著者
早渕 仁美 井上 厚美 坂井 徳子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.17-24, 1990-01-25

料理の作り方をどのような手段で示すかについて, フローチャート化とイラスト化を行い検討した。1)既製の約束事に基づきフローチャート化を行ったところ, 複雑な流れになって, 作り方の把握が困難なものがみられた。そこで約束事を充実させ, 基本調理操作法などの別項を設けて簡略化を行った。しかし別項を参照する手間や, 図形や記号の意味や約束事を覚えなければならない煩雑さが残った。2)基本調理操作のイラスト化における約束事を定めた。その約束事に基づき調理操作のイラスト化を行ったところ, フローチャート化したものに比べ, 料理の概要や作り方を簡潔明瞭に示すことができ, どのような料理かを直感的に把握することができるのではないかと考えられた。
著者
永原 真奈見 太田 雅規 梅木 陽子 南里 明子 早渕 仁美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.131-142, 2020-08-01 (Released:2020-09-26)
参考文献数
37

【目的】小学校に入学した1年生が6年生になるまでの6年間における,朝食の食事バランスと生活習慣や不定愁訴を調べ,生活習慣及び不定愁訴と朝食の食事バランスとの関連性を明らかにした。【方法】2011年入学の1年生(n=91)を対象に,起床や就寝,朝食,共食,食事の手伝い,不定愁訴に関する自記式質問紙調査を6年間継続して実施した。学年時別実態及び経年変化を明らかにすると共に,朝食の食事バランスと関連のある生活習慣・不定愁訴について検討した。【結果】朝食の欠食率は1~4年時は3~5%,5・6年時は11~14%に増えており,共食の割合は進級に伴って減少していた。朝食で主食・主菜・副菜がそろった食事をしている児童の割合は1年時が45.1%と最も高く,4~6年時には主食のみの食べ方が増加した。起床時刻や自律起床習慣は,高学年時に顕著な改善はみられず,就寝時刻は進級に伴って遅くなっていた。不定愁訴に関しては,6年時の児童の約90%がだるさや疲れ,イライラやむかつきを感じ,約63%が学校が嫌になることがあると回答した。また,朝食の食事バランスは,起床・就寝時刻,共食,手伝い,疲れ,学校が嫌の項目と関連がみられた。【結論】低学年時に望ましい生活習慣を確立できるよう積極的に介入すること,高学年時にはバランスの良い朝食摂取や睡眠の意義を再教育し,不定愁訴にも配慮することの重要性が示唆された。
著者
石崎 太一 黒田 素央 久野 真奈見 北面 美穂 早渕 仁美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.343-346, 2007-07-15
参考文献数
14
被引用文献数
4 7

鰹節だしの継続摂取が単純作業負荷によって生じる精神疲労やストレス,および作業効率に対する影響について,健常な成人女性を対象として調査を行った.1週間の非摂取期間の後,被験者に鰹だしを1週間摂取させた.非摂取期間後および鰹節だし摂取期間後に評価を実施した.単純作業負荷として内田-クレペリンテスト(UKP)を行い,UKPの前後にProfile of Mood States(POMS)による気分·感情状態の調査,フリッカー値の測定ならびに唾液コルチゾールの測定を行った.非摂取期間後には,UKP負荷後のフリッカー値は負荷前に比べて有意に低値を示したが,鰹節だし摂取期間後には負荷前後で有意な変化は見られなかった.負荷前の唾液コルチゾール値は非摂取期間後に比べて鰹節だし摂取期間後に有意に低下した.さらに,鰹節だし摂取期間後のUKPの誤答率は,非摂取期間後の誤答率と比較して,有意に低値を示した.これらの結果から,鰹節だしの継続摂取により,単純作業負荷時に精神的疲労が少なくなる傾向,ストレス応答が低下する傾向ならびに計算作業効率の低下が抑制される可能性が示唆された.
著者
浜名 涼子 早渕 仁美 南里 明子 久野 真奈見 赤崎 尚子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-54, 2004-03-01
被引用文献数
2

