著者
石田 直也 二階堂 泰隆 浦上 英之 黒田 健司 冨岡 正雄 佐浦 隆一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.753-757, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
30

〔目的〕異なる速度条件での歩行分析から歩行障害の原因を推測し,前庭リハビリテーションを行った結果を報告する.〔対象と方法〕対象は54歳男性の多系統萎縮症(MSA-C)患者である.異なる速度条件(至適・高速・低速)で歩行分析を行ったところ,低速度条件で歩行変動が増大したため,小脳片葉小節葉の病変による平衡機能障害が歩行障害の原因と判断し,前庭リハビリテーションを9日間実施した.〔結果〕重心動揺検査とFunctional Gait Assessmentの成績が向上し,治療前に観察された低速歩行時の歩行変動が減少した.〔結語〕MSA-C患者に対して歩行変動の速度依存性に着目し,前庭リハビリテーションを行うことで歩行不安定性の改善につながった.
著者
磯野 誠 堀口 明男 田崎 新資 黒田 健司 佐藤 全伯 朝隈 純一 瀬口 健至 伊藤 敬一 早川 正道 淺野 友彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.691-696, 2012-11-20 (Released:2013-12-03)
参考文献数
13

(目的) 尿道狭窄症に対する内尿道切開術の有効性について検討した. (対象と方法) 当院で内尿道切開を行った尿道狭窄症19例を対象とした.狭窄部位は球部尿道17例,膜様部尿道1例,振子部尿道1例であった.狭窄長は1 cm未満13例,1~2 cmが2例,2 cm以上が4例で,狭窄原因は騎乗型損傷7例,経尿道的手術後7例,骨盤骨折1例,不明4例であった.全例とも手術はガイドワイヤーを併用した,cold knifeによる切開で行った.術後尿道カテーテルの留置期間は5~35日(平均12.8日)であった.術後観察期間は1カ月から139カ月で,術後再狭窄の定義は画像上の再狭窄,もしくは自覚症状の悪化とした. (結果) 術後19例中13例に再狭窄を認めた.術後3カ月,6カ月,5年時点での無再狭窄率はそれぞれ44.4%,38.1%,20.3%であった.再狭窄例のうち7例に2回目の内尿道切開術を行ったが,6例に再々狭窄を認めた.再々狭窄を認めた6例のうち2例に3回目の内尿道切開術を行ったが,2例とも尿道カテーテル抜去直後から再狭窄により尿閉となった.統計学的有意差は認めなかったが,1 cm以上の狭窄例は1 cm未満の例に比べて再狭窄率が高い傾向にあった. (結論) 内尿道切開術の有効性は低く,過剰に適応されている可能性がある.内尿道切開術は長い狭窄や術後再狭窄例に対しては適応すべきではない.