された.一方,個人が元々持つ運行サービスレベルの評価や,公共交通に対するイメージや考え方に影響される可能性があることもわかった.また,年齢により車両更新の捉え方に違いがあり,特に年齢層が上がるにつれ利用者の満足度が向上しており,利用促進効果や認知&好感度UP効果も高いことが示された.
著者
大口 敬 桑原 雅夫 鹿田 成則 片倉 正彦 吉井 稔雄 赤羽 弘和
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

自動車の運転者の認知・挙動には様々な場面が想定されるが,本研究では道路における安全性評価・効率性評価(交通容量)に関連した道路線形・道路構造・周辺車両との関係性における速度感,距離感,および案内標識などの視認性を対象とする.こうした運転特性を分析・検討するために,これまで困難とされてきた室内実験手法による実証データの収集を可能とする室内実験システムを確立すること,その場合の実際の道路交通環境下における挙動との違い,相似関係を明確化し,実験結果の評価方法を確立することを目的としている.また,こうした実験による実証的検討を通して,運転者の認知・判断・挙動の特性を「リスク認知」という観点から整理・統合することを試みる.今年度は,東京都立大学に既設の動景観画像室内実験装置を用いて,交通事故が多発しているカーブ道路区間を対象に,熟練運転者と初心運転者によるカーブ走行特性が異なることを利用して,道路上の運転者からの模擬視界を生成する3次元CGモデルにより,交通安全施設の有無,施設のタイプ(ポストコーン,デリニエータ),設置形態と運用形態(高さ,設置頻度)の異なる条件を設定し,交通安全施設設置効果の実験的検証を行った.また,交差点信号機の下などによく設置される補助標識である名称標識に代えて,記号や色などによる認知しやすい補助標識と案内システムの併用による交差点案内システムの有効性検証の実験も行った.これらの実験を通して,視認開始距離における画像を表示するには,汎用のCG画像では画素の精度により限界があること,速度感の認知にはまだ課題が残されているものの,室内実験システムにより,こうしたドライバの認知挙動実験が一定の範囲で可能であることを明らかにした.