学年や性に応じた細やかな教育のための実態把握を目的に, 福岡県内の小学2年生と4年生263名を対象に, 食生活を中心とした生活習慣と自覚疲労について調べ, 学年差と男女差について検討した。(1) 朝食の欠食者は, 平均21%で, 高学年で増える傾向にあった。朝食に, ごはん・パン・肉を摂る者は高学年に, 果物ジュース・野菜ジュースを摂る者は低学年に多く, 学年差が認められた。また, 牛乳を摂る者は男子に, パン・スープを摂る者は女子に多く, 男女差が認められた。高学年では朝食に対する意識が低かったが, 欠食理由には, 学年・男女差は認められなかった。(2) 4年生になると「学校給食が楽しい」者は約6割に減少し, 学年差が認められた。間食の用意は, 低学年では家人, 高学年では自分で行う者が多く, 学年差が認められた。間食の量は女子で少なく, 男女差が認められた。(3) 運動と排便の頻度は男子に, 歯磨きの頻度は低学年に高い傾向にあった。就寝時刻は高学年で遅く, 睡眠時間も短くなり, 学年差が認められた。(4) 自覚疲労は, 特にあくび (77%), 目の疲れ (58%), 横になりたい (57%), いらいら (52%) が多く, 腹痛/吐き気・いらいら・根気がない・学校に行くのが嫌は高学年に, 体がだるい・目の疲れ・頭痛・めまいは女子に多く, 自覚疲労が高学年, また女子に多いことが分かった。
著者
野田 耕作 庵原 知子 平野 裕子 早渕 仁美
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.691-695, 1991-08-15

L-アスパラチル-L-フェニルアラニンメチルェステル(アスパルテーム, APM)の各種果汁中における安定性について,果汁溶液に溶かしたAPMをアミノ酸分析計を用いたイオン交換タロマトグラフィーで分析することにより調べた.その結果,APMはキウイフルーツ,パインアップル,パパイアおよびメロンの各果汁溶液中で加水分解されることがわかった. とくに,メロン果汁溶液中では, APM 0.1%,果汁25%の条件下で約15時間でAPMは完全に分解した.パパイア果汁も高いAPM分解活性を示した.それに対して,オレンジ,温州みかん,グレープフルーツ, レモろ りんご,ぶどバいちごおよびマンゴの各果汁溶液中ではAPMは安定であった.キウイフルーツおよびパインアップル果汁溶液中でのAPMの分解産物は,レアスパラチ'トレフェニルアラニンであった.一方, パパイアおよびメロン果汁溶液中では,APMはその構成アミノ酸であるレアスパラギン酸とL-フェニルアラニンにまで分解された.
著者
早渕 仁美 上田 晴陽 梅木 陽子 江頭 和佳子 太田 雅規
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.323-333, 2017-10-25 (Released:2018-08-02)
参考文献数
26

The “Lesson of Taste” (“Leçon de Goût” in French) has been implemented in Japan as “Mikaku no Jugyo” since 2011 to teach children to use all five senses and enjoy the five tastes during meals. However, the educational benefits of the lesson have not been verified scientifically. In 2015, we therefore investigated the effects of the “Lesson of Taste” at an elementary school in Fukuoka, Japan that has conducted the lesson on 4th graders every year since 2012. Among the 4th graders (n=98), the mode of correct answers in the taste recognition test (5 basic tastes and 3 tasteless samples) was 4 and 8 (perfect score) before and after the lesson, respectively ; the ratio (%) of students scoring >6 correct answers essentially doubled after the lesson. The mode of correct answers among 4th graders (n=130) at a nearby school that did not offer the “Lesson of Taste” (control) was 4, which significantly differed from those attending the target school. Furthermore, the knowledge and awareness of taste immediately improved among the children after the “Lesson of Taste”. A survey of 5th (n=99) and 6th grade (n=114) children at the target school revealed that the “Lesson of Taste” provided an opportunity to develop interest in anticipating, tasting, and eating food. The “Lesson of Taste” improved the sense of taste and positively impacted food awareness and eating behaviors among children.
著者
舟木 淳子 矢野 みどり 早渕 仁美 荒井 綜一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.546-551, 1996-05-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

