著者
齋藤 寛子 平尾 和子 佐藤 恵美子 宮地 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】山形県は三世代同居率が国内で最も高く(厚労省 平成30年報告)、生産年齢人口の有業率が女性は84.9%で全国2位(総務省 平成29年就業構造基本調査)である。そのため共働きが多く、食事作り担当者は祖父母という家庭も示唆され、地域や家庭における行事食が伝承されやすいと推察される。本報告では山形県内の4つの地方(庄内、最上、村山、置賜)に伝わる行事や食がどのように伝承されているかを検討した。</p><p>【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」で行った聞き書き調査、山形県の郷土料理に関する出版物および継続中の調査結果から、特徴的な行事と料理並びに食文化の背景について分析した。</p><p>【結果】山形県は4つの地方毎に伝承された行事や食があり、年中行事では年越し、正月、農作業に関する四季の行事など、また通過儀礼では冠婚葬祭のしきたりに関わる料理が伝わっている。正月の雑煮に入れる餅は県内でも地方によって異なり、最上・村山・置賜地方は四角の焼いた餅、海に面した庄内地方は丸餅を焼かずに用いるが、丸い形は北前船の影響があると考えられる。また、庄内地方では12月の大黒様の御歳夜に黒豆を用いた料理などを準備し、ごま豆腐やうどんのあんかけなどを作る祭りも伝わっている。一方、内陸部の最上、村山、置賜地方では「ひょっとして良いことがありますように」と願いを込め、正月にひょう干しの煮物を準備する。村山地方の人日の節句には、積雪のため七草など青物が調達できないことから、芋がらを入れた納豆汁を作る。また置賜地方ではお歳取りや祝儀の膳には祝い魚として鯉の甘煮を準備する。いずれの地方でも特徴ある行事食が伝承されていることがわかった。</p>
著者
齋藤 寛子 平尾 和子 佐藤 恵美子 宮地 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】山形県は昔から米作りが盛んであり、農作業の合間の小昼や一服のおやつは、疲れた身体を癒し、生産性の向上も担う大切な食であった。また、学校を終えて帰宅した子どもたちにとって、おやつは昔も今も楽しみであり、大切な栄養補給である。加えて、歴史的背景から、西廻り航路の港であった酒田市は、早くから京の和菓子が伝えられ、隣接する城下町であった鶴岡市は、雛菓子、お盆菓子、正月の祝い菓子など現在も昔と変わらずに食べられている。そこで本報告では、山形県の家庭におけるおやつについて、その実態を調査し、伝承された食べ方などをまとめることを目的とした。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」に於いて行った聞き書き調査及び山形県の郷土料理に関する出版物からの料理の抽出、さらに継続して行っている調査結果などから、季節、行事及び県内の地域区分等でおやつを分類し、その特徴について分析した。<br />【結果】山形県の家庭料理におけるおやつは約50品集録された。「ケ」の食のおやつには、うるち米やもち米を材料とするものが多く、きな粉餅、味噌餅、白餅もおやつとして認識されており、硬くなった餅は油であげたり、炒ったりして味付けし、あられとして食べられている。醤油で煎り煮した玉こんにゃくや寒天を用いた寄せものは、おかずだけではなくおやつにもなる料理である。「ハレ」の食のおやつには、上巳の節句のくじら餅、草餅、鶴岡の練り切り等で作るお雛菓子、端午の節句には灰汁巻きと灰汁を用いない笹巻2種と笹団子及び小正月の団子などが分類された。昔からのおやつは、食材は限られるものの、調理法や味付けに工夫が見られ、山形のおやつは豊かであったことが推察された。
著者
菅原 久美子 和泉 眞喜子 宮下 ひろみ 中村 恵子 會田 久仁子 村上 知子 菊地 和美 北山 育子 真野 由紀子 松本 祥子 大野 智子 高橋 秀子 齋藤 寛子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.129, 2010

【目的】米利用の地域性および米消費減少の要因を探るために、東北・北海道地方における米の摂取・調理状況に関する調査を実施し、前報<SUP>1)</SUP>では米の嗜好、摂取頻度、米に対する意識等について報告した。本研究では、米飯と代表的な米料理の摂取・調理状況について、東北・北海道地方における特徴と地域性について比較検討した。【方法】前報<SUP>1)</SUP>、同様である。<BR>【結果】三食とも米飯を摂取する割合は、全体で46.6%であるが、各県・道別にみると山形県71.4%、北海道29.9%となり、一日の米飯回数には地域差がみられた。山形県では黒米、宮城県では五穀米の使用が多い特徴がある。また無洗米の使用経験は各県道ともに多く、認知度や利便性等が広く浸透していることが窺われた。残りご飯は炒飯、雑炊としての利用が最多であるが、焼きおにぎりへの利用には地域差がみられた。おにぎりの具材はいずれも鮭、梅干しが上位であるが、たらこは秋田・青森県、こんぶは青森・岩手・宮城県、かつおぶしは北海道で多かった。炊き込みご飯、混ぜご飯、ちらし寿司を作る割合は各々88.4%、75.7%、62.6%であり、炊き込みご飯は秋田県、混ぜご飯は福島県、ちらし寿司は岩手県で作る割合が多く、いずれの米料理も、具の調理状況と盛りつけ時の具の飾り方には地域的特徴がみられた。具材を種類別にみると、炊き込みご飯では山形県のいも類(しらたき、こんにゃく)ときのこ類、北海道の藻類(ひじき、海苔)と魚介類(ほたて貝、ほっき貝)、混ぜご飯では宮城県の鮭の出現率が高く、地域の特産物が多く利用されている状況が窺われた。<SUP>1)</SUP>日本調理科学会平成21年度大会研究発表要旨集、p.47(2009)