著者
木下 東一郎 南部 陽一郎
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.176-181, 1950

前号(1)に中間子電流に対する電磁場のdynamical reactionにつき予備的な計算の計算の結果を報告したが,その中には方法論的に明確でない点や未解決な問題が残されていたので,これらのことについてその後考えたことを述べる。なおまだ計算が完了していないので詳細は次の機会にゆづることにする。
著者
百武 慶文
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.116, no.3, pp.C7-C16, 2008-08-20 (Released:2017-10-02)

超弦理論やM理論の低エネルギー極限を考えると、その相互作用は超重力理論で近似的に記述される。さらに摂動計算によってその次のオーダーを調べるとリーマンテンソルの4乗を含むような項が現れる。このオーダーの項はアノマリーを相殺するためには必要不可欠であり、量子効果を取り入れた重力理論の古典解を調べる上でも重要である。講演では摂動計算や超対称性によってリーマンテンソルの4乗のオーダーの項がどのような形で現れるかを概観する。一方、リーマンテンソルの4乗項は4次元N=8超重力理論の高次ループのカウンター項として現れる。そして近年超弦理論の摂動計算を駆使することで、4次元N=8超重力理論においてリーマンテンソルの4乗項よりも質量次元が高い項に対応するループに関しても、計算を実行できるようになってきた。4次元点粒子の量子重力理論で紫外領域で有限な理論が存在するかどうかは長年の懸案であったが、現在のところ4次元N=8超重力理論は有限であるという結論が支持されている。この話題についても触れる予定である。
著者
河野 朗典
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.116, no.4, pp.108-142, 2008-10-20 (Released:2017-10-02)

平坦な時空における場の量子論を曲がった時空へ一般化する定式化を以下の順序でレビューする。時間に依存した時空では、十分過去と未来とで対応する真空状態が異なることを見る。それを、膨張する宇宙や、星の崩壊によりブラックホールを形成する時空に適用することによって、宇宙での粒子生成や、Hawking輻射が起こることを見る。また、Hawking輻射におけるエネルギーの流れを求め、最終的にブラックホールの蒸発が予測されることを見ていく。
著者
細野 忍
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.37-73, 1987-07-20 (Released:2017-10-02)

外部変数を持つ量子力学系の断熱過程には,その変数空間に関する幾何学的な位相(Berry's phase)が現れる。この位相について,それが何如なる原因で,そして何如なる"メカニズム"で現れてくるのか,という視点から解説し,そこでの一般的考察に基づいてchiral gauge理論におけるchiral anomalyと,Berryの位相との関わりを議論する。
著者
平山 実
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.E61-E63, 1987-08-20 (Released:2017-10-02)

ノン・コンパクト空間上のDirac演算子に関係する位相不変量を考察する。連続スペクトルの存在に起因する複雑さ・多様さが現れる。コンパクト化可能な空間上の場の理論では見られなかった型のアノマリーが,ノン・コンパクト空間上の場の理論では現れることが指摘される。