著者
宮川 伸 藤原 将寿 西山 道久
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.534-543, 2008 (Released:2008-12-18)
参考文献数
24
被引用文献数
1

近年,RNAアプタマーが抗体医薬の次世代分子標的薬として注目されている.RNAアプタマーはSELEX法を用いて取得され,短鎖化および安定化ののちに医薬品候補品となる.PEGを付加することで体内動態特性が顕著に改善される.アプタマーはそれ自身が医薬品となりうるが,抗がん剤などを付加することでデリバリー剤としても利用可能である.本稿では,アプタマー医薬の作製方法と特性を概説するとともに,臨床試験中のvWFアプタマーとリボミック社が開発中のMKアプタマーに関して説明する.
著者
佐藤 剛 木村 廣道
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.113-117, 2011 (Released:2011-06-30)

医薬品産業を中核とする医療産業には日本の経済を牽引する知的集約産業としての期待が高まっている. しかしながら, 産業の担い手である日本の製薬企業は世界企業に対して規模において劣後しており, 革新的なイノベーション創出による地位の向上が求められている. 医療技術のシーズの担い手は, 医学・工学・薬学研究の進展とともに, 企業に限らず大学・研究機関, ベンチャー企業などへと多様化してきており, グローバル化が進む医療産業の中でオープンイノベーションを促進する基盤の整備・発展が望まれる.
著者
山口 淳 加藤 敬行 菅 裕明
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.584-592, 2011-11-30 (Released:2012-02-29)
参考文献数
29

新たな創薬の基盤技術として,我々は1013を超える多様性の擬天然特殊ペプチドライブラリーの構築を可能とするFIT(Flexible In-vitro Translation)システムと,生理活性を有した特殊ペプチドの迅速な探索を実現したRaPID(Random non-standard Peptides Integrated Discovery)システムを開発した.本稿ではこれら新規基盤技術の紹介と共に,特殊ペプチド創薬におけるDDSとの連携の重要性についても言及する.
著者
中村 和靖 杉本 義幸 町野 悠介 夏目 暁人 佐藤 光男
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.611-621, 2011-11-30 (Released:2012-02-29)
参考文献数
58

抗体医薬の臨床効果を高めるため,抗体が持つエフェクター機能を増強する試みがなされている.数多くの試行錯誤の結果,Fc領域の特定のアミノ酸の改変,あるいは糖鎖の修飾により抗体のFc受容体や補体への結合活性が向上し,ADCC活性やCDC活性といったエフェクター機能が増強することが示された.また,高いADCC活性と高いCDC活性を併せ持つ抗体を作製することができ,このような多機能化抗体は,複雑なメカニズムにより高い治療抵抗性を獲得している難治性癌の治療に有効であることが期待される.
著者
治田 俊志
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.36-42, 2007 (Released:2007-04-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

トランスレーショナルリサーチ(TR)は,基礎研究の成果を臨床で実証していく“bench-to-bedside”アプローチを基本とする.TRは,医薬品開発における研究開発期間と研究開発費の効率化,研究開発組織の変革,バイオベンチャーの育成などを促し,さらに,これらが相乗的に国内の医薬品開発プロセスを変革し,国内製薬企業の国際競争力を立て直す推進力になる.
著者
湯浅 勝敏 土方 貴雄 武田 伸一
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.140-147, 2007 (Released:2007-06-07)
参考文献数
35

筋ジストロフィーは進行性の筋力低下を示す筋疾患で,筋形質膜関連蛋白質の遺伝子変異により正常蛋白質の発現がみられない.筋ジストロフィーの遺伝子治療のためにウイルスベクターなどを用いたいくつかの治療戦略が開発され,正常蛋白質の部分的発現は可能である.しかし,これら治療戦略でも筋特異的にさらに安全に全身の骨格筋に治療遺伝子を導入することはいまだ不可能で,臨床に適用できていない.本稿では,筋ジストロフィーの発症原因とその遺伝子治療戦略について紹介し,全身の骨格筋を対象とした安全な全身投与に向けての現状と問題点ついて考察する.