著者
黒田 栄喜 王 大超 西 政佳 坂本 甚五郎 佐川 了
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東北支部会報 (ISSN:09117067)
巻号頁・発行日
no.51, pp.9-10, 2008-12-20

最近、一般品種よりも胚芽重が約2倍程度大きい巨大胚芽品種や良質良食味で直播適性の高い品種が育成され、コメの用途拡大や低コスト化に貢献することが期待されている。寒冷地向け巨大胚芽米品種として「恋あずさ」、また、倒れにくく直播向けの多収性品種として「萌えみのり」が品種登録された。本研究では、1980年代後半以降当地方の主要な普及品種である「あきたこまち」を基準品種として、「恋あずさ」および「萌えみのり」の生育特性および乾物生産特性について比較検討した。水稲。
著者
黒田 栄喜 玖村 敦彦
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.623-627, 1989
被引用文献数
2 1

近接した日の間にみられる水稲個葉の光合成速度 (CER) の変動とその生理的基礎, 並びに, 葉面光強度および気孔伝導度 (g<SUB>s</SUB>) の2要因がCERに及ぼす効果の相互関係について検討した。(1) CERの日による変動; (i) 圃場条件下で, 数日間連続して, 午前のほぼ同じ時刻に, 飽和光下で同一葉のCERを測定したところ, その値は日によって異なり, この期間の最大値と最小値の開きは5~10 mg CO<SUB>2</SUB> dm<SUP>-2</SUP>h<SUP>-1</SUP>に達することが認められた。(ii) CERの日による変動はg<SUB>s</SUB>のそれと並行的であった。(iii) g<SUB>s</SUB>の日による変動は蒸発計蒸発速度と密接な関連を示し, この値が大きい日にはg<SUB>s</SUB>が小さいという傾向がみられた。(2) 葉面光強度とg<SUB>s</SUB>のCERに及ぼす効果の相互関係; (i) 連続した数日間においていろいろな時刻に測定した同一葉位の葉のCERと葉面光強度およびg<SUB>s</SUB>との関係を検討したところ, 両要因の効果には相互作用が存在することがわかった。すなわち, (ii) 弱光下ではCERはg<SUB>s</SUB>に無関係に, ひとつの光-光合成曲線であらわされた。(iii) 光飽和点はg<SUB>s</SUB>が大きいほど高かった。(iv) 強光下ではCERは光強度に影響されずg<SUB>s</SUB>の増大に伴い増加した。
著者
平野 貢 山崎 和也 TRUONG Tac Hop 黒田 栄喜 村田 孝雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.551-558, 1997-12-05
参考文献数
16
被引用文献数
12

水稲品種あきたこまちとひとめぼれを供試して, 基肥窒素無施用一8葉期以降追肥の施肥体系と疎植の組合わせ栽培が慣行栽培に比べて低収である原因と改善の可能性について検討した. 基肥窒素無施用-疎植栽培区では葉面積や分げつなどの栄養生長が緩慢で最大葉面積指数も4程度と小さかった. また有効茎歩合が慣行区に比べてやや大きかったにもかかわらず, 登熟期におけるm^2当たり穂数はかなり小さく, m^2当たり籾数は3万粒を下回った. 登熟歩合は慣行区よりも明らかに大きかったが, 収量は慣行区より5-10%低かった. 穂揃期の有効茎数を株あたりで見ると, 1次分げつは慣行区と基肥窒素無施用-疎植栽培区で大差がなかったが, 2次分げつでは後者で多く, 全有効茎数も多くなった. 有効茎となった1次分げつおよび2次分げつの発生部位は慣行区では下位節に, 基肥窒素無施用-疎植栽培区では上位節に偏る傾向があった. しかし, 基肥窒素無施用-疎植栽培区の2次分げつ穂は1穂重, 穂長および1穂当たり生葉重が大きかった. 穂ばらみ期および登熟期の個体群内部の相対光強度は基肥窒素無施用-疎植栽培区で明らかに大きかった.