著者
松田 啓輔 柳原 正実 小根山 裕之
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.A_78-A_86, 2020-02-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
9

交差点の安全性や効率性について、交差点構造や現示パターンに着目した研究はあるが、信号灯器の位置に着目した研究は少なく、灯器位置の違いによる運転挙動の違い等の知見も十分に得られていない。 そこで本研究では、信号灯器の位置に着目し、日本で主流の交差点の右手前・左奥(far)と、ドイツなどで主流の交差点の左手前(near)による、交差点性能の違いについて、ドライビングシミュレータを用いた実験により得られた運転挙動データを用いて評価した。交差点性能を評価するための指標として、安全性については、「通過判断率と追突可能性」及び「交錯点通過時間差」、円滑性については「交差点の交通容量」を用いた。その結果、far より near の方が、円滑性および安全性の両方で性能が高い可能性があることを示した。
著者
小根山 裕之 新倉 聡 柳原 正実 大口 敬
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.269-274, 2020-05-01 (Released:2020-06-13)
参考文献数
8
被引用文献数
2

信号灯器位置の違いによる運転挙動の違いを実車実験により実証することを目的に,東京大学柏キャンパスの生産技術研究所(当時,千葉実験所)の試験走路を用いて,far とnear の信号灯器位置の違いによる運転者の挙動の違いを実証分析する.青信号表示終了時の切替り時の通過・停止の判断は,far に比べてnear では停止線から離れていても通過を判断し,最終通過時刻が遅くなること,青信号表示開始時の発進挙動に交差側信号表示の視認性による違いが見られること,および,青信号表示終了時に対応直進車両の停止を確認後の右折挙動では,near の右折開始がfar より1 秒ほど遅いことが確認された.
著者
飯田 健太 小根山 裕之
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_163-A_171, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
27

本研究は,ラウンドアバウトの課題の一つと考えられる,出口の進行方向がわかりにくい,方向感覚がなくなるなどの問題に対応するため,ローマ数字を表示した案内標識をラウンドアバウト環道内に設置し,ドライバーの迷いの軽減効果について,ドライビングシミュレータを使用した評価実験により分析したものである.環道走行時の迷いを主観的に 5 段階評価したときの平均値が,原案と改良案の間には有意な差があることなどから,提案した案内標識は出口の進行方向をわかりやすくするために効果があったことを示した.一方,アイマークレコーダーの分析により,改良案は標識への注視割合が高くなり,前方への注意が削がれる可能性があることが指摘された.
著者
大口 敬 山口 智子 鹿田 成則 小根山 裕之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1175-I_1183, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
8

交通信号制御における切替り時の損失時間は,交差点円滑性指標の遅れに影響を与え,また交通安全上も重要である.切替り時における損失時間の開始と終了(有効青時間の終了と開始)のタイミングは,これまでほとんど研究されていない.損失時間を厳密に評価することが,より安全で効率的な交通信号制御に繋がる.本研究では,青丸表示から右折矢印表示への切替り時に着目し,飽和交通流,最終車と先頭車の通過タイミング,および青丸表示時に右折車が停止線を越えて交差点内に滞留するスペース長などの幾何構造を調べ,損失時間と有効青時間を分析する.幾何構造の異なる5交差点の分析から,右折専用現示前には損失時間ではなく有効青時間が重なるゲインが存在することを実証し,このゲインの大きさを交差点形状から推定する方法を提示する.
著者
永野 峻祐 小根山 裕之 大口 敬 鹿田 成則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.841-849, 2010

本研究では,路面電車の利用者増加策としての車両更新効果を明らかにすることを目的として,東急世田谷線の車両更新に着目し,東急世田谷線の評価や満足度の変化,それに伴う利用機会の変化について,アンケート調査・分析を行った.分析の結果,利用促進効果や認知&好感度UP効果は車両の物理的改善やデザインの変化に強く影響を受けることが示された.一方,個人が元々持つ運行サービスレベルの評価や,公共交通に対するイメージや考え方に影響される可能性があることもわかった.また,年齢により車両更新の捉え方に違いがあり,特に年齢層が上がるにつれ利用者の満足度が向上しており,利用促進効果や認知&好感度UP効果も高いことが示された.
著者
犬飼 望 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃 小根山 裕之 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1327-I_1338, 2018

交差点の平面幾何構造と交通制御を工夫し,右折車と対向直進車の交錯を減らすAlternative Intersections(以下,AI)と呼ばれる新しい交差点概念が海外にて提案されている.本研究ではAIが我が国でも交通制御の選択肢の1つになり得るという仮説のもと,適用に向けた知見を得ることを目的とする.日本に存在する交差点からAIの適用可能性があると考えられる交差点を選定し,観測データを基本入力値としたシミュレーションを用いてAIを仮想再現し,交差点処理性能評価を行った.また,従来型交差点と構造が大きく異なるAIを日本人ドライバーが迷いや違和感なく運転できるかどうかドライビングシミュレータを用いて検証した.その結果,我が国におけるAIの適用領域の目安を示し,日本人ドライバーにとってAIは工夫次第で受容性があることを明らかにした.
著者
犬飼 望 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃 小根山 裕之 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1327-I_1338, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
17

交差点の平面幾何構造と交通制御を工夫し,右折車と対向直進車の交錯を減らすAlternative Intersections(以下,AI)と呼ばれる新しい交差点概念が海外にて提案されている.本研究ではAIが我が国でも交通制御の選択肢の1つになり得るという仮説のもと,適用に向けた知見を得ることを目的とする.日本に存在する交差点からAIの適用可能性があると考えられる交差点を選定し,観測データを基本入力値としたシミュレーションを用いてAIを仮想再現し,交差点処理性能評価を行った.また,従来型交差点と構造が大きく異なるAIを日本人ドライバーが迷いや違和感なく運転できるかどうかドライビングシミュレータを用いて検証した.その結果,我が国におけるAIの適用領域の目安を示し,日本人ドライバーにとってAIは工夫次第で受容性があることを明らかにした.