著者
柴山 純 関口 稔 山内 潤治 中野 久松
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.9-16, 1998-01-25
被引用文献数
19

一般化したダグラス法に基づく改良形差分ビーム伝搬法(IFD-BPM)に虚軸法を適用し, 光導波路の固有モード解析を行っている。まず, IFD-BPMの定式化を偏波の依存性を含めて行う。そして, 固有モードを含む任意の入射界から固有モードのみを生成する虚軸法について概説する。次に, 本手法の有効性を明らかにするため, ステップインデックス形スラプ導波路の固有モード解析を行う。IFD-BPMを用いることで, 従来の手法に比べて精度の高い固有モード解析が可能であることを見出す。更に, 実効屈折率を評価する際に重要になる参照屈折率の選び方について, 参照屈折率を逐次更新する簡便な方法を考案している。応用例として, 本手法と等価屈折率法を併用し3次元多重量子井戸構造導波路の固有モード解析を行う。他の手法の結果とよく一致することを明らかにする。最後に, GD法に基づく交互方向陰解法を用いてグレーデッドインデックス形ファイバを解析する。実効屈折率の評価により, 直接3次元解析をした場合の有効性も示している。
著者
吉田 功 勝枝 嶺雄 大高 成雄 丸山 泰男 岡部 健明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.422-429, 1993-11-25
被引用文献数
13

移動無線用電力増幅器に使用可能な低電圧・高効率のSiパワーMOSFETを開発した.主要な特性改善点は,サブミクロン金属ゲート構造と自己整合ドレーンコンタクト構造との組合せによるオン電圧の低減,遮断周波数の向上,出力容量の低減である.その結果,従来に比べ10%以上の付加効率の向上が図れ,1.5GHzでは出力電力1Wで付加効率60%が得られた.またディジタル変調時の50kHz離調・隣接チャネル漏洩電力50dBc,出力電力0.8Wで付加効率は53%であった.これにより,SiパワーMOSFETがUHF帯において良好な線形電力増幅特性を有することを明らかにした.
著者
中山 雄二 佐藤 明雄 吉田 彰顕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.640-648, 1994-11-25
参考文献数
15
被引用文献数
28

高速無線アクセスを実現するためミリ波帯が大きく注目され,屋内におけるマルチパス伝搬研究等が活発化してきている.本論文では,ミリ波帯の屋内高速ディジタル伝送特性の評価法を新しく提案している.まず屋内のマルチパス環境下における広帯域伝搬特性の測定を行い多重波構造を明らかにしている.次に多重波環境下におけるディジタル伝送特性を定量化するため,4PSK-100Mbit/sの変復調装置とマルチパスフェージングシミュレータにより10^<-4>の符号誤り率が生じるときの希望波と干渉波の所要レベル比(D/U)を評価した.その結果,干渉波の遅延時間がそのシンボル長を越える場合,符号誤り率は希望波と全干渉波のレベルの比(D/U_T)で決定され,干渉波の遅延時間には依存しないこと,干渉波数の増大と共に所要D/U_Tはその符号誤り率を与えるS/N(N:ガウス雑音)に漸近することを明らかにした.以上の結果から屋内高速無線通信におけるD/Uを用いた回線設計法を提案している.
著者
小柳 幸次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.602-604, 1998-10-25
被引用文献数
2

擬似位相整合アップコンバ-タを用いた光波長分割多重の分波と, ポンピング光の波長と入射角度の走査による光パス変更を考え, 非線形媒質としてLiNbO_3を用いた場合の基本特性を理論的に検討している.
著者
山尾 泰 斉藤 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.453-461, 1993-11-25
被引用文献数
17

ディジタル移動通信用の低消費電力モノリシック直交変調器を800MHz帯および140MHz帯で実現した.超小形携帯電話機への適用を考慮し,消費電力を著しく低減すると共に,調整箇所を無くしかつ外付部品の不要な完全1チップ構成として設計を行った.このため,回路構成においていくつかの提案を行った.まず定位相差形90度合成器による全体構成を提案し,回路規模およびチップ面積を大幅に削減すると共に,位相調整を無調整化した.次に変調特性の鍵を握るダブルバランスミキサ(DBM)には,アナログスイッチ形DBMを800MHz帯用に採用し,半導体製造プロセスにおける素子バラツキの影響を受けずに高精度の変調波を得ている.更に電流利用効率の高いブートストラップ形バッファ増幅器を出力段用に考案した.試作した800MHz(GzAS)および140MHz帯(Si)直交変調ICは,π/4シフトQPSK変調器として優れた性能を有することが確認された.その消費電流はそれぞれ65mWおよび32.5mWであり,従来に比べ大幅な低消費電力化を達成した.