著者
井原 成男
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.p45-60, 1985-08

本論文で我々は子ども一般とりわけ自閉症児に包括的,治療的,発達的サービスを展開しようとする場合,どのような問題があるかを概観した。専門家が特殊化されたことが,現在,サービス機関がバラバラで,歩調が合わず,重複していることが多いことの第一の原因になっていることが確かめられた。疾病分類法が混乱していること,そのために専門家が子どもの問題を特殊な領域へと分割してしまうことが支持をうけていることが分かった。そして最後に,親が専門家のスケープゴート(贖罪のヤギ)として犠牲にされ,「専門化された」親というさらに積極的な役割をもたされること,この体制をどんな役割でもって支えてきたかを調べた。子どもたちに包括的な発達的サービスを行うためのひとつのモデルとして,自閉症児及び自閉症に関連したコミュニケイション障害をもった子どもの治療・教育局(Division)をくわしく検討した。このプログラムの基本的要素は次のようなものである。1.発達システムを効果的なものとするためには単一の理論的見解ないしは単一の専門家の見解を優先させることはできない。このプログラムでは子どもとその家族にたいして責任を負う。2.親は自分の子どもに責任があり,いちばん,心から子どもたちを幸福にしようと思っている人のようである。このために,親が積極的に平等に参加することが必要となる。3.専門家があまりに専門化されすぎると,見通しが狭くなり,また焦点が子どもに方向づけられた関心から専門家の関心に移ってしまう。このことが示唆しているのは,細かく特殊な知識をもつ専門家のいきすぎを,子ども全体に実践的焦点をあてる非専門家と親が均衡化してあげなければならないということである4.官僚機構は直接プログラムの操作・目標そしてプログラムの性格そのものにも影響を与える。ここでそれとなく言いたいのは,官僚機構には以上の要素が精練された形で含まれていなければならないし,何よりも子どもに対して責任をもち,関心を向けなければならないということである。それができれば,様々の分野出身の専門家は親と協力しつつ,プログラムに参加した子すべてに最高のサービスをすることができるようになるのである。このプログラムにより,子どもがどんなものを必要とするにせよ,先入観にみちた定義におし込める代りに子どもたちに調和のとれたサービスをすることができる。このプログラムによって,様々の治療技術を効果的に発展させ,評価を比較することが促進される。そして,我々の子どもへの効果ある援助をすべての子どもに行うことができるよになるのである。
著者
田中 祥貴
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.149-159, 2006-09
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.93-111, 2004-03-31

本稿は、ブランドに関する定義や理論を整理し、その具体的な事例としてハーゲンダッツのブランド構築についてまとめたものである。前半では、ブランド識別の主体を、売り手(企業)、買い手(消費者)、第三者(法的機関)に区分し、ブランド機能を①識別機能、②品質保証機能、③意味づけ機能に分けて整理した。さらに、ブランドカを「知名度」→「信頼度」→「魅力度」というランクで示したモデルも提示した。情報化社会の進展にともなって「企業」が示す「識別機能」や「品質保証機能」に加えて、「消費者」のいだく「意味づけ」が重要になりつつある。そのため単に「知名度」や「信頼度」を上げることより「魅力度」を向上させる必要性が高まっている。また、個別の製品ブランド管理よりも企業全体のイメージを向上させる全社的戦略が求められており、そのためのヒントも提供した。後半は、日本におけるハーゲンダッツの成功事例を通じてブランド構築の過程を具体的に検証した。
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.313-331, 2004-03

本稿は、ブランドに関する定義や理論を整理し、その具体的な事例としてハーゲンダッツのブランド構築についてまとめたものである。前半では、ブランド識別の主体を、売り手(企業)、買い手(消費者)、第三者(法的機関)に区分し、ブランド機能を①識別機能、②品質保証機能、③意味づけ機能に分けて整理した。さらに、ブランドカを「知名度」→「信頼度」→「魅力度」というランクで示したモデルも提示した。情報化社会の進展にともなって「企業」が示す「識別機能」や「品質保証機能」に加えて、「消費者」のいだく「意味づけ」が重要になりつつある。そのため単に「知名度」や「信頼度」を上げることより「魅力度」を向上させる必要性が高まっている。また、個別の製品ブランド管理よりも企業全体のイメージを向上させる全社的戦略が求められており、そのためのヒントも提供した。後半は、日本におけるハーゲンダッツの成功事例を通じてブランド構築の過程を具体的に検証した。
著者
京谷 栄二
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.17-28, 2011-07
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.9-34, 2003-09-30

本論の目的は3つある。第1に、レビットやエーベルなど、ドメインの基本的な理論をあらためて紹介して整理した上で、ドメイン論の問題点と現実的応用について筆者なりに考察することである。第2には、シナノケンシ株式会社(以下、シナノケンシ)の歴史的な発展の過程を振り返って、繊維→モーター→電子機器とドメインを変えながら成長を続けている同社の事例を紹介することである。第3には、シナノケンシ成功の理由と同社の課題を筆者なりに分析して、戦略的な提案を試みることである。