著者
高山 博之 黒木 英州 前田 憲二
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.127-134, 2007 (Released:2007-11-01)
参考文献数
15

すべり速度・状態依存摩擦構成則を平面および3次元の形状をしたプレート境界面に適用し,東南海および南海地震の発生順序に関するシミュレーションを行った。平面のプレート境界では,プレートの形状の影響がないので,東南海・南海地震のそれぞれのアスペリティの大きさおよび摩擦係数(a-b)の大きさの影響を調べた。アスペリティの大きさおよびa-bの絶対値が同じ場合(基本モデル)は,どちらかが先に起こる傾向は見られないことがわかった。アスペリティの大きさまたはa-bの絶対値が異なる場合は,いずれも小さい方が先に起きた。前者は応力の集中の早さの違いに起因し,後者は応力降下量の大きさの違いに起因する。プレート境界を3次元の形状にした場合についてもシミュレーションを行った。東南海と南海のアスペリティの大きさとa-bの大きさを同じにし,両アスペリティのa-bの絶対値を基本モデルと同じにした場合は東南海から先に起き,10%小さくすると南海から先に起こるようになった。これは東南海の東端からの応力の集中の早さと紀伊半島沖の安定すべりによる南海側での応力集中の早さの関係がa-bの値の大小で入れ替わるためと考えられる。
著者
中村 雅基 金沢 敏彦 佐藤 利典 塩原 肇 島村 英紀 仲西 理子 吉田 康宏 趙 大鵬 吉川 一光 高山 博之 青木 元 黒木 英州 山崎 貴之 笠原 順三
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
気象研究所研究報告 (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-28, 2002
被引用文献数
5

中部日本におけるP波およびS波の3次元速度構造を地震波走時トモグラフィーを用いて求めた。その際、定常観測点で得られる自然地震を対象とした観測値だけでなく、人工地震や海域における臨時観測点等を用いた観測値を積極的に利用した。得られた成果は以下の通りである。沈み込むフィリピン海プレートと思われる高速度域が検出された。フィリピン海プレートは、少し高角度で沈み込み始め、その後なだらかになり、最後は高角に沈み込んでいる。35°N、136.5°E付近では、フィリピン海プレートが分かれている。将来発生が懸念されている東海地震の固着域の北西隣は、プレート間カップリングが弱い。35.6°Nから35.8°N、137.5°E、深さ100kmから200km付近で、非地震性のフィリピン海プレートが検出された。