福岡県産豆腐味噌漬けの熟成過程における呈味,テクスチャーおよびタンパク質の変化について検討し,次のような結果を得た.(1) 豆腐味噌漬けは漬け込み日数が長くなるほどチーズ様の味が増し,柔らかくなることが官能検査およびレオメーターによる咀嚼試験から確かめられた.(2) 豆腐の総窒素に対する水溶性窒素の割合(タンパク質溶解率)は漬け込み前の水切り豆腐で13%であったものが漬け込み後2日で41%に達し,以後やや増加した.TCA可溶性画分中の遊離アミノ酸は熟成に伴って著しく増加し,漬け込み8日で水切り豆腐の26倍に達した.主な遊離アミノ酸はアルギニン,グルタミン酸,リジン,ロイシン等であった.(3) 電気泳動によりタンパク質の分解を調べた.熟成に伴ってβ-コングリシニンサブユニットおよびグリシニンの酸性サブユーットに対応する各バンドが消失し,20kd以下のバンドが増加した.(4) 走査電子顕微鏡により構造的変化を観察したところ,漬け込み日数の増加に伴ってタンパク質の網目構造が次第に崩れ,組織間の空間の拡がりが認められた.
著者
石崎 太一 黒田 素央 久野 真奈見 北面 美穂 早渕 仁美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.343-346, 2007-07-15 (Released:2007-10-04)
参考文献数
14
被引用文献数
8 7

鰹節だしの継続摂取が単純作業負荷によって生じる精神疲労やストレス,および作業効率に対する影響について,健常な成人女性を対象として調査を行った.1週間の非摂取期間の後,被験者に鰹だしを1週間摂取させた.非摂取期間後および鰹節だし摂取期間後に評価を実施した.単純作業負荷として内田-クレペリンテスト(UKP)を行い,UKPの前後にProfile of Mood States(POMS)による気分·感情状態の調査,フリッカー値の測定ならびに唾液コルチゾールの測定を行った.非摂取期間後には,UKP負荷後のフリッカー値は負荷前に比べて有意に低値を示したが,鰹節だし摂取期間後には負荷前後で有意な変化は見られなかった.負荷前の唾液コルチゾール値は非摂取期間後に比べて鰹節だし摂取期間後に有意に低下した.さらに,鰹節だし摂取期間後のUKPの誤答率は,非摂取期間後の誤答率と比較して,有意に低値を示した.これらの結果から,鰹節だしの継続摂取により,単純作業負荷時に精神的疲労が少なくなる傾向,ストレス応答が低下する傾向ならびに計算作業効率の低下が抑制される可能性が示唆された.
著者
早渕 仁美 徳田 洋子 松永 泰子 黒谷 佳代 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.128-140, 2016 (Released:2016-11-16)
参考文献数
27
被引用文献数
3

【目的】「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の考え方を食事バランスガイドに反映させ,食事バランスガイドの料理区分別サービング数(以下,「SV」と略)を算定し直し,エネルギー産生栄養素バランスの目標量に合致するか確認する。【方法】日本人の食事摂取基準(2015年版)で設定されたエネルギー産生栄養素バランスの目標量に留意し,料理区分別SVを食品構成の考え方に基づき算定する設定条件を見直した。たんぱく質のエネルギー産生栄養素バランス(以下,「たんぱく質%E」)と穀類エネルギー比率,及び5料理区分以外(菓子・嗜好飲料等)からのエネルギー(以下,「他Ene」と略)の条件を見直し,矛盾のない妥当な設定基準範囲について検討した。【結果】 設定条件の見直しによる基準エネルギー範囲の料理区分別SVの変化と,そのSVに基づき算出したエネルギー産生栄養素バランス(%E)と食塩量の分布を明らかにした。基準エネルギー 1,200~3,200 kcalに,たんぱく質%E16.5~14.5,穀類エネルギー比率38.0~45.0%,他Ene 0~100 kcalを設定して算定した料理区分別SVを用いた栄養価が,最も日本人の食事摂取基準(2015年版)に適合していた。【結論】見直し後の食事バランスガイドSVは,主食が 1 SV程度低値,主菜は 2 SV程度高値に,副菜と牛乳・乳製品,果物は現状とほぼ同値になった。
著者
早渕 仁美 久野 真奈見 松永 泰子 吉池 信男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.189-198, 2007-08-10
被引用文献数
4 5

