著者
MA Libin PETERS Karsten WANG Bin LI Juan
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2019-053, (Released:2019-06-28)
被引用文献数
11

Based on the preceding work, the influence of the Stochastic Multicloud Model (SMCM) on the Madden-Julian Oscillation (MJO) in the state-of-the-art ECHAM6.3 at-mosphere general circulation model (AGCM) is further evaluated. The evaluation present-ed here is based on six recently proposed dynamics-oriented diagnostic metrics. Lag-longitude correlation maps of surface precipitation in the East Indian and West Pacific Oceans confirm the previously found improved representation of the MJO in the modi-fied ECHAM6.3 model compared to the standard configuration. In fact, the modified ECHAM6.3 outperforms the default ECHAM6.3 in five of the six MJO-related diagnos-tics evaluated here. In detail, the modified ECHAM6.3 (1) successfully models the east-ward propagation of boundary layer moisture convergence (BLMC); (2) captures the rearward tilted structure of equivalent potential temperature (EPT) in the lower tropo-sphere and forward tilted structure of EPT in the upper troposphere; (3) exhibits the rear-ward tilted structure of equatorial diabatic heating in the lower troposphere; (4) adequate-ly simulates the MJO-related horizontal circulation at 850 and 200 hPa as well as the 300 hPa diabatic heating structure. These evaluations confirm the crucial role of convective-parameterization formulation on GCM-simulated MJO dynamics and support the further application and exploration of the SMCM-concept in full-complexity GCMs.
著者
Murakami Takio Wang Bin Lyons Steven W.
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.191-210, 1992
被引用文献数
1 29

風、地上気圧、海面水温(SST)、外向長波放射(OLR)データを用いて、90°Eと110°Wに沿った7月平均の地域的なハドレー循環の構造を調べた。本論文の目的は、2種類のモンスーン-大陸と海洋との対照で生じるモンスーン(インドモンスーン)とSST傾度で生ずるモンスーン(北東太平洋夏季モンスーン)-を比較することである。<br>7月、90°Eに沿って大規模なハドレー循環が存在する。さらにこれに重なって、両半球側にはっきりと分かれた地域的なハドレー循環が存在している。北半球のハドレー循環は、赤道からモンスーントラフに吹き込む下層の南風、上昇域に対応するベンガル湾北端での大量の雨、200mbの北風、を伴っている。この北のセルは、赤道ベンガル湾上で弱い南の発散南風となっている。高い山岳を伴った大陸の存在が、ベンガル湾でのモンスーンの発達には重要であるが、SSTの影響は非常に小さい。南半球側のハドレーセルは、中緯度高気圧からの下層の南風流入によって維持されており、この南風は20°Sから10°Sにかけての強いSST傾度によって暖められ、気団変質を起こしている。変質した気塊は赤道近くのトラフに収束し、2°S-8°Sで冬の雨をもたらす。この領域では南半球ハドレーセルの上昇域が存在する。南北両半球側のハドレーセルは、夏冬半球の熱的差異によって生じた赤道を横切る下層の南風によって相互に関係し合っている。<br>110°Wにおいては、大陸の影響は小さいと思われる。東太平洋域は、赤道上を東西に伸びる冷たいSSTで特徴付けられる。この非常に強いSSTの南北傾度によって、顕著な北向きの気圧傾き度が生じ、赤道北側で南風を加速する。赤道から10°Nにかけて急激にSSTが上昇するために、この南風に多量のエネルギーが供給される。対流活動は12°N付近で最も強く、ここはSST最大(28.3°)である熱赤道より、2°~3°南に対応する。熱帯南太平洋では、低水温(25℃以下)のために、対流活動は不活発である。年間を通じて、熱帯収束帯(ITCZ)は熱帯北太平洋に停滞している。夏季モンスーンは、7月にITCZ(ハドレー循環の上昇域)が最も北の14°Nに位置する時に起きる。東部赤道太平洋の地上風の年変化は、東西風(下層ウォーカー循環)よりも、南北風(下層ハドレー循環)の方が一段と大きい。このことによって東部北太平洋の夏季モンスーンの発達が促進される。
著者
久保田 尚之 LU Mong-ming CHAN Johnny C. L. 片岡 久美 WANG Bin ZHAO Bingke
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

20世紀前半の西部北太平洋域で発生した台風の位置情報について、これまで利用されていなかった紙媒体の気象資料を、アジア各国の気象局や図書館から収集、電子化し、データセットを作成した。この結果、20世紀を通した西部北太平洋域の台風数の変動を調べ、全体では長期トレンドは見られなかったものの、地域的には、赤道に近い台風はより北に発生する傾向が、フィリピン、台湾、沖縄周辺の台風数が減少する台風経路の変化傾向が明らかとなった。