著者
金子 博和 江畑 智希 横山 幸浩 伊神 剛 山口 淳平 梛野 正人
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.2048-2052, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
10

症例は65歳,男性.肝S6の限局性肝内胆管拡張を認め当院紹介.ERCPではB6の限局性胆管狭窄と末梢の胆管拡張を認めたが,CTでは腫瘤像を認めなかった.ENBDをB6に留置し,6回胆汁細胞診を提出したがいずれも悪性所見を認めなかった.PET-CTでも異常集積を認めなかったため,炎症性胆管狭窄と考え経過観察となった.その後,徐々にCA19-9が上昇し,腹部CTで肝S5/6の腫瘤性病変が顕在化してきたため,初回受診時から11カ月後,肝後区域切除を施行した.病理組織学的所見は中分化管状腺癌であった.肝内胆管拡張のフォローアップの重要性を改めて認識した1例を経験したので報告する.
著者
山口 淳
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.457-460, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
35

NGF(Nerve growth factor)は, 元来, 感覚神経や交感神経の発達・増殖や機能維持に必須の因子として同定された. 近年, NGFは炎症性・炎症性疼痛などの慢性疼痛に深く関わることが明らかとなってきた. NGFの阻害薬は, 既存の治療薬が効かない多くの患者に対する新規の治療法と期待されている.本概説では, NGFが疼痛を惹起するメカニズムやその治療応用についてこれまでの研究報告をまとめる.
著者
建内 宏重 市橋 則明 大畑 光司 楞田 眞弘 大野 博司 八幡 元清 秋本 喜英 山口 淳
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.225-229, 2002 (Released:2018-09-25)
参考文献数
18
被引用文献数
5

本研究の目的は,T字杖への荷重量と片脚立位時の安定性,および下肢筋活動との関係を明確にすることである。対象は健常成人10名とした。測定条件は、杖なし片脚立位(W_0)と杖への荷重量を100g未満(W_S),体重の10%(W_10),20%(W_20)とした場合の4項目とし,重心動揺(左右方向軌跡長,前後方向軌跡長,実効値面積)と筋活動(中殿筋、長腓骨筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭)の測定を同時におこなった。その結果,左右方向軌跡長はW_S,W_10とW_20においてW_0より有意に減少した。前後方向軌跡長はW_S,W_10においてW_0より有意に減少し、W_20においてW_S,W_10より有意に増加した。中殿筋筋活動は杖への荷重量の増加にともない減少したが、W_0とW_Sとの間では変化を示さなかった。長腓骨筋筋活動はW_S,W_10とW_20においてW_0より有意に減少した。これらの結果から、T字杖への荷重はわずかでもバランスの改善には有効であることや,強く荷重すると中殿筋の補助として効果的であることなどが示唆された。
著者
上田 芳孝 倉田 純一 内山 寛信 山口 淳
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
福祉工学シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.62-63, 2008-09-17

Many elderly people find rehabilitation training pleasurable at first, but difficult to continue. One of the causes is the monotony of the training. In order to reduce this, we developed a foot-operated wheelchair called the "Step Walker" for walk rehabilitation training which allows the patient more freedom of movement. The Step Walker has a pedal with a linkage mechanism and can move forward when the patient performs the step movement. Musclar power can be improved by using this wheelchair, without the patient being conscious of training. Measurement of the action potential of the muscles during Step Walker use and walking showed the muscles of the leg required for walking could be effectively trained by using this Step Walker.
著者
山口 淳一 大場 有功 金田 美恵 内田 紀代美 石川 洋 鈴木 公典 八木 毅典 佐々木 結花 山岸 文雄
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.629-634, 2007-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
8

〔目的〕定期外健康診断にクォンティフェロン ® TB-2G検査(以下QFT検査)を応用する際の留意点を明らかにすることを目的とする。〔対象と方法〕30代男性の肺結核患者(bII2,ガフキー9号,咳症状1.5カ月)を端緒として実施した会社の定期外健康診断の経過と結果を分析する。〔結果〕40歳未満の43名に対して,2カ月後の定期外健康診断において,ツベルクリン反応検査,QFT検査・胸部エックス線検査を行い,6カ月後の定期外健康診断において,胸部エックス線検査を実施した。また,9カ月後に2回目のQFT検査および胸部CT検査を実施した。2カ月後のツベルクリン反応検査は二峰性の分布を示し,QFT検査では10名が陽性,2名が疑陽性であった。QFT検査陽性・疑陽性の12名を化学予防としていたところ,6カ月後の胸部エックス線検査で,QFT陰性者から2名の肺結核患者が確認され,さらに9カ月後の胸部CT検査により5名の発病者が確認された。2回目のQFT検査では,発病者7名のうち3名が陽性または疑陽性であった。〔考察と結論〕QFT検査の結核患者における感度は80~90%とされており,偽陰性の可能性は無視できない。今回の経験を踏まえ,集団定期外健康診断において,QFT陽性・疑陽性者の割合が高かったり,ツベルクリン反応が明らかな二峰性の分布を示すなど,感染者が多数含まれている可能性が濃厚な集団では,以下に留意することが必要と考えられる。(1) 化学予防の対象者は,QFT検査結果のみでなく,ツベルクリン反応検査,接触状況などを総合的に判断して決定すべきである。(2)QFT検査陰性だった者についても,胸部X線検査の経過観察を行うべきである。
著者
高橋 知也 村山 陽 山﨑 幸子 長谷部 雅美 山口 淳 小林 江里香
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-160, 2021 (Released:2022-03-30)