女子大生とその両親544人分の食事記録に基づき, 2,877日に摂取された42,508品目の料理を用いてデータベースを整備した。まず, 料理名と使用食品重量, あるいは各料理の栄養価を用いて分析を行った。クラスター分析に使用する栄養価と食品群別重量を絞り込み, タンパク質・脂質・炭水化物と野菜・果物・飲用乳重量を変数として用い, 料理を11パターンに分類した。大きく三つの異なるグループ, 「複合的料理群」と「単独料理群」, その他が存在した。「複合的料理群」は, カレーライスのような「複合主食型」 (<i>n</i>=1,364), すき焼きのような「複合主菜型」 (<i>n</i>=448), おでんのような「複合副菜型」 (<i>n</i>=695) の三つに分類された。「単独料理群」は, 炭水化物を平均60.0g含む「主食型」 (<i>n</i>=5,916), タンパク質を平均20.3g含む「主菜型」 (<i>n</i>=1,789), 野菜重量が平均70gの「副菜型」 (<i>n</i>=4,226), 飲用乳重量が平均187gの「牛乳・乳製品型」 (<i>n</i>=1,362), 果物重量が平均100g (<i>n</i>=1,582) と230g (<i>n</i>=343) の「果物型」の六つに分類された。なお, 料理の過半数はこれら九つには分類されず, 弁当や小鉢で供されるような「小主菜型」 (<i>n</i>=5,865) と, 「飲物・小食物型」 (<i>n</i>=18,918) に分類された。これら11の料理型は, 含まれる食品の種類や栄養価の点から, 食事評価や栄養教育上重要な特性をもっていると考える。
著者
早渕 仁美 舟木 淳子 井上 厚美 柴田 直美 片倉 美穂 河内 幸子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.37-42, 1991-01-25

調理操作をイラスト化して示し, 従来の文章表記やフローチャート表記との比較検討を行った。3種類の料理(スポンジケーキ, 三色丼, 八宝飯)について, 3通りの方法で作り方を示し, 506名を対象にアンケート調査を行った。文章表記とイラスト表記はほぼ同率でわかりやすいと答えられたが, 比較的馴染みのある料理や, 料理を作り慣れている人の場合は文章表記を, 馴染みのない料理やあまり料理を作ったことのない人の場合はイラスト表記を支持する傾向がみられた。一方フローチャート表記はいずれの場合も支持率が低かった。次にどのような理由であるいはどのような場合に, いずれの表記方法が好まれるかを721名を対象にアンケート調査を行った。「第一印象のよさ」「料理の想像しやすさ」「複数で実際に作る場合のわかりやすさ」はイラスト表記が, 「作業手順のわかりやすさ」「一人で実際に作る場合のわかりやすさ」は文章表記が最も支持された。調理操作をイラストで示すことは, 視覚を刺激して興味を引き, 料理の作り方のポイントや特徴を瞬時に理解させ, 一目でそれがどのような料理であるかを把握させることに役立つのではないかと考えられた。
著者
石崎 太一 久野 真奈見 梅木 陽子 黒田 素央 早渕 仁美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.39-43, 2005 (Released:2006-08-04)
参考文献数
9
被引用文献数
6 11

Using a placebo controlled single blind crossover study, we examined the effects of dried skipjack soup stock on mood and emotion among Japanese female college students by questionnaire.Twenty-seven subjects were divided into two groups, and 100 ml of skipjack soup stock and a placebo were alternately given for one week to both groups. The washout period was one week. The placebo was diluted water containing a natural skipjack flavor, pigment and salt. The profiles of mood were observed using the POMS test and the mood questionnaire before and after consumption.There were some subjects who had an unstable emotional baseline. The walking counts by pedometer and the diary descriptions suggested there were some events that varied their emotions. We therefore decided to use subjects who had a stable emotional baseline for evaluation of the test foods. As a result, the scores for tension, anger and TMD (Total Mood Disturbance) in the skipjack soup stock group significantly decreased from the initial values. On the mood questionnaire the score for concentration increased from the initial value.These results suggest that skipjack soup stock had a beneficial effect on mood status.
著者
早渕 仁美 梅木 陽子 久野 真奈見
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

