- 著者
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南 学
MINAMI Manabu
- 出版者
- 三重大学教育学部
- 雑誌
- 三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, pp.171-178, 2015-03-31
本研究では、現代の若者がもつ幸福観と価値観との関連から現代の「幸せな若者」(古市,2011)について明らかにすることを目的として検討を行った。結果は、「主観的幸福感」と「くつろぎ追求」とは有意な相関が見られず、「将来無関心」とも相関はなかった。また、幸福観によって若者を3群に分けたところ、「幸せな若者」像に近い「現状満足群」よりもすべてのことを追求する若者像である「全追求群」のほうが、「主観的幸福感」が高いことが見出された。これらの結果から、「幸せな若者」像はすべての若者にあてはまるものではないこと、「幸せな若者」の幸福感がとくに高いわけではないことが見出され、古市(2011)が提唱した若者の価値観の傾向と幸福感を結びつけた「幸せな若者」論は実証性に欠けることが示唆された。