社会的孤立には健康リスクがあることが示されており,特に中高齢者では孤立死のリスクにもなり得るが,「周囲からの孤立」の認識に着目した研究は乏しい。そこで,単身中高齢者において主観的な孤立を感じやすい者の特徴を検討した。方法:東京都A区の台帳上の単身者50-70代から無作為抽出した4000名に郵送調査を実施し(有効票1829),実際は同居人がいる者や分析項目に欠損のある者を除く1290名を分析対象とした。分析項目は周囲からの主観的な孤立感尺度(1因子4項目,4-16点,点数が高いほど孤立を感じやすい)(高橋ら,2020),基本属性(性別・年代・暮らし向き等5項目),主観的健康感,精神的健康度,客観的な社会的孤立(別居親族や友人との接触頻度),外出頻度,参加グループの有無,相談相手の有無とし,主観的な孤立感を従属変数,その他を独立変数とする重回帰分析を行った。結果:暮らし向き,主観的健康感,精神的健康度が良好でない単身中高齢者は周囲からの主観的な孤立感を深めやすいことが示唆された。他方,客観指標に基づく社会的孤立や参加グループおよび相談相手の有無等との間に有意な関連はみられなかった。
著者
田中 貴広 建内 宏重 田中 一成 楞田 眞弘 大野 博司 山口 淳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.A0648, 2005

【目的】<BR> 本研究の目的は、物的環境の違いが側方リーチ動作およびその際の自覚的安定性に与える影響を明らかにすることである。<BR>【対象】<BR> 健常者13名(男性3名 女性10名)、年齢26.1±4.6歳、身長161.5±6.5cmを対象とした。<BR>【方法】<BR> 左側方リーチ動作を測定条件1)テーブル設置なし、2)テーブル設置ありで測定した。順番は無作為とし、測定前に十分な練習を行った。テーブル端は左第5趾から30cm外側、高さは被検者の大転子の位置とした。<BR> 測定には三次元動作解析装置(oxford metrics社製VICON460)と床反力計(AMTI)を使用した。左第3中手骨頭部、左肩峰、左上前腸骨棘、左大転子、左足関節外果に反射マーカーを取り付けた。<BR> 左上肢を肩関節90°外転位に保持した立位姿勢(裸足、開脚10cm、開足15°)から検者の合図でできるだけ遠くに左上肢をリーチさせて、最大到達点で3秒間保持した。課題施行中にはできるだけ前方をみること、左上肢を肩峰の高さに保持すること、反対側上肢は体側につけ外転させないこと、膝を屈曲しないこと、両足底を床に接地していることを遵守した。また左側方リーチ動作施行前に両脚に均等に荷重し、両上肢とも肩関節90°外転位保持した立位(上肢外転立位)を3秒間測定した。<BR> 各測定条件において開始位置(上肢外転立位)から終了位置(左側方リーチ動作終了時)までの運動学的パラメータ(リーチ距離、骨盤移動距離、体幹傾斜角、下肢傾斜角、足圧中心移動距離)を求めた。測定は3回行い、その平均値を用いて分析した。<BR> 自覚的安定性の測定はvisual analog scale(10cm)を使用した。左端(0cm)を最低、右端(10cm)を最高とし、各測定条件での側方リーチ課題終了時の自覚的安定性を評価した。<BR> 検討項目は各測定条件での運動学的パラメータ、自覚的安定性の比較(対応のあるt検定)、各運動学的パラメータの変化率と自覚的安定性の変化率との関係(Peasonの相関係数の検定)とした。<BR>【結果】<BR> 各測定条件での運動学的パラメータの比較では体幹傾斜角を除く全ての項目において測定条件1)に比べ、測定条件2)で有意に大きかった(p<0.05)。<BR> 安心感は測定条件1),2)それぞれ5.9±1.4cm、6.6±1.6cmであり、測定条件1)に比べて測定条件2)で有意に大きかった(p<0.05)。<BR> 各運動学的パラメータと自覚的安定性との関係では明らかな相関関係は認められなかった。<BR>【考察】<BR> 力学的補助がない状況でも側方リーチ距離が増加した。またその増加は体幹の傾斜ではなく、下肢や骨盤の移動量増加により達成される傾向にあった。自覚的安定性についても同様に増加した。しかし運動学的パラメータと自覚的安定性には明らかな相関関係が認められず、物的環境が無意識下に側方バランス能力に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
著者
山口 淳
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.293-296, 2016