飲食物の内容と量から主食・主菜・副菜等の料理分類を行う方法と基準、食事摂取基準等指標との関係を明確にし、食事状況を栄養素・食品レベルだけでなく料理レベル、さらに料理の組合せである食事レベルで示し、食生活の質を総合的に評価するための、食物ベースの食事評価方法を確立することを目的とした。また、栄養士等専門家向けの定量的データ(食事摂取基準)と、一般向け定性的メッセージ(食生活指針)をつなぐ、半定量的な食事ガイドとして、食物ベースによる食事評価の科学的根拠に基づく教育ツールを開発し、栄養指導や食育活動に活用し、その妥当性と有効性について検討した。1.前回の科学研究費の研究成果であった「料理群分類方法」の妥当性を、データベースに基づいた系統的分析 によって明らかにした。2.食事状況を食物ベースで、視覚的にわかりやすく、的確に示す方法を提案し、その効果を検証した。3.食事評価に料理レベルのデータを用いることの意義を明らかにした。4.料理レベルで食物摂取の内容と量を簡便に把握する食事調査方法の検討を行った。5.自分の食習慣を簡便に把握し、食生活改善の動機づけに役立つシステムを開発した。6.料理を食事バランスガイドの基準で分類、サービング計算するシステムを開発した。7.食事記録調査データの栄養計算を行い、食物ベースで評価するシステムを試作した。8.上記開発した調査、評価手法を活用して、食事調査や栄養教育・食育活動行い、その妥当性と効果の検証を行った。
著者
早渕 仁美 井上 厚美 池田 正人
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.41-50, 1985-12-25
被引用文献数
2

個人の平均的な食生活実態を, 簡便かつ数量的に把握する手段として, 簡易食生活実態調査票を考案した。調査内容は, 個人情報, 食事状況, 摂取状況に分かれており, 食事状況は10点満点で点数化し, 摂取状況は日頃よく使用する食品(76品目)の平均摂取頻度と1回当たりの目安摂取量から, 1日当たりの摂取栄養量および食品群別摂取量が推定できるようにした。なお, 塩分摂取量は調味や料理の好みなども考慮して推定している。本調査方法と思い出し法による食生活実態調査を行った佐賀県農村婦人(40歳代, No.=121)の事例を上げ, その簡便性と妥当性について, 若干の検討を加えた。
著者
南里 明子 早渕 仁美 梅木 陽子 肘井 千賀 大島 晶子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.53-60, 2003-03-20
被引用文献数
2

福岡市健康度診断を受診した一般市民3,492名を対象に,食生活診断の判定に用いている体型分類について検討を行い,食生活との関係について明らかにした。日本肥満学会のBMI基準(普通:18.5〜25.0)による3体型分類では,対象者の70%前後の人が普通体型と判定されたが,対象者の50%前後には,高脂血症,高血糖,高尿酸血症,肝疾患等の異常がみられた。健康度診断システムが,健康増進のためのスクリーニングであり,栄養改善への動機づけとなるように,体型の基準を少し厳しく(19.8〜24.2)すると,普通体型が50%前後となった。一方, BMIが基準以下でも体脂肪率の高い人や. BMIは高いが体脂肪率の低い人が少なくないので,体型の判定にはBMIだけではなく体脂肪率も必要と考えられた。BMIと体脂肪率が,ともに基準内を「普通」,両方少ない「痩せ」,両方多い「肥満」,体脂肪率のみ多い「隠れ肥満」, BMIのみ多い「筋肉」の5体型に分類すると,肥満,隠れ肥満などの生活習慣病予備群や女性若年者の痩せを抽出することができ,栄養アセスメントに有効であると考えられた。また,体型と食生活との関係については,普通体型の食生活診断点数は男女ともに高く,肥満と痩せの量点数は低く,体型には食事の量や食べる速さが関係していることが分かった。なお,痩せや肥満など体型に問題のある人は,好ましくない食習慣の項目が多く,特に肥満では普通体型に比べ,腹一杯,早食い,濃い味,乳乳製品が少ないなどの食習慣が多くみられた。