著者
横手 逸男 ヨコテ イツオ Itsuo Yokote
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.39, pp.127-144, 2008-07

「皇室典範に関する有識者会議」は、皇位継承資格を「男系の男子」だけでなく「女子や女系の皇族に拡大することが必要である」との報告を平成17(2005)年11月24日に行った。これについては、当該報告を支持する意見がある一方で、125代にわたって男系により継承されてきた皇室の歴史や伝統を無視するものであるとの反対意見がさまざまな識者により表明された。その後、悠仁親王のご誕生という新たな動きにより、女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案の国会提出は見送られた形になった。悠仁親王のご誕生により、男系男子の皇位継承者がいなくなる事態はひとまず解消されたが、皇太子の次の世代に男子が1人という現在の状況においては「安定的な皇位継承」が確保されているわけではない。皇位継承問題や皇室典範の改正については十分な検討が必要である。Stability of the Imperial succession is an important issue that affects the country's foundation. Under the current Imperial House Law, sooner or later, a situation may arise in which there is no eligible candidate for the Imperial Throne. The prompt establishment of a system that will ensure the stability of the Imperial succession is therefore an important for Japan.
著者
横手 逸男 ヨコテ イツオ Itsuo Yokote
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.50, pp.149-164, 2014-02

天皇陛下や皇族方は、さまざまなご公務を通じて、国民との絆を深められている。 一方、現行「皇室典範」では、皇族女子は、「天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れ」なければならず、現在の皇室の構成に鑑みると、女性皇族が婚姻を機に皇籍を離脱した場合、皇室のさまざまなご活動の維持が困難になる。このような状況に対処すべく、ヒアリングが実施されたが、有識者の意見は大きく対立した。平成24年10月5日に野田内閣が発表した「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」では、皇族数の減少に歯止めをかけ、皇室のご活動の維持を確保するためには、「女性皇族が一般男性と婚姻後も皇族の身分を保持しうることとする制度改正について検討を進めるべきである」と結論づけたが、ヒアリングを行なうに際し示された「皇位継承問題には触れない」という前提条件にもかかわらず、「皇位継承問題」に関する大きな論争を招いた。しかし、皇室の直面している問題は深刻であり、これらの問題に関する政府の積極的なとり組みが必要である。In October 2012, the administration of Noda Cabinet released a report ofestablishing female Imperial branch families in light of decreasing numbers ofImperial Household members. But it remains unclear how the government ofAbe, which took over in December 2012, will handle the issue. Under the currentImperial House Law, sooner or later, a situation may arise in which there is noeligible candidate for the Imperial Throne. A stability of the Imperial successionis an important issue that affects the country's foundation. Therefore the promptestablishment of a system that will ensure the stability of the Imperial succession isan important for Japan.
著者
横手 逸男 Itsuo Yokote 湘北短期大学保育学科
出版者
湘北短期大学・図書館委員会
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.34, pp.307-325, 2013-03-31

野田内閣は、皇室の活動を安定的に維持し、天皇皇后両陛下の負担を軽減するために、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設をも視野に皇室典範改正案を取りまとめる方針を固め、ヒアリングを行いその内容を公表した。そこで示された「女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する案」と「婚姻後は、女性皇族は皇族の身分を離れるが、国家公務員として皇室活動を支援する案」の二案は、その後の安倍内閣の発足により白紙に戻されたが、皇位継承の安定的確保は、国家の根本体制にもかかわる重要な問題であり、先送りは許されない。本稿では、ヒアリングの内容を詳細に検討し、その論点を明らかにしたい。In October 2011, the administration of Noda released a report of establishing female Imperial branch familiesin light of decreasing numbers of Imperial Household members. The government also subsequently called forthe public's input on the report, but it remains unclear how the government of Abe, which took over in December2012, will handle the issue. Under the current Imperial House Law, sooner or later, a situation may arise in whichthere is no eligible candidate for the Imperial Throne. Stability of the Imperial succession is an important issue thataffects the country' s foundation. Therefore the prompt establishment of a system that will ensure the stability ofthe Imperial succession is an important for Japan. This paper reports the Advisory Council Report on the ImperialFamily by 12 experts.
著者
横手 逸男 Itsuo Yokote 湘北短期大学保育学科
出版者
湘北短期大学・図書館委員会
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.36, pp.135-145, 2015-03-31

平成11 年には,「国旗及び国歌に関する法律」が制定された。東京都教育委員会は平成15 年に「入学式,卒業式等における国歌斉唱の実施について(通達)」を都立学校の各校長宛に発したが,近年,これに関連する訴訟が数多く提起されている。本稿では,平成23 年5 月30 日の最高裁判所判決を検討して,「君が代斉唱」と憲法19 条の思想・良心の自由に関する問題を考察してみたい。The Act on National Flag and National Anthem was enacted in 1999. The Chair of the Tokyo Metropolitan Board of Education, as of October 23,issued a circular notice to the principals of Tokyo Metropolitan high schools, etc. entitled "Circular Notice on the Implementation of the Hoisting of the National Flag and the Singing of theNational Anthem in the Enrollment Ceremony, Graduation Ceremony, etc. In this paper especially studies on May 30, 2011, the Supreme Court decision.
著者
横手 逸男 Itsuo Yokote 湘北短期大学 Shohoku College
巻号頁・発行日
no.30, pp.155-169, 2009-03-31

日本国憲法は「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」(2 条)と規定し、皇室典範は「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」(1 条)と定めており、皇位継承資格を「男系の男子」に限定している。皇位継承の安定的確保は、国家の根本体制にもかかわる重要な問題である。しかし、皇太子の次の世代の男子が悠仁親王1 人という現況においては必ずしも「安定的な皇位継承」が確保されているわけではない。皇位継承問題、皇室典範改正問題については今までなされた論争をふまえて慎重かつ十分な検討が必要である。
著者
横手 逸男 ヨコテ イツオ Itsuo Yokote
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.46, pp.115-131, 2012-02

1941年12月の日米開戦後まもなく米国では、戦後対外政策諮問委員会(ACPER)が創設され、その下に領土委員会や特別調査部の極東班などにおいて、戦後の天皇制度に関する話し合いが行われた。日本占領にあたり天皇をどう扱うか、当時の国務省内では、活発な論議がなされている。戦局も押し迫り、新たに発足した戦後計画委員会や部局間極東地域委員会では、「天皇制存置・利用論」と「天皇制廃止論」との激しいやりとりがなされている。1944年末には国務省の機構改革により幹部会が発足した。また、その頃、戦争終結をみすえ、国務・陸軍・海軍三省委員会(SWNCC)が創設され、ここで決定されたSWNCC文書は米国政府の基本文書となった。国務省の知日派のグルーらは、「天皇制存置・利用論」の立場をとったが、1945年6月に示された「SWNNCC150」や7月に発せられた「ポツダム宣言」ではこの点については特に明示されず、同宣言を受諾し降伏するかの判断も、原爆投下、ソ連対日参戦後の御前会議における天皇の「ご聖断」を待たねばならなかった。