日本において,サービス産業が経済に占める比重は大きく,増加していく傾向にある.しかし一方で,サービス産業の生産性は高くなく,この分野の高付加価値化が重要とされている.<br>インダストリアル・エンジニアリング(IE)の諸手法は,製造業とともに発展し,製造企業の価値向上に寄与してきた.本研究は,それらIEの諸手法のサービス業への適用に向けて,比較検討を行なうことを目的としている.具体的には,ペットサロンにおけるトリミング作業を対象に,IEの諸手法の適用を試行し比較を行なった.その上で,標準化が進んでおらず無形性・同時性・異質性・消滅性が存在するサービス作業への適用可能性について,考察を加えている.
著者
山口 淳
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.207-210, 2017

ペットのトリミングサービスの需要増大に伴い,トリマーの作業負荷は大きくなり,業界全体で効率化,高付加価値化が課題となっている.そのような中,大手ペットサロンX社では,店舗のレイアウトが作業のしやすさや店舗の収益性へ影響しているのではないかという仮説を持つに至っている.<br>本研究は,その仮説の妥当性について確認を行なうことを目的としている.具体的には,作業のしやすさで対照的なレイアウトとされる2店舗の作業を研究対象とし,時間分析を実施している.その上で,店舗レイアウトの結果として生じる作業上の特徴が作業時間に与える影響についての分析を行なっている.
著者
松村 千恵子 倉山 英昭 安齋 未知子 金本 勝義 伊藤 秀和 久野 正貴 長 雄一 本間 澄恵 石川 信泰 金澤 正樹 重田 みどり 窪田 和子 山口 淳一 池上 宏
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.194-203, 2014 (Released:2014-06-14)
参考文献数
30
被引用文献数
1

千葉市3 歳児検尿システムでは,蛋白・潜血±以上,糖・白血球・亜硝酸塩+以上の1 次検尿陽性者に,2 次検尿と腎エコーを施行。1991~2011 年度154,456 名の精査陽性率は1.5%で,膀胱尿管逆流(VUR)16 名(血尿5,細菌尿11,尿単独3),アルポート症候群,ネフローゼ症候群,巣状分節状糸球体硬化症(FSGS),糸球体腎炎等が診断された。11,346 名の腎エコーで,先天性腎尿路奇形(CAKUT)92(0.8%),うちVUR 24 名(エコー単独11),両側低形成腎2,手術施行17 であった。VUR 全27 名中,VUR III 度以上の頻度は細菌尿例において非細菌尿例より有意に高かった(各々10/11,7/16,p<0.05)。10 名(7 名両側IV 度以上)は多発腎瘢痕を有し,うち7 名はエコー上腎サイズ異常を認めた。FSGS 1 名が末期腎不全に至った。千葉市3 歳児検尿システムはCAKUT 発見に有用と考えられた。
著者
今岡 真和 樋口 由美 藤堂 恵美子 北川 智美 山口 淳
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.47-51, 2014
被引用文献数
1

目的:本研究の目的は介護老人保健施設における車椅子使用者の転倒リスク因子を明らかにすることである.対象:介護老人保健施設へ新規入所した者のうち,車椅子を日常生活の移動手段とする62 名(男性14 名,女性48 名,平均85.4±7.9 歳)であった.方法:入所時評価(ベースライン)は,年齢,過去1 年間の転倒歴,身体機能,精神機能,生理機能,医学的処置,経済状況の19 項目を評価した.転倒は入所から最長6 カ月間を前向きに追跡調査した.統計解析は,単変量解析で転倒と有意に関連した項目を独立変数,転倒発生の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った.結果:29 名(46.8 %)に転倒が発生した.転倒に関連した項目は,「背中が丸くなってきた」「FIM得点高値」「ベンゾジアゼピン系薬の内服」「平均投薬数が多い」であった.ロジスティック回帰分析の結果,入所期間中の転倒発生に対して,「背中が丸くなってきた」が独立関連因子であった(オッズ比4.11).
著者
山口 淳 加藤 敬行 菅 裕明
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.584-592, 2011-11-30 (Released:2012-02-29)
参考文献数
29

新たな創薬の基盤技術として,我々は1013を超える多様性の擬天然特殊ペプチドライブラリーの構築を可能とするFIT(Flexible In-vitro Translation)システムと,生理活性を有した特殊ペプチドの迅速な探索を実現したRaPID(Random non-standard Peptides Integrated Discovery)システムを開発した.本稿ではこれら新規基盤技術の紹介と共に,特殊ペプチド創薬におけるDDSとの連携の重要性についても